本格的にD&Dを遊び始める際のアドベンチャー・シナリオの選択について、最新作をご紹介しましょう。
キャンペーン・プレイを長く遊ぶつもりであるなら、2020年6月に日本語版が発売の『バルダーズ・ゲート:地獄の戦場アヴェルヌス』が、この時点での最新作1~13レベル・キャラクター用アドベンチャーです。高名な"バルダーズ・ゲート"を舞台とする、英雄の活躍と言うにふさわしいアドベンチャーの内容も魅力です。
5章立てアドベンチャーの第1章「二都物語」がバルダーズ・ゲートでの冒険で、1~4レベルのキャラクター向けとなっています。アドベンチャーの後ろに50ページにわたって掲載されている「バルダーズ・ゲートの地理誌」によって、政治体制、住人たちの様子や、市内の施設に市の周囲の状況、そしてPC向けの「背景」がPHBに対応する形で紹介されています。どれもがダーク・ファンタジーを思わせる、後ろ暗い秘密の影がさす人物となるような背景です。このアドベンチャーを遊ぶにあたって1レベルのキャラクターを作成するなら、これらの「背景」を使うことで、PCはより一層バルダーズ・ゲートの住人、関係者として、アドベンチャーへの関わりも深いキャラクターをプレイすることができるでしょう。
そして、13レベルにふさわしい地獄の一丁目に殴り込み、うまく立ち回っての大団円か、あるいは神が悲しむほどの悲劇となるか、物語は(PCが活躍した)フォーゴトンレルム史に記録されるべき偉業へ向かいます。PCの行動、目的達成の度合いよる結末の分岐は複数用意されています。
さて13レベルまで至り帰還したPCたちは、その後どうするか。このキャンペーンを遊び通した経験から、13レベルにふさわしい物語を作り出せるのであれば、オリジナルで世界的危機に挑むアドベンチャーをDMが用意するのは素晴らしい遊び方です。しばらくは楽勝で進んでしまうかもしれませんが、PCたちの腕前を活かすのに大都市ウォーターディープ下のアンダーマウンテンを見逃す手はありません。
ですが、1~13レベルという長いプレイ期間を経験したからには、また違う種族、別のクラスでキャラクターを作成し、またDMを交代し、新たにキャンペーンを開始するのもお勧めです。PHBだけでも9種族、12クラスのデータが詰まっているのですから。
初めてにしろ、すでに遊んで別のキャンペーンを立てるにしろ、それは未知の世界設定を試す良い機会でもあります。日本語版が2020年夏発売『エベロン冒険者ガイド 最終戦争を越えて』に収蔵の「失われた秘宝」が、1レベル・キャラクター4~6人パーティ用の短編アドベンチャーが、それに最適です。
スチームパンクの"スチーム"の部分を魔力や呪文に置き換えた、"マジカルパンク"と称すべき、エベロンのモダンな剣と魔法の世界。空中に浮いている建物群で成り立つ都市や、大型エレメンタルを捕縛したエンジンによる車両、鉄道、飛空船などのガジェットが、中世西欧モデルの世界設定とは違った活躍の場を用意してくれます。
『エベロン冒険者ガイド 最終戦争を越えて』では、ウォーフォージド、カラシュター、シフター、チェンジリングら新種族に、PC向けオーク、ゴブリン類とPC種族も大幅に追加されます。クラスは「アーティフィサー」がひとつですが、また別に異なる呪文使用能力の形態「ドラゴンマーク」が12種用意されています。ドラゴンマークは種類は多いものの世界観と結びついた取得の条件が様々あり、エベロンで活躍する冒険者をロールプレイする面白さを減じることはありません。
「失われた秘宝」は短いアドベンチャーで、PCは2レベルになって終わりですが、プレイしたうえで『エベロン冒険者ガイド 最終戦争を越えて』があれば、アドベンチャーを作成するネタは十分ありますし、既存のアドベンチャーをエベロンでの出来事に調整してもよいでしょう。D&Dのデジタルコンテンツ販売サイト「DUNGEON MASTERS GUILD」(https://www.dmsguild.com/)には、4部構成の"Spoils of War"キャンペーン・アドベンチャーもあります。
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次回は5月30日(土)に公開予定!
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