D&Dを本格的に遊ぶとして、PC1レベルから始め、キャンペーン・セッションへと進めるようご説明をしてきましたが、D&DにはDMだけが楽しむ「アドベンチャーをつくる」という楽しみがあります。D&D日本語版においてもアドベンチャー・シナリオは「ファンデルヴァーの失われた鉱山」「ウォーターディープ:ドラゴン金貨を追え」をはじめとして、十分なボリュームがあって、プロが用意したものがあります。ですが本格的にD&Dを遊ぶという中には、冒険やその舞台となるダンジョン、市街地、国、世界を作り出す面白さは見逃せません。『ダンジョン・マスターズ・ガイド』でも、多くのページを割いています。1レベルのアドベンチャーを簡単に作ることから、DMGを使うノウハウをご紹介していきます。
まずは1レベルPC4名向けという、簡易なアトベンチャーを作る手順です。1レベルからでも物語が伴うアドベンチャーを作ることは可能です。「ウォーターディープ:ドラゴン金貨を追え」がまさにそれですが、まずはD&Dのルールを一通り体験できる探索、戦闘を中心とした探検もので、作り方を理解してからにしましょう。
長方形をA、B、Cと3つ用意し、Aから順にPCたちが進んでいくと想定します。これを戦闘が起きる部屋とします。広さはクリーチャーの数と、PHBのコラムにあるグリッドを基準にマス目を引いて考えると簡単です。先にサイズを示すと、A:4×6マス、B:5×8マス、C:6×10マスにします(PCが入る部屋の入口から見ての幅×奥行きのイメージ)。メートルでの寸法もマス目から計算できます。
PC4~6名、対する敵も3~5体で、それらが正方形の部屋にいるだけで9~12マスが必要です。3×3マスか、3×4マスです。
戦闘を繰り広げるとなると、PCたちが入口傍の2×2、つまり4マスにいて、敵が奥にいるでしょうから、その間に4マス程あったほうが戦闘ルールが活きます。PCのスタート位置で4マスでなく6マス幅にしておくと、PCが2×2正方形に立つほかに、横に展開した配置にもできますので余裕を持たせます。この敵との間合いと、PCたちの横の余裕が、「移動」とアクションの「早足」、スリープといった呪文の効果範囲などを活かします。ただ、3部屋全部に3~4体出すとPCパーティーが負けてしまうので、最大の広さにするのはCだけにして、その手前は少し狭くするつもりでいましょう。
これらから、A、B、Cの広さは、ラストバトルを行うCを一番広く取って幅6×奥行10マスとします。1マスは5フィート、約1.5メートルですから、幅30フィート(10m弱)、奥行き50フィート(15m強)と広さが決まります。
手前につれて小さくするとして、Bは5×8マス、Aは4×6マスにします。実はBの広さが、日本での中学高校の普通教室のサイズに近くなります。思い浮かべやすくなるでしょう。
このA、B、Cを、1マス幅の細い通路で順番につなぐと、洞窟といった感じのダンジョンになります。1マス以上の幅の長方形と組み合わせ、パズルのように詰めて並べ、全体を大きな四角形に近づくよう配置すれば、屋敷や廃墟、地下室や設計された迷宮といった感じが出ます。最初に作ってみるアトベンチャーとしては、A、B、Cと順にたどってもらえるよう、通路のつなぎ方や、廊下やドアを配置しましょう(マルチルートできるような作り方は上達してから)。
次回はモンスターを含めた、部屋の中身をどう設定するかご案内していきます。
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次回は8月8日(土)に公開予定!
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