自称ガンマニアのソーサーちゃんと天然メイドのカップちゃんによる、ドタバタ・ガンファイト4コマ漫画!
解説では『図解 ガンファイト』を参考に、いつ巻き込まれるともしれない「銃撃戦」で生き延びるための知識をお届けします。正しいルールを知って、ガンアクション描写のウソ・ホントを見抜けるようになりましょう!
第15回目は、「サイレンサーで銃声はどこまで静かになるのか?」について考えていきます。
漫画・文:ケメジホ(@kmjhknj)
スパイ、暗殺、隠密作戦……誰にも気づかれずに敵を排除する、そんなシチュエーションに欠かせないのがサイレンサーです。
ただ、サイレンサーを付けただけで本当にそんなに静かになるの? とは誰しも思ったことがあるはず。今回はサイレンサーについてご紹介します。
目次
実は全然静かじゃない? 暗殺はライブ会場に限る
映画などでは、銃にサイレンサーをつけると「パスッ」「パシュン」という独特な銃声に変わりますよね。
周りの人にはほとんど聞こえていないかのように描写されることが多いですが、実はサイレンサー単体にそこまでの極端な消音効果はありません。
暗殺用などではない、一般的な銃の発射音はおおよそ160dB程度です。飛行機の離陸音が120dBほどであることを考えれば、凄まじい音量であることがよくわかりますね。
これにサイレンサーを装着することで、発射音は130dB程度に落ちます。これでようやくドラム演奏を間近で聞いたとき(130dB)と同程度。
30dBも落ちるだけでも十分すごいのですが、130dBではロックバンドのライブ会場で暗殺するシチュエーションじゃないとバレバレですね。
サイレンサーの仕組みって? 銃声の原因は「燃焼ガス」
射撃した際の「パァン!」という破裂音は、発射薬の燃焼ガスが銃口から放出される際に発生します。
サイレンサーはこの燃焼ガスを筒の中で拡散し、圧力を抑えつつ放出することで破裂音を減らす、という仕組み。これによって「パスン」「パシュン」という独特な音になります。要は燃焼ガスが漏れ出ない銃ほど、静音性が高まるというわけです。
オートマチックアクションの銃は排莢口からガスが漏れたり、スライド動作音自体が騒音になるため、より隠密性を重視するならボルトアクションのように手動で排莢する銃がベストとなります。
ちなみにシリンダー周りが隙間だらけのリボルバーは、サイレンサーをつけたところで消音効果はほぼありません(一部、サイレンサーを使用できるリボルバーもあります)。
より静かに撃ちたいなら! 亜高速弾(サブソニック弾)のススメ
ソニックブームという言葉を見聞きしたことはないでしょうか。
物体が音速を超える際に発生する衝撃波による轟音のことを指すのですが、ほとんどの銃弾は音速を超えます。
当然これも射撃時の騒音となりますので、音速を超えないように発射薬を減らしたり、弾頭を重くして調整した弾薬が亜高速弾(サブソニック弾)です。
亜高速弾とサイレンサーを合わせることでかなり射撃音を小さくすることができますので、映画のような暗殺シチュエーションでは当然この組み合わせでやっていることでしょう。
この組み合わせの銃はいくつかありますが、イギリスの特殊作戦用拳銃「ウェルロッド」はまさに暗殺者の銃。その射撃音は約70dB程度……これはセミの鳴き声を2メートルの距離で聞いたときと同程度なのだとか。
「え? 結構うるさくない?」と思うかもしれませんが、一瞬だけセミが鳴いたと思ったら暗殺されていると思えば、相当静かではないでしょうか。ミ゛ッ(暗殺)
サイレンサー自体にデメリットはない?
一部のゲームではサイレンサーを装着することで精度や威力、射程が落ちる場合があるのですが、実際はサイレンサー自体にそのような性能低下の効果はありません。
通常の高速弾と組み合わせて使う上では、ただ純粋に30dB程度の騒音軽減が得られます。「パァン」という破裂音を抑制するだけで、撃たれている側からすると方角を特定するのが難しくなりますから、デメリットなしの「着け得」な装備です。
ただ、亜高速弾は銃弾の速度を落としている分、射程や威力の低下は起こりえます。高速弾+サイレンサーでデメリットなしならみんな装備するに決まっていますから、ゲームバランス的な都合で亜高速弾と併せて装備されているのでしょうね。
◎ガンファイト・ガールズの記事
第1話「射撃に適した服装」第2話「銃の選び方」
第3話「車を撃つと爆発する?」
第4話「銃を撃ち落とせる?」
第5話「コック&ロックって何?」
第6話「排莢方向もいろいろ」
第7話「マガジンを抜いても撃てる?」
第8話「ライフルの構え方いろいろ」
第15話「サイレンサーでどこまで静かになる?」
◎参考資料