ミニチュアとマップ使用のススメ 第1回
テーブルトークRPGの戦闘において、ルール、数値の処理だけになってはいないでしょうか。テーブルにマップとミニチュアを配置することで、戦闘を思考だけから物語の場面とすることができます。ルールも明確に活用でき、演技的プレイも映えます。戦術をプレイヤー間で相談しやすくなりますし、DMの演出やNPCのロールプレイにも説得力が増します。
この連載では、位置関係を簡易に明示するメモのようなものから、「ダンジョン・マスターズ・ガイド」の選択ルールも使うような本格的なタクティカル・バトルまで、場面を創るという切り口でご案内していきます。
早速、今回の手法をご紹介します。筆記用具、紙、ダイスを使うミニマムなものです。
- 白地の用紙を半分にする位置に線を引き、線に「0.ft」と書き添えます。
- 分けた部分ごとに、さらに半分にする線を引き、線に「30.ft」と書き添えます。
- プレイヤーの人数に対応するダイスを置きます。3名なら、出目1のダイス、出目2のダイス、出目3のダイスと置きます。
- 判定などに使うダイスとは別に、数字でプレイヤーの誰が、どのPC担当なのか識別するために、プレイヤーの前に目を出してダイスを置きます。
「30.ft」は、大抵のD&DのPCの移動速度が30フィートであることからです。30.ftは約10メートルです。
もうお判りでしょう。モンスターが登場したら、その分のダイスもマップに配置します。PCたちと、NPC/モンスターたちはダイスの種類が別であると分かりやすいです。モンスターは、30.ftの線に揃えて置いてしまってかまいません。
写真では、コンパクトなホワイトボードを使っています。書き消し自在ですから、イニシアチブの数字をダイスの脇に書くのもよいでしょう。ボードでなく、額縁がないシート形状のものも雑貨店やホームセンターで購入できます。
0.ft で隣り合っているものは接敵していて、互いに近接でのルールに則ります。離れているものは遠隔なわけです。
ドワーフや、重装鎧で移動速度が25フィートであるキャラクターは、30.ft の線より前にダイスを置いて戦闘を始めれば、最初の自分のイニシアチブのターンにおいて、1回の移動で接敵のラインに到達し、得意の武器でアタックできます。そうでなければ遠くて、アクションで早足を行うか、そのターンには遠隔武器を使うことを選択できます。
このようなルールに則ったPCの行動の可能性を、マップとミニチュアがあることで共有できます。すると、次以降に行動するPCから、やってほしいことが浮かんできたりします。例えば、このあと発動する呪文の効果範囲に、接敵して敵を足止めしてほしい、といったことです。
接敵しているかどうか、距離がどれくらいかを客観的に示すことで、数字をいちいち覚えておいたり、計算、説明する手間は省け、間違いも減ります。遠くの敵にPCが何か言い放つとすれば大声かもしれない、味方への頼みや指示は敵に聞こえないよう近寄り小声で話す、など演技の解像度も高まります(実際にはテーブルの皆さんに聞こえる声でよいのですが)。
戦闘が、口頭のテーブルトークだけよりも奥行きを持つ「場面」となります。
次回もこの方法の、もう少し詳しいルールの処理を見ていきます。
ダンジョンズ&ドラゴンズ 日本公式サイト
http://hobbyjapan.co.jp/dd/
◆その他の連載記事はこちら
〉ファンタジーRPG入門
〉D&Dのはじめかた一覧
〉動画ではじめるTRPG
http://hobbyjapan.co.jp/dd/
◆その他の連載記事はこちら
〉ファンタジーRPG入門
〉D&Dのはじめかた一覧
〉動画ではじめるTRPG