前回、本格的にD&Dをはじめるにあたり、コア・ルールとアドベンチャー・シナリオが必要で、シナリオ自作派には考えているストーリーとPCのレベルに合わせて、既存の公式アドベンチャーから戦闘遭遇を持ってくるお話をしました。今回からは一方の公式アドベンチャーを使うことについてご紹介していきます。
D&Dをはじめて遊ぶなら、1レベルPCから遊び始めることをお勧めします。D&Dは1~20レベルまでの幅があり、レベルが高くなるにつれてできることが増えていくことになります。この増えていく要素は、低いレベルでやっている手段が伸びていったり、回数が増えたりと「拡張」されていきます。そのため、高いレベルで得られるクラスの特徴や、高いレベルの呪文を使いこなし、楽しむには、低いレベルからのプレイが欠かせないのです。
剣と魔法のヨーロピアンな世界ということで、PC個人が得られる情報、教養というものは極めて少なく、年齢が低いキャラクターや、レベルが低いPCが世界について知っていることは限られます。ものを知らないPCを担当するなら、そのプレイヤーも舞台とする世界やモンスターについて、詳しくなくてかまわないわけです。実際、プレイヤーは「プレイヤーズ・ハンドブック」全体を読んですべて覚えたり、理解しておく必要はありません。自分のPCの種族とクラスの部分に、ルールは能力・技能の判定6ページ、戦闘ルール9ページを読むだけで、1レベルで遊び始められるでしょう。呪文を使う場合は、呪文の発動について2ページと、呪文それぞれを読んでおく必要がありますが、レベルが低ければ使うことのできる呪文は数個です。
またD&Dは、PCの命がけのスリルもゲームの楽しさです。特徴の使い方やパーティー内の連携に失敗したり、ダイスの出目が極端に悪かったりする(反対にDMの出目が良すぎる)と、ダンジョンの簡易な罠や、脅威度が最低のゴブリンやウルフにすら命を奪われかねません。hpの回復手段はもちろん、死からの復帰の手段もありますが、高いレベルが必要だったり、高価についたりします。シナリオ自作では、作成にあたっては危険な場面を用意するとき、「PCが生きるか死ぬか」というバランスを求められます。公式アドベンチャーは、もちろんそのようなレベリングがされています(一部の「殺意の高い」アドベンチャーなどは別)。
つまり、D&D日本語版において公式アドベンチャーでは、1レベル対応からの「ファンデルヴァーの失われた鉱山」「ウォーターディープ:ドラゴン金貨を終え」、『大口亭奇譚』収蔵の「地底の城塞」で、1レベルから順に遊ぶことがお勧めなのです。
ただ、はじめての場合に「魂を喰らう墓」はお勧めしません。前述の「殺意の高い」アドベンチャーであるためです。古いバージョンのD&Dに一部あった「PCが死んだら、その兄弟ということでキャラシーの名前を書き換えて続行」といった、過酷さも楽しむプレイフィールを再現するため、タイムリミットや舞台のチャルト半島での移動の特殊なルール、レベルを踏まえない高レベルの敵との遭遇可能性、デス・トラップ級の罠など、1レベルでスタートする場合には幾人ものPCが命を落としかねないハード・モードなのです。「魂を喰らう墓」の使い方については、のちほどご紹介します。
次回は、今回お勧めした3本のアドベンチャーと、それらを遊んだ後に繋げる手法について紹介いたします。
〉D&Dのはじめかた一覧
次回は4月25日(土)に公開予定!
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