D&D第5版でのタクティカル・バトルは、PHB P.192 「選択ルール:グリッド・マップを使った戦闘」のコラムで説明されている選択ルールです。1/4ページほどしかないルールですが、これを取り入れるとプレイヤーのプレイにも、DMのマスタリングにも、奥深さが大きく増します。
テーブル上に配置されたひとつの情景をみんなで見ていることによって、臨場感の解像度は高まり、一緒に冒険しているという説得力、協力して危険を乗り越える連帯感も強まります。参加者たちそれぞれ、バラバラに頭の中で思い浮かべる「場面」を、みんなで共有できる「場面」にしてくれる道具が、グリッド・マップを使った戦闘のルールと、マップとミニチュアなのです。
また、PHBに掲載されている標準の戦闘のルールと、呪文や特徴に設定されている射程や効果範囲は、いままでのバージョンのD&Dを引き継ぎ、タクティカル・バトルで活きる構造のデータです。精密なことを表現するプレイは、応じた深いドラマも発生させます。プレイヤーの行動や、判定によるNPCの反応やモンスターの能力などが、プレイヤー・キャラクターを主人公とするドラマを発生させ、ナラティブにストーリーが紡がれるのです。
ユドナリウムは、そのようなタクティカル・バトルをオンラインできるようにしてくれます。データのコピーでモンスターや地形といったオブジェクトの数をそろえられます。画像にも凝れば、モンスターや登場人物を公式のルックスにすることもできますし、描ける人ならば、さらに想像する理想に近づけたイラストを描いて貼ることで、ダンジョン・マスターとして物語を提示する面のレベルを高めることもできるでしょう。
ユドナリウムには、セッションの中に音楽を流す機能もあります。BGMを効果的に使えれば、場面を盛り上げることもできます。
ダイス・ボットは、他のTRPGタイトルの判定用に切り替えることが可能で、D&D以外のゲームのセッションを遊ぶこともできます。トランプの機能を使い、判定にカードを使う作品を遊ぶこともできます。用意の仕方によっては、シーン制と呼ばれる範疇のTRPGにタクティカル・バトルを取り入れ、それをオンラインで遊ぶこともできるでしょう。
ユドナリウムの一部を改造したり機能追加をした派生も存在します。
「キャラクター」を含めオブジェクトに高さの情報を追加した「Udonarium with Fly」。
キャラクターの立ち絵表示、ステータスを操作できる「カウンターリモコン」が特徴の「UdonariumLily」。
あえて2D表示とした「Udonarium 2D」。
接続方式をサーバー・クライアントに変更し、ルーム作成者が各種権限設定をできるようにした「ユドナイト」。
マーダーミステリーのプレイ向け「マダミナリウム」。
これらは、元のユドナリウムに備わっている基本的な部分については、保存のZipファイルに互換性があるので、用意したデータは流用しつつ、欲しい機能を備えた派生ユドナリウムを見つけ、より快適なセッションを期待できます。
みんなで集まり、顔を合わせての会話を含めて楽しみ遊ぶのことがアナログ・ゲームの大きな魅力です。一方で、昨今の感染症から身を守ったり、遠隔地の友人や互いに個人は明らかにしないプレイ仲間など、オンラインならではの繋がりを活用した遊び方も生まれ、広がっています。
遊び手の好みで選択することではありますが、ユドナリウムでのD&Dの遊び方をご紹介してきたこの連載が、みなさんのTRPGのプレイ方法の選択肢を増やし、セッションの機会を増やすことにつながりましたら幸いです。
ダンジョンズ&ドラゴンズ 日本公式サイト
http://hobbyjapan.co.jp/dd/
◆その他の連載記事はこちら
〉ファンタジーRPG入門
〉D&Dのはじめかた一覧
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