前回は本格的にダンジョンズ&ドラゴンズを遊ぶのに、“コア・ルール”である「プレイヤーズ・ハンドブック」(PHB)、「モンスター・マニュアル」(MM)、「ダンジョン・マスターズ・ガイド」(DMG)の必要性をご説明しました。もちろん、TRPGを遊ぶのにはルールに加えて、アドベンチャー・シナリオが必要です。
まず用意されているアドベンチャーを遊ぶのならば、近年はメーカーも「ユーザーに遊んでもらい、ユーザーに広げてもらう」手法が展開されており、その分、アドベンチャーの制作にも力が入っています。公式のアドベンチャーは面白く、ストーリーやダンジョンのギミックなども目を見張るものがあり、読んで創作教材にもなるほどで、とても楽しめます。
日本語版でも、「D&Dのはじめかた【スターター・セット編】」でご紹介してきた『D&D スターター・セット』に入っている「ファンデルヴァーの失われた鉱山」があります。ほかにも、『ウォーターディープ:ドラゴン金貨を追え』が1~5レベル対応で、シティー・アドベンチャーから始まる、PCの命にやさしい仕様になっていておすすめです。またこの二本の5レベル到達というポイントは、続けて「魂を喰らう墓」などを始めるのにうってつけです(理由は以後の記事でご紹介します)。
今後発売予定の日本語版製品でも『バルダーズ・ゲート:地獄の戦場アヴェルヌス』(原題:Baldur's Gate: Descent Into Avernus)は、上品とも言えるウォーターディープに比べ多分にダークで暴力的なお話と、タイトルにもある「地獄」へ踏み込むこととなる1~13レベル対応の、より英雄譚というべき物語になります。
さらにその先、『エベロン冒険者ガイド 最終戦争を越えて』(原題:EBERRON: RISING FROM THE LAST WAR)にも、主舞台であるコーヴェアの大都市シャーンにおける、1レベルでスタートするショート・アドベンチャーが掲載されています。
「ファンデルヴァーの失われた鉱山」については、いままでの記事を読み返していただくとして、バルダーズ・ゲートとシャーンについては、次回以降にそれぞれの魅力を紹介していきます。
自作派は、アドベンチャーを作成するための材料がコア・ルールの三冊に含まれています。物語のアウトラインや探索・戦闘の舞台、イベントなど設定の参考にできるランダム決定にも使える多数の表(DMG)、登場するモンスターやNPCの選抜(MM)や制作(PHB)と、アドベンチャーの作成全般にあたって使用できます。(「D&Dのはじめかた」スペシャル 世界を創ろう~元祖"剣と魔法のRPG"ダンジョンズ&ドラゴンズを参考に~もご参照ください)
「脅威度」を除き、PC、NPC、モンスターといったクリーチャーはデータの項目が共通ですので、既存のデータを改修することも容易ですし、作り出すこともできます。
脅威度を用いての戦闘遭遇のバランス調整がわからないうちは、1~5レベル対応「ファンデルヴァーの失われた鉱山」や『ウォーターディープ:ドラゴン金貨を追え』といった既存のアドベンチャーから、戦闘遭遇だけ流用してもいいでしょう。5レベル以上なら、『大口亭奇譚』や『ウォーターディープ:狂える魔道士の迷宮』から、適正なレベルの戦闘遭遇の内容を持ってきて、自作ストーリーの戦闘場面に当てはめることで、スリリングだがPCが勝つこともできる戦闘遭遇を用意することができます。
作成しているうちに、脅威度を使った戦闘のバランスの計算がわかってきましたら、MMから好きなモンスターを配置したり、より物語に合致した内容を備えた戦闘遭遇を作り出し、プレイヤーたちを楽しませることができるでしょう。
〉D&Dのはじめかた一覧
次回は4月11日(土)に公開予定!
ダンジョンズ&ドラゴンズ 日本公式サイト
http://hobbyjapan.co.jp/dd/
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