Hera
ゼウスの正妻、主婦の守護神・ヘラ

ギリシア神話の最高神ゼウスはたくさんの女性と恋愛を繰り返しましたが、その中でただひとり、ヘラという女神だけを正妻として迎えています。
【ヘラのプロフィール】
・ギリシア神話の最高神ゼウスの正妻
・一夫一婦制社会の夫婦の守護神
・夫ゼウスの浮気相手に嫉妬し、彼女たちやその子どもに度々苦難を与えた。
ヘラは元々、ギリシア神話の最高神ゼウスの姉でしたが、後に結婚し、ゼウスの正妻となります。
ふたりの間には、後に神々の酌取りとなるヘベ、出産を司る女神エイレイテュイア、戦争の神アレスという3人の子どもが誕生しました。
ヘラは堂々としてとても美しい女神です。彼女の美の秘訣は水浴でした。毎年春になると、ヘラはカナトスの泉で水浴し、年齢といら立ちを洗い流したといわれています。
ゼウスと結婚したことで、ヘラは天界でゼウスに次ぐ第2の権力を手に入れました。結婚後もゼウスが派手な女性関係を続けたため、ヘラは嫉妬し、自らの権力を使ってゼウスの愛人やその子どもたちを度々苦しめています。
しかしヘラ自身は夫婦の守護神ですので、けっして浮気することはありませんでした。
ヘラが鍛冶神ヘパイストスを生んだ理由
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ヘラとゼウスの間には3人の子どもが生まれましたが、実はヘラには他にもうひとり子どもがいます。鍛冶神ヘパイストスです。
ヘラがヘパイストスを生んだいきさつをご紹介しましょう。
ゼウスはヘラと結婚後、オケアノスの娘メティスを愛人にします。メティスは間もなく妊娠しましたが、「メティスから生まれた男子は天の新しい支配者になるだろう」という予言があったため、予言を恐れたゼウスに身体を丸ごと飲み込まれてしまいました。
ところがメティスが身ごもっていた胎児は、その後もゼウスの体内で成長を続けます。そのためゼウスはしだいに激しい頭痛を感じるようになり、ある時プロメテウスがゼウスの頭を斧で割ると、そこから完全に武装した女神アテナが飛び出してきました。
この話を聞いたヘラは、ゼウスが自分ひとりで子どもを生んだのだと思い、対抗心から自分もひとりで子どもを生もうと考えます。
こうして誕生したのが鍛冶神ヘパイストスなのです。
ヘラの家出
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最後に、ヘラとゼウスの夫婦仲にまつわるエピソードをご紹介しましょう。
ゼウスが何度も浮気を繰り返すので、ゼウスに愛想をつかしたヘラは、ある時ついにオリュムポスの宮殿から家出してしまいます。
驚き慌てたゼウスは、ヘラを連れ戻すために一芝居打つことにしました。樫の木で作った女性像にベールを被せて馬車に乗せ、「ゼウスの新しい妻だ」といって行進させたのです。
ヘラは激しく嫉妬し、急いで帰ってきて女性像のベールを剥ぎました。そうして全てが自分を呼び戻すための芝居だったことを知り、ゼウスと仲直りしたということです。
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