セッションをプレイし、それを記録して材料は整いました。そこから動画データを作っていくのに「何を動画で見てもらうのか」という点を考えます。TRPGのプレイを見せるコンテンツには、いくつかの切り口があります。「ゲームシステムを紹介する」「キャラクターの活躍を魅せる」「ストーリーで楽しませる」の三つです。ゲーム動画であるため見やすい動画として編集をしていくと、これらの三つの面は、多かれ少なかれすべて入るのですが、目的として区別しておかないとしっかりした編集はできません。
ゲームシステムを紹介する
D&Dは、PCを含めたクリーチャーのデータをもって、適応のレベルのアドベンチャー・シナリオでルールに則りプレイすれば、謎めいた場所での探索や、そのPCらしい行動やパーティ・メンバーでの協力、モンスターがそのモンスターらしい脅威を示すように造られています。ほかのタイトルでも、プレイが面白く、あるいは興味深くなるように作られています。そのような「ゲーム・システムの面白さ」を紹介しようとするのならば、ルールを解説をする内容の動画を作ることになります。
「このデータをこのように使うので、こうなる」という流れになりますから、勢いルールブックやデータの引用が多くなります。他のテーマの場合にも当てはまりますが、動画の中では背景に表示したり処理を図示すると分かりやすくなります。ただ、データ・ブロックの必要な一部だけとか、そのルールで対象とする数値だけにするなど、引用としての範囲を意識しておくことが求められます。
動画には先生役の進行係がいるとよいでしょう。姿のないナレーションでも可能ですが、画面に先生キャラがいる方がフレンドリーで見やすい動画になります。手法としては、プレイしている様子を必要なところで止めて解説を差し込む形がひとつ。もう一つは、ルールを知らないプレイヤーが担当のPCを動かそうとする時点でゲームマスターに質問し、マスターが可能なことを回答、解説していくスタイルが考えられます。「聞き役と解説役」の組み合わせは、様々なチュートリアルでも使われている手法です(教育や放送、シャーロック・ホームズのワトスンにみられるように小説・物語でも)。いずれにしろ、「正解」を解説する先生役がいることで、スムーズに進めることができるでしょう。また、どちらの手法も、他の観点での編集をする場合に手際よく差し込むことで初出のルールやモンスターなどを紹介するのに活用できます。
動画の題材としてTRPGを遊び始めたとなれば、そのタイトルを遊ぶ仲間を増やすことにつながる動画になるでしょう。記録は紹介するルールに合わせてピックアップするだけになっても、セッション中のひとつの山場までか、あるいはアドベンチャーのクライマックスを使うことで、しっかりと区切りや結末をつけた印象を創り出せます。
また、人に教えることで理解が深まりますので、選んだタイトルをプレイすること、マスタリングすることの上達にもつながります。