戦闘中の行動や呪文の発動、戦闘のあとに必要とする小休憩、大休憩までを、第7回から前回まででご紹介しました。これで「ファンデルヴァーの失われた鉱山」の最初の戦闘遭遇はプレイできるかと思います。
とはいえ、モンスターが勝利し、つまりPCが負けてしまうスリルもD&Dのプレイのうちであるからには、プレイヤーも戦闘に慣れないうちに負けてしまうかもしれません。hpがゼロになったPCについてのルールは、第9回で説明しました。ではPC全員のhpがゼロになって、全員倒れてしまったという状況が起きたとき、どうするのでしょうか。デジタルのRPGのようにゲームオーバーになって、直前のセーブ・ポイントからやり直し、でしょうか。
この「ファンデルヴァーの失われた鉱山」の最初の戦闘では、初心者DM向けにその場合の進め方も書いてあります。P.7「展開」をあらかじめ読んであれば、用意ができているはずです。PCたちが全滅してしまった際にどうするかも案内されています。
もちろん、PCたちが戦闘に勝利した場合、残された手掛かりによって何がわかり、どう行動できるかも書かれています。
テーブルトークRPGは人と人とで遊ぶので、「展開」に予想されていない事がプレイヤーから提案される可能性はあります。ですが、この戦闘遭遇において、PCたちがウォーターディープで引き受けた依頼と、依頼者を大事にする行動をとるのであれば、書かれている以外の行動はないでしょう。
逆に、「展開」に書いていないオリジナルの展開をDMが起こすこともできます。たとえばPC全員が倒れてしまったとき、「顔を知らない旅人に助けられて気が付いた」(街道なので、別の旅人がいる可能性はあります)とか、DMの手間が大変にならない限りにおいて別の冒険者パーティーに助けられた、とすることもできます。プレイヤーには、倒されてしまったキャラクターのシートはわきに置いてもらい、そのキャラとは別のクラスのキャラクター・シートを選んでもらうと、別のクラスをプレイしてもらえます。この後に登場する依頼人の知り合いが、届かない荷を心配して別の冒険者に依頼をした、など後付け設定を考えて、矛盾が無いか小さくすると素晴らしいです。あるいは、セッションの参加メンバーが対応できて楽しくできるのであれば、冷徹に「全滅したからキャラクターを新たに作って再挑戦」もありえます。
とはいえ、パーティーは敵の根城に向かい救助活動を行うか、依頼に沿ってファンダリンへ行く(先に荷物を届けよう)ことにするはずです。根城へ向かう場合、荷馬車を森に隠して行くことになります。【判断力】〈生存〉判定か、【知力】〈自然〉技能判定をしてもらい、結果の値で馬車をどれだけ上手に隠せたか決めるとよいでしょう(根城のすぐ近くで隠して、結果の値が根城に巣くうモンスターの受動〈知覚〉の数値以下であれば、PCが取りに来たら、荒らされた荷物を発見する、という展開も考えられます)。
通常の場面での判定、戦闘でのルールもすべて紹介しましたが、次回は「ファンデルヴァーの失われた鉱山」の記述に沿って、まず敵の根城で、PCたちのダンジョンでの探索や戦いとプレイ方法やルール関係を説明し、さらに運用するDM側について述べていきます。
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次回は2月15日(土)に公開予定!
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