「皆さまこんにちは。新紀元社の重岡です。あけましてー!」
「作家の東雲佑です。おめでとうー!」
謹賀新年である。皆さま、あけましておめでとうございます。
「小説の方の異類婚姻譚がはじまってから初の『読者だより』だね」
「ですねー。前回から今回までの間に世間では色々ありました。ラグビー日本代表は大活躍でしたし、大阪の古墳群が世界遺産に登録されたり」
「ついに年号も変わったねー。改元と天皇陛下の即位にまつわる儀式もあった」
大きな災害や首里城の火災をはじめ、おめでたい話題ばかりではありませんでした。被害に遭われた方や心を痛めている方には、謹んでお見舞い申し上げます。
「でもほんとに久しぶりですね。ほぼ一年ぶりでしょうか?」
そんなに経つか。昭和も遠くなりにけりって気分だ。これ一年前にも言ったような気がするけど。
「どうしよう、久しぶりすぎて正直どう進行していけばいいか感じが思い出せない」
「実は私も……えーと、とりあえず読者からのメッセージをご紹介させてもらいましょうか」
「それだ!」
そう、このコーナーは『読者だより』なのだ。困った時は読者の『おたより』に、『たよる』。
あらためて、よくできたネーミングだなぁ……。
ペンネーム『ゼイクス』さん
今年学び始めてましたが、来年も多く学んでいきます!
東雲先生は今年はとても大変に過ごされましたね……
来年はお身体にお気をつけて楽しくお過ごしください
また、図書ドラ二巻を首長くしながら待ってますのでよろしくお願いします
また、重岡さんも今年お疲れ様でした
連載の続きまってます!
今年学び始めてましたが、来年も多く学んでいきます!
東雲先生は今年はとても大変に過ごされましたね……
来年はお身体にお気をつけて楽しくお過ごしください
また、図書ドラ二巻を首長くしながら待ってますのでよろしくお願いします
また、重岡さんも今年お疲れ様でした
連載の続きまってます!
ペンネーム『ベニサンゴ』さん
今まで「異類婚姻譚」という言葉を知らずに異類婚姻譚モノの小説や漫画を読んでいました。この作家と学ぶ異類婚姻譚という企画の中で初めてその言葉を知ったときは衝撃的でした。「あっこの作品は異類婚姻譚だったのか!」「異類婚姻譚!なんか文字列だけでカッコイイ!」「声に出して読みたい日本語!!」といった具合でした。
そんな中で東雲先生やゲオカさんと共に様々な国、また日本各地に伝わる異類婚姻譚を学ぶうちに、偏に異類婚姻譚と言っても多種多様なバリエーションがあることが分かりました。
人間の男と異形の女、またはその反対。お互いの立場も神と人間であったり、獣と人間であったり、化け物と人間であったり。そもそも、人間ではなく異形同士であったり。塩田さんとの対談回にあった、かつては「人間より高位の存在」との婚姻譚が多かったのが、時代が下る過程で「人間より下位の存在」に焦点が当てられるようになっていったというお話は、今でも印象深く残っております。
初めは存在すら知らなかったものが、名前と共に知っていくことで自分を取り巻く世界の中に多く散見されていたものだ、と知ったときの快感は筆舌に尽くしがたいものがありました。
こうして私が先生方と共に学ぶことができたのも、東雲先生のユーモアある筆致や重岡さんとの愛嬌たっぷりな掛け合いのお陰です。そうそう、先生の奥様の良妻ぶりも外せません。
来年も共に学ぶことができるなら無上の喜びになることでしょう。
先生方の今後のご活躍をお祈りします。
今まで「異類婚姻譚」という言葉を知らずに異類婚姻譚モノの小説や漫画を読んでいました。この作家と学ぶ異類婚姻譚という企画の中で初めてその言葉を知ったときは衝撃的でした。「あっこの作品は異類婚姻譚だったのか!」「異類婚姻譚!なんか文字列だけでカッコイイ!」「声に出して読みたい日本語!!」といった具合でした。
そんな中で東雲先生やゲオカさんと共に様々な国、また日本各地に伝わる異類婚姻譚を学ぶうちに、偏に異類婚姻譚と言っても多種多様なバリエーションがあることが分かりました。
人間の男と異形の女、またはその反対。お互いの立場も神と人間であったり、獣と人間であったり、化け物と人間であったり。そもそも、人間ではなく異形同士であったり。塩田さんとの対談回にあった、かつては「人間より高位の存在」との婚姻譚が多かったのが、時代が下る過程で「人間より下位の存在」に焦点が当てられるようになっていったというお話は、今でも印象深く残っております。
初めは存在すら知らなかったものが、名前と共に知っていくことで自分を取り巻く世界の中に多く散見されていたものだ、と知ったときの快感は筆舌に尽くしがたいものがありました。
こうして私が先生方と共に学ぶことができたのも、東雲先生のユーモアある筆致や重岡さんとの愛嬌たっぷりな掛け合いのお陰です。そうそう、先生の奥様の良妻ぶりも外せません。
来年も共に学ぶことができるなら無上の喜びになることでしょう。
先生方の今後のご活躍をお祈りします。
「あたたまってきた、みなぎってきた! これだよ、この空気感だよ!」
「あぁ、これこそ読者だより。まるで実家に帰ってきたようなヌクモリティですね!」
やはり持つべきものは読者さまである。ありがとうございます、今後もたくさん頼らせてくれよな!
「ということであらためて。読者の皆さま、大変御無沙汰しています。作家の東雲です。あけましておめでとうございます!」
「御無沙汰しています。新紀元社の重岡です。あけましておめでとうございます!」
あらためてもう一度、ハッピーニューイヤー! メリー2020!
「東雲先生、お正月はどのようにして過ごされました?」
よくぞ聞いてくれた。
「なにを隠そう、お正月は茨城に行ってきました」
「おー! 東雲先生が茨城というと、それすなわち……!」
「うむ。女化神社に初詣である」
自費で! 家族で! 泊まりがけで!
「えらいです! 作家の
「そうだろうとも、もっと褒めていいぞ。
さて、こっちのお正月龍ケ崎行の話はあとでじっくりするとして、重岡さんのお正月はどうだったの?」
「年末からインフルで強制寝正月でした……」
「あ、はい……」
「30日の夜から4日にかけて寝たきりで……40度に近い高熱が出て、咳が止まらず喉も……」
「それでその声……」
文字に起こしてしまうと全然伝わらないけれど、現在重岡女史の声は別人のようになっている。たとえるならば沼地に住む性格の悪い魔女か、でなければ風邪を引いたドラえもん(もちろんCVはのぶ代だ)のように。
「腕が6本あって紫の肌から毒液を吐いて、そして声は魔女のようにしゃがれていて……おめでとう、また設定が足されたね(※重岡注①)」
「嬉しくないですー」
「じゃーん、行ってきました! 我らが女化神社である!」
「女化神社ですね! これは表参道の入り口ですか?」
「うん。バスを使ってニュータウン側から行く場合は裏手から入るから、逆に表参道側の景色は新鮮だよね」
「ですね。はじめて見ました」
この鳥居の先に一直線に長い参道が伸びている。
『女化町の現代異類婚姻譚』で主人公のハチがはじめて女化神社を訪れるシーンでは、どうしてもその表参道を印象付けたくて(なにしろこの女化神社の最たる特徴の一つなのだ)この場所から境内に入ったのだけれど、実際の地理を鑑みると実はニュータウンの方から来た参拝客は裏手から入るのが実情的なのだ。
「初詣のお客さん、たくさんいました?」
「たくさんいた。1時間近く並んだ気がする」
「おー!」
なぜか嬉しそうな重岡女史である。うん、気持ちはわかるぞ。正直僕も並ばされたことより女化が賑わっていたことの方が嬉しかった。
「そういえば、参拝の行列からこういうのが見えた」
「こしんふだのうしょ」
「ググってみたら神札って書いて我々のよく知る『おふだ』って読むらしいよ。まぁ読めなくてもニュアンス的にわかるよね」
「ですね。お焚き上げしてもらう古いおふだを置いていくところですね」
「そうそう。これが神社じゃなくて地域の催しとかでやる場合は『どんどん焼き』とか呼ぶやつ」
ちなみにそういうお正月の火祭りをひっくるめて『
「そうこうするうちに順番が進んで本殿が見えてきたんだけど、お賽銭箱の上のあたりに狐の欄間彫刻があるのに今回はじめて気付きました(何度も来てるのに……!)」
「ほんとだ。稲穂を咥えてますね」
「狐は収穫の時期に出てきて害獣のネズミを退治してくれるから、大昔は神様の使いと見做されてらしいよ。女化神社の祭神である
「……感心しました。東雲先生、この連載を通してすごく学んでるじゃないですか。えらいです、いい子です」
えへへ。
「で、無事参拝を済ませた後はおみくじを引きました。結果は――」
「大吉! おめでとうございます!」
「いえーい!」
「よい人の助けによって……たしかに、東雲先生周りには良い人ばかりいますもんね」
本当に、おかげさまで人には恵まれています。皆さん、ありがとう。
「しかし正直にしないとわざわいが……こっちは気をつけてくださいね」
はい……今年は無闇に無意味な嘘はつかないようにします……。
*****
「初詣兼取材旅行、お疲れ様でした!」
「ありがとう!」
「茨城では一泊されたって言ってましたけど、他にはどちらに行かれたんですか?」
えーと。
「この日の夜は
「だけど?」
「ホテルで寝てたら、いきなり緊急地震速報に叩き起こされて、直後に強い揺れ。慌ててテレビをつけたらピンポイントで神栖に震度4のテロップが出てた」
「うわぁ」
「鹿島神宮には地震を起こすオオナマズを封印した要石があるんだけど、まさかそれを見に行く前夜にこれかと……」
「なんていうか、持ってますね……」
それって持ってるっていうのかなぁ……!
「えーと、それじゃせっかくの茨城、なにか美味しいものは食べましたか?」
「あ、よくぞ聞いてくれた! 龍ケ崎に行くと毎回寄ってる佐貫駅の店に今回も行きました!」
「おお! ……って、あの、もしかして……」
「群馬にはない中華料理の名店。早くて美味くて、しかも安い!」
「……待ってください。それって――」
「こちらのお店です!」
「ああ、やっぱり……(※重岡注③)」
「なんだよ! 美味いだろ日高屋さん! 都内にはいっぱいあるからってありがたみを忘れやがってよ!」
東雲と重岡女史と日高屋さんの逸話についてはこちらのツイートをご覧ください(はじめて入ったときは冗談抜きで安さと美味さに感動しました)。
重岡「お昼どうしましょうか?」— 東雲佑@二巻電子書籍はじまりました! (@doomsdayrag) March 11, 2019
俺「そういや重岡さん、佐貫駅にめっちゃ安くて美味い中華料理屋あったよ!」
重岡「そこにしましょう!」
店に着いたら露骨にがっかりされたんだけどこのお店有名なの!? pic.twitter.com/kopq8lwpbd
『作家と学ぶ異類婚姻譚』は日高屋を応援しています(記事内で取り上げる許可をくださった日高屋さん、ありがとうございます!)!
「それでは。久しぶりの読者だよりでしたが、そろそろお別れの時間です」
「楽しい時間はあっという間だね。お別れするのは辛いけど」
「今度は一年も待たせないようにしましょうね……」
……はい。
「最後に、『女化町の現代異類婚姻譚』の関係で、ひとつお知らせがあります!」
次の写真をご覧ください!
「『女化町の現代異類婚姻譚』でもおなじみのJR佐貫駅が、今年の3月14日を持ってJR龍ケ崎市駅へと改名されます」
されるのだ。
「皆さん、このことをどこか心の片隅にでいいから、とにかく覚えておいてください! 今はまだ言えないけど、これから重要になってくるから!」
「はい! そして『女化町の現代異類婚姻譚』についても発表があるので、このことと併せて覚えておいていただけたら幸いです!」
皆さん、覚えててね!
「ということで、今年も東雲と重岡とパンタポルタと!」
「『作家と学ぶ異類婚姻譚』と『女化町の現代異類婚姻譚』を!」
どうぞよろしくお願いします!
「それでは、最後は久しぶりのこの台詞で」
「はい、せーの!」
「まなんだー!」
「まなんだー!」
皆さん、2020年もよろしくね!
※重岡注①
毒液は肌から噴き出している設定です。そして、原稿を待っている間に首も長くなっています(参照:~東雲佑、新紀元社へいく~)。長らくお待たせしてしまいましたが、皆さまの首はご無事でしょうか?
※重岡注②
狐とお稲荷様の関係については、本編の第3話でも触れられていますよ! かれこれ2年ほど前の記事なのに、覚えててえらい。
※重岡注③
連載を読んでくれている方と街を歩くと、「あ、安くて美味い中華料理屋があるよ!」と言われるのが定番化しています……。ちなみに一押しメニューは春巻きです!
▷「作家と学ぶ異類婚姻譚」過去記事一覧
*作者紹介*
東雲佑(しののめ たすく)。幻想小説を得意としている。『図書館ドラゴンは火を吹かない』の1巻が宝島社より発売中! 2巻はAmazonのkindleで配信しています(こちら)。
第2回モーニングスター大賞では『雑種の少女の物語』が最終選考まで残り、社長賞を受賞。現在、「異類婚姻譚」をテーマにした『女化町の現代異類婚姻譚』を連載中。
東雲佑(しののめ たすく)。幻想小説を得意としている。『図書館ドラゴンは火を吹かない』の1巻が宝島社より発売中! 2巻はAmazonのkindleで配信しています(こちら)。
第2回モーニングスター大賞では『雑種の少女の物語』が最終選考まで残り、社長賞を受賞。現在、「異類婚姻譚」をテーマにした『女化町の現代異類婚姻譚』を連載中。
女化町の現代異類婚姻譚
「作家と学ぶ異類婚姻譚」から生まれた小説、『女化町の現代異類婚姻譚』の第1章を公開中です! 2章の配信時期については、今後の連載で発表いたします。
――――プロローグ
――――1話「ようこそ龍ケ崎へ」
――――2話「まるでライトノベルみたいだな」
――――3話「重篤な中二病の女子高生」
――――4話「ここがオナバケだったのか!」
――――5話「物語の町」
――――6話「ぽんぽこ子ダヌキ小学生」
――――7話「夜通しタヌキオールスターズ」
――――8話「タヌキは化ける、キツネは化かす」