自称ガンマニアのソーサーちゃんと天然メイドのカップちゃんによる、ドタバタ・ガンファイト4コマ漫画!
解説では『図解 ガンファイト』を参考に、いつ巻き込まれるともしれない「銃撃戦」で生き延びるための知識をお届けします。正しいルールを知って、ガンアクション描写のウソ・ホントを見抜けるようになりましょう!
第17回目は、「ブルパップ方式ってどんな銃?」について考えていきます。
漫画・文:ケメジホ(@kmjhknj)
SFの武器かな? と言いたくなるような独特なデザインの銃を見かけたら、それはおそらくブルパップ方式の銃です。
まるでレーザービームでも撃てそうな、近未来感のある見た目が魅力のブルパップ方式。今回はそんなブルパップについてご紹介いたします。
目次
ブルパップは小さくてもパワフル!
ブルパップ方式の最大の特徴は、機関部が銃の中心ではなくグリップよりも後方、ストックの内部にあること。
従来の銃ではストック部分はあくまで銃を保持するためだけのパーツであり、「せっかくだから中に清掃道具でも入れとくか」程度のデッドスペースでした。
携帯性のよい銃が求められていた時流もあって、このストック部分に機関部を内蔵してしまえば、銃弾を加速させるためのバレル長を維持したまま全長を短くできるじゃないかと開発されたのがブルパップ方式です。
短くなったことで取り回しも良く、機関部が体に近いので反動も制御しやすい。まさに革新的、未来の銃の誕生かと思われましたが……。
いざ使ってみるといろんな問題が浮き彫りに
・マガジンが交換しづらい
機関部が手前にあるということは、マガジン挿入口も手前にあるということ。
グリップよりも手前にマガジンがあるため、従来の銃とは大分リロードの勝手が異なります。
特に射撃姿勢を維持したままリロードするのはなかなか窮屈なことに……。
・排莢口の問題
排莢口が顔のすぐそばなので、銃の持ち手を入れ替えて反対に構えられないも難点の一つ。
「反対に構えることなんてある?」と思われるかもしれませんが、遮蔽物の左から射撃する際には右利きであっても左手に持ち替えます。
遮蔽物から体を露出する面積を極力減らすためですね。
従来の銃であれば機関部が体から離れているので、右排莢かつ左構えであっても排莢を邪魔しません(それでも薬莢が体に当たることはあるかもしれませんが)。
ブルパップ方式の銃は排莢口が顔のすぐ近くにあるため、持ち方を反対にするとちょうど顔に薬莢が飛んでくることになります。
排莢方向を切り替えられる銃もありますが、工具を要するなど咄嗟に切り替えられるものでもないため、結局構えが固定される難点はそのまま。
この問題を解決するべく、下側や前方に排莢する銃も開発されました。ただ、排莢の問題はそれでクリアとはいえ、今度は排莢のために本体の構造が複雑化するという別の問題も。まさに痛し痒しですね。
・アイアンサイトで狙いづらい
銃の全長が短くなった都合で、フロントサイト(銃口近くに付いている凸型の照星)とリアサイト(手前側にある凹型の照門)の間隔も縮まってしまい、照準を合わせづらくなるという問題。
これを解決するためにブルパップ方式の銃は光学照準器を標準装備しているものが多いのですが、それによって製造コストも上がってしまいました。
・訓練し直さないといけない
こうも形が独特だと従来のオーソドックスな銃に慣れ親しんだ兵士がすんなり使いこなせるはずもなく、慣れさせるための訓練が必要となります。
大勢の兵士を訓練し直して得られるものは「銃がちょっとコンパクトになる」だけだと割に合わない……ということで、結局あまりメジャーとは言えない普及具合です。
ブルパップは短機関銃や狙撃銃向き
なんだか「ブルパップ方式はここがダメ!」と言わんばかりの内容になってしまいましたが、サブマシンガンやスナイパーライフルでは一定の評価を得ており、実際に採用している組織も多数存在します。
アサルトライフルというカテゴリーでは旧来の銃に取って代わるほどの強みを見いだせなかっただけで、「小さくてもパワフル」というコンセプトは十分魅力的。適材適所ということですね。
◎ガンファイト・ガールズの記事
第1話「射撃に適した服装」第2話「銃の選び方」
第3話「車を撃つと爆発する?」
第4話「銃を撃ち落とせる?」
第5話「コック&ロックって何?」
第6話「排莢方向もいろいろ」
第7話「マガジンを抜いても撃てる?」
第8話「ライフルの構え方いろいろ」
第17話「ブルパップ方式ってどんな銃?」
◎参考資料