テーブルトークRPGのプレイを動画の材料にすることについて、「ゲームシステムを紹介する」「キャラクターの活躍を魅せる」「ストーリーで楽しませる」三点を述べてきました。
これらは、題材がわから見た要点です。大手ストリーミング・サイトで公開する動画である以上、見てもらいやすいキャッチーな動画が求められます。ゲームの内容をどれだけ反映したくても、動画として面白さを損なうのであればカットする必要があるでしょう。取り入れたい要素が、閲覧数を高める動画製作のノウハウに沿わないようなことがあれば、迷わずノウハウの方を取るべきでしょう。
D&Dの楽しさというのは、スポーツにおいて選手としてプレイすることに似ています。そのたとえで言えば、動画は試合の観戦者が受動的な鑑賞を楽しむメディアです。TRPGのセッションを動画で見せるということは、能動的な行動の楽しさを外側から見ているだけで楽しめるように変換する作業と言えます。TRPGのセッションという対話式の遊びと、表示だけの観賞式のメディアの間の違いを意識して、見やすさ、面白さを盛り込んでください。
最新のD&Dは英語圏でも、やはりネット動画で大きくユーザーを増やしています。日本のTRPG動画とは異なる画作りで、カメラの前でセッションをプレイしている様子を収録した形式です。セットや画角はカメラを意識したレイアウトや装飾がされていたり、セッション参加者のバストショットがウィンドウ形式で並んでいたりします。
https://www.youtube.com/c/DNDWizards/about
WotCの公式チャンネルです。30万人の登録数を誇り、初心者にルールをわかりやすく説明する "Learning Dungeons & Dragons"(D&Dとは)や、一話20分ほどを連続でカジュアルなプレイを見せていく "Force Grey: Lost City of Omu" シリーズをはじめとして、多数の動画が公開されています。
https://www.youtube.com/channel/UCpXBGqwsBkpvcYjsJBQ7LEQ
D&D第5版の人気を後押しした超有名プレイ動画です。チャンネル登録者数は123万人を誇り、このキャンペーン・セッションの舞台世界を紹介する公式のD&D第5版のサプリメントが制作、発売されるほどの人気と知名度があります。
https://www.youtube.com/watch?v=WDY2tGNJc1U
日本語版の公式で、オンライン・セッションツール「ユドナリウム」を使い、『D&Dスターター・セット』収録の「ファンデルヴァーの失われた鉱山」の前半部を6回にわたりプレイしています。
Wizards of the coastは、ウェブビデオやライブ配信を含むネット上での "ファンコンテンツ" について、D&DをはじめとするIPの利用について許諾要件を明確にしています。
https://company.wizards.com/ja/legal/fancontentpolicy
この連載に関する点についてかいつまんでに言えば、無料で視聴ができる、D&Dのセッションの様子を見せる動画は問題ありません。胸を張って、楽しんでいる様子を配信しましょう(WotCのものではない、他のIPの利用については、また別ですのでご注意ください)。
日本国内からアクセスした YouTube で "TRPG" で検索すると、多数の動画がヒットします。ライバルは多いですが、多くの視聴者が楽しみ、テーブルトークRPGの楽しさが伝わる動画を、ぜひ配信してください。
<動画ではじめるTRPG -13-