漫画・文/マミー
以前ほどではないにせよ、日本人は昔から魚が大好きな民族だと言われています。しかしそんな我々日本人に負けず劣らず魚好きな人々がいました。そう、古代エジプトの人々です。宗教的な理由で口にするのが禁忌だった時代もありますが、ナイル川から豊富に穫れる魚達は、何千年というエジプトの長い歴史を通して、特に貧乏な人々にとって貴重なタンパク源でした。旧約聖書にも「水路は魚で満ちている」「ああ、肉が食べたい。我々はエジプトでただで魚を食べていた……」(民数記第11章4節)などと記されている通り、魚は「もう一つのナイルの賜物」だったのです。
イラストに載せているのは、神殿の壁画などに描かれていた魚のほんのわずかな種類にしか過ぎません。実際には、より多くの種類の魚がエジプト人達の、ひいてはファラオの食卓に並んだことでしょう。その光景を想像すると、魚好きの我々は、遠く古代のナイルの民に妙な親近感を覚えるのではないでしょうか。
参考文献:『ファラオの食卓』吉村作治
『ファラオのレシピ』ミシェル・ベリデイルージョンソン/吉村作治