D&D第5版を本格的にプレイする中で、グリッド・マップを使った戦闘について前回はご案内しました。今回は、ルールの運用面での利点とセットとなる、情景を表すものとしてのマップとミニチュアについてご紹介しましょう。
『ダンジョン・マスターズ・ガイド』の「ミニチュアを使用する」(p.250)には、こうあります。
複雑な戦いは視覚的なツールを使うことでぐんと遊びやすくなる。もっとも一般的なのは、ミニチュアとグリッド・マップである。また、君が模型のテレイン(地形)やダンジョンの立体モデルを作ること、そして大きなビニール・マットに地図を描くことが好きだというのなら、やはりミニチュアを使うことを考えてみるべきだ。DMGのこの項目では、1インチ・グリッド(1インチは約2.54cm)を基準とした、クリーチャーのサイズの説明と、『プレイヤーズ・ハンドブック』より詳しい戦闘ルールが掲載されています。効果範囲や視線、遮蔽のとらえ方や、今までのバージョンでの戦闘ルールを踏まえた「挟撃」「斜めの移動」「向き」といったオプション・ルールもあります。
また、『ザナサーの百科全書』には「グリッド上での効果範囲」(p.85)として、グリッドにおける効果範囲の計り方が紹介されています。
D&Dのルールブックやアドベンチャーでは、モンスターやキャラクターのイラストが挿してあり、ビジュアルも現在の「剣と魔法の世界」を鮮やかに見せてくれます。それをテーブル上に並べることができる立体物としているのが、サードパーティーが発売している『D&D Miniatures』です。
プレイヤー・キャラクターは、作成することのできる幅広さから、完全に一致するミニチュアがないことも多々あり、イメージが近い種族や装備のミニチュアをあてがうことはよくあります。マップ上で何マスを占めるかはルールで問題になるものの、ミニチュアの形状は影響しません。たとえば、ヒューマン・ウィザード女性PCのデータに、エルフのソーサラーのミニチュアを使ってもかまいませんし、体形たくましく、持っているワンドがちょうどよいからと、ドワーフのウィザードのミニチュアを用いてもかまいません。
MMを中心としたコアルールにフィーチャーした "D&D Miniatures ICONS OF THE REALMS: MONSTER MENAGERIE" は、MMのモンスターやPCに使うことのできるミニチュアが入っています。アドベンチャーに登場するモンスター、NPCのまさにそのもののミニチュアも用意されています。たとえば『魂を食らう墓』(原題 "TOMB OF ANNIHILATION")に登場するクリーチャーが用意された "D&D Miniatures ICONS OF THE REALMS: TOMB OF ANNIHILATION" には本書に掲載されたモンスターやNPCのミニチュアが含まれていて、前述のMMのモンスターのミニチュアと買いそろえて組み合わせれば、アドベンチャーに掲載されているデータ・ブロックそのままを登場させることも可能になります。
舞台となるマップは、その多くがアドベンチャーに掲載されていますし、第5版においては描いたイラストレーターが公式にデータ・ダウンロード販売しています。プリントアウトしておけば、ルールの遊びやすさに加えアドベンチャーに記された風景を卓上に再現することができます。
さらに、地形や建物を表現する "テレイン" や "ダンジョン・タイル" でダンジョンを形ち造ったり、呪文の効果を表現した "Spell Effects" パーツを使ったり、家具や野外に置いてあるものを表す "ストラクチャー" なども配置すれば、冒険中の様子がより具体的になり迫真性も高まります。参加者が頭の中でバラバラに思い浮かべるのでなく、冒険の風景を共有できる魅力があります。
このようなタクティカル・バトルを楽しむためのミニチュアは、D&D以外のタイトルでも数多く発売されていて、DMやセッションの参加者が認める範囲で、そのような別のミニチュアを使うプレイヤーもたくさんいます。
タイトルに紐づいていない汎用のテレインやダンジョン・タイルといった製品もあり、ミニチュアやストラクチャーを塗装することを楽しむユーザーもいます。
ペーパー・ミニチュアで便利さ、楽しさを実感してから、ミニチュアやダンジョン・タイルに本格的に取り組んでみてはいかがでしょうか。
〉D&Dのはじめかた一覧
次回は7月25日(土)に公開予定!
ダンジョンズ&ドラゴンズ 日本公式サイト
http://hobbyjapan.co.jp/dd/
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