セッションをプレイ記録から動画を編集するにあたっての方針として、二つ目の「キャラクターの活躍を魅せる」を説明します。
キャラクターの活躍を魅せる
ダンジョンの分かれ道で、一方の先を偵察しようとリード(ハーフリング/ローグ)とヘルダー(ヒューマン/レンジャー)が明かりを持って先行し、マルドレッド(ドワーフ/ファイター)とラウキアン(エルフ/ウィザード)は交差点で待ちます。先行の二人が次の角まで進んだ時です。「リードは通路の先に、ボヤっと、かすかな明かりを発するドクロが浮いているのに気づきます。イニシアチブの判定をしてください。」とDMが宣言しました。DMも何者かのイニシアチブ判定を行い、出そろったイニシアチブの順で戦闘遭遇が始まります。
「イニシアチブの順番で先に相手のターン。明かりを持っている君たちは丸見えです。で、ターンのアクションとして "呪文の発動" をします。ここに "ファイアーボール" 。効果範囲内のリードとヘルダは【敏捷力】セーヴィング・スローを振ってください。」。
あえなく先行の二人は hp 0 で気絶状態となりました。プレイヤーたちは、マルドレッドとラウキアンのターンが回ってきたときに、どう動くか相談を始めます。倒れた二人が死亡セーヴを振るタイミングを踏まえて、倒れている場所でポーション・オヴ・ヒーリングを飲ませるよう動くのか、敵の視線が通っている(と考えられる)位置からは撤退してから回復をおこない、立て直すか。ファイアーボールの効果は回り込む爆発なので、起点への視線だけでなく、効果範囲を意識する必要があります。使うことのできる移動距離とアクション(攻撃、道具の使用、呪文)を組み合わせて使い、どのような段取りで、どう進めるか決めていきます。
結果として、敵の呪文のための視線が届かない場所まで引いて態勢を立て直し、プレイヤーたちは "ファイアーボール呪文を発動してくる敵がいる" ことを踏まえて計画を立て、連携をとった行動で戦闘に勝利します。
D&Dはクラスの種類を横軸に、縦軸にはクラスのレベルがあって、レベルが高くなると技や呪文が増え、できることや範囲が拡大していきます。種族によっての特徴もそのバリエーションに選択肢を加えます。それらのデータは、PCたちが相互に助け合うことができるような形で用意されています。PCの能力を活用したパーティーの上手い行動や連携の見事さをクローズアップして魅せましょう。キャラクターのセリフや演技もあると、より盛り上がる場面になるでしょう。
D&D第5版のセッションでは、インスピレーションを獲得した際の活躍と、インスピレーションを使うと決めた重要な判定を行う状況は、このような時に注目すべき場面となります。例として戦闘の場面を取り上げましたが、非戦闘場面でNPCとの掛け合いや交渉でも、良い場面があったら技能判定をしていなくても活躍としてピックアップしてもよいです。
プレイヤーがルールをよく知っていればカッコよい場面になります。反対にルールに詳しくない場合には、DMか動画の進行役がルールの解説などを差し込むことで親切な動画として作る必要があります。ルールにしろ、ストーリーやキャラクターの行動にしろ、視聴者にとって分かりにいと、視聴を切り上げられてしまいます。
アドベンチャー・シナリオに設定されている目的が「迷惑なゴブリンを駆逐する」といった単純なものだったとしても、このようなPCの活躍が促進されるアトベンチャー(やダンジョン)は、違うPCや、違う参加者でプレイすると、異なる活躍、異なる場面になりやすく、繰り返して遊ぶことのできるアドベンチャーともなります。動画で内容が分かってしまっても、視聴者は「自分たちでプレイすると、どうなるだろう」と楽しみにして、動画に習ってセッションを遊ぶことができます。