不遇のプリンセスがイケメン王子様に救われ、人魚のしっぽはヒトの脚になり、怪しい桃をカチ割ったら出てきた男の子がアニマル軍を率いて鬼を倒す――私たちがよく知る童話の世界は、おおむね夢と希望と奇跡にあふれています。
しかしこの記事では、そのような童話の“光”の部分をいっさい無視したいと思います。
たまには、童話に出てくるへんt……ヤバい人たちにスポットライトを当てようじゃないか! という感じで書いていきますので、ポップコーンでも食べながら気楽に読んでいただけると幸いです。
まずは、白雪姫からまいりましょう!
目次
①白雪姫:いきなり来て死体を欲しがる王子様
美しすぎたせいで意地悪な継母に命を狙われた白雪姫。狩人に助けられて森の小人たちと暮らすも、継母に毒リンゴを食べさせられて死亡。しかし通りすがりの王子様の熱いキスによりリンゴを吐いて蘇生! 白雪姫は王子様と結ばれて幸せに暮らしましたとさ……。
というのが、恐らく日本で一番メジャーな白雪姫のお話ではないでしょうか。
なんかもう、現代版の時点で、死因もよくわからん見ず知らずの死体にキスできる王子がうっすら怖い。
しかし、グリム童話の初版のころはもっとへんた……変わった人として描かれています。
毒リンゴを食わされた白雪姫の死体(仮死状態)を、小人たちはガラスの棺にいれて安置していました。そこへやってきた王子は、白雪姫の死体がどうしても欲しくなり、棺ごと譲ってくれと言い出します。この時点でなかなか怖いし、まあまあ空気が読めないんじゃないか疑惑が浮上してきますが、まだ「ん? ボンボンのたわ言かな?」程度です。
小人たちは当然断りますが、王子の謎の熱意に折れ、棺ごと白雪姫の死体を王子に譲りました。
ここから王子のヤバさに拍車がかかります。
寝ても覚めても白雪姫の死体が恋しい。いつまでもいつまでも死体を眺め続ける。
ハアハア死体が近くにないとボクちんゴハンも食べられないの!
レベル高っ。
これ、当時でも相当ヤバい部類の人なんじゃないですかね。
そのうえ面倒臭いのが、彼が強権を行使できる立場だったというところ。
一分一秒でも死体と離れたくない王子のために、お付きの人は超絶重い棺ごと死体を運搬させられます。
まあ、ムカつきますよね。「パパ、お城でどんな仕事してるの?」「うーんそうだな、死体を運んで王子様の特殊な嗜好を満足させるお仕事だよ」なんてパパ絶対言えない。ノーモア・ブラック労働。
とはいえ一国の王子にブチ切れるわけにはいきませんので、お付きの人の怒りは白雪姫の死体に向きました。
「お前のせいで!」とばかりに、白雪姫の背中をブン殴ってストレス発散を図ります。
すると、どうでしょう。
イイ感じの衝撃を受けた白雪姫は、のどにつかえていたリンゴを吐きだして蘇生を果たしました。
そう、白雪姫を目覚めさせたのは王子のキスじゃありません。
モブのワンパン!!
死体を殴ったら動き出したのですから、モブの驚きたるや、お漏らしレベルだったことでしょう。
そんなこんなで目覚めた白雪姫は、手近にいた王子と結婚。ムカつく実母(初版では、毒リンゴを食わせたのは実母です)を呼び出し、真っ赤に焼けた鉄の靴を履かせて死ぬまで躍らせたりして時を過ごします。
しかし、この夫婦は本当に幸せだったのでしょうか?
だって、王子が愛したのは、モノ言わぬ死体だったのですから……。
ちなみに、実母に嫉妬されて城を追われたとき、白雪姫タンは7ちゃい。毒リンゴ事件までと、仮死状態の間に成長はあったと思われますが、それにしても。それにしてもですよ。
王子、おまえ、もしかして……?
というのが、恐らく日本で一番メジャーな白雪姫のお話ではないでしょうか。
なんかもう、現代版の時点で、死因もよくわからん見ず知らずの死体にキスできる王子がうっすら怖い。
しかし、グリム童話の初版のころはもっとへんた……変わった人として描かれています。
毒リンゴを食わされた白雪姫の死体(仮死状態)を、小人たちはガラスの棺にいれて安置していました。そこへやってきた王子は、白雪姫の死体がどうしても欲しくなり、棺ごと譲ってくれと言い出します。この時点でなかなか怖いし、まあまあ空気が読めないんじゃないか疑惑が浮上してきますが、まだ「ん? ボンボンのたわ言かな?」程度です。
小人たちは当然断りますが、王子の謎の熱意に折れ、棺ごと白雪姫の死体を王子に譲りました。
ここから王子のヤバさに拍車がかかります。
寝ても覚めても白雪姫の死体が恋しい。いつまでもいつまでも死体を眺め続ける。
ハアハア死体が近くにないとボクちんゴハンも食べられないの!
レベル高っ。
これ、当時でも相当ヤバい部類の人なんじゃないですかね。
そのうえ面倒臭いのが、彼が強権を行使できる立場だったというところ。
一分一秒でも死体と離れたくない王子のために、お付きの人は超絶重い棺ごと死体を運搬させられます。
まあ、ムカつきますよね。「パパ、お城でどんな仕事してるの?」「うーんそうだな、死体を運んで王子様の特殊な嗜好を満足させるお仕事だよ」なんてパパ絶対言えない。ノーモア・ブラック労働。
とはいえ一国の王子にブチ切れるわけにはいきませんので、お付きの人の怒りは白雪姫の死体に向きました。
「お前のせいで!」とばかりに、白雪姫の背中をブン殴ってストレス発散を図ります。
すると、どうでしょう。
イイ感じの衝撃を受けた白雪姫は、のどにつかえていたリンゴを吐きだして蘇生を果たしました。
そう、白雪姫を目覚めさせたのは王子のキスじゃありません。
モブのワンパン!!
死体を殴ったら動き出したのですから、モブの驚きたるや、お漏らしレベルだったことでしょう。
そんなこんなで目覚めた白雪姫は、手近にいた王子と結婚。ムカつく実母(初版では、毒リンゴを食わせたのは実母です)を呼び出し、真っ赤に焼けた鉄の靴を履かせて死ぬまで躍らせたりして時を過ごします。
しかし、この夫婦は本当に幸せだったのでしょうか?
だって、王子が愛したのは、モノ言わぬ死体だったのですから……。
ちなみに、実母に嫉妬されて城を追われたとき、白雪姫タンは7ちゃい。毒リンゴ事件までと、仮死状態の間に成長はあったと思われますが、それにしても。それにしてもですよ。
王子、おまえ、もしかして……?
◎関連記事
人魚姫が泡になって消えてしまう理由には、神話が関係している?
②シンデレラ:罠を仕掛け、靴のサイズにこだわる王子様
お次はシンデレラ。これも、グリム童話のひとつです。
ストーリーなんて大体ご存じのはずなので割愛しますが、初版の頃も「シンデレラが舞踏会で靴を落とす」「小さい靴をたよりに王子がシンデレラをさがす」という重要なポイントは変わりません。
ただ、少し違うのが「シンデレラと王子は3日連続で顔を合わせていた」というところでしょうか。
というのも、お城での舞踏会は3日連続で開かれていて、シンデレラもきっちり皆勤で参加していたからです。家族にバレたらヤバい状況の割には、度胸がありますね。そういう娘は嫌いじゃないよ。
さて、王子は1日目からシンデレラにメロメロです。
なんとか捕まえておこうとするのですが、シンデレラは彼の隙をついて逃げてしまい、会場から姿を消すのでした。
ドレス姿で大の男を撒くのですから、シンデレラの身体能力の高さがうかがい知れます。メタ●ギアかな?
そこで王子は、一計を案じます。
追跡不能。我は罠を設置す――。
3日目、いつものように逃げ出したシンデレラですが、王子が階段に仕掛けておいた粘着物質に足をとられ、靴をその場に置いて逃げざるを得ませんでした。
階段に罠って、殺す気か? とか思わなくもないですが、恐らく王子はその前の2日間でシンデレラが持つスネークばりの能力を見抜いていたのでしょう。シンデレラは王子の期待に応え、無事に帰宅しました。
そして、女を取り逃がしたものの靴をゲットした王子が動きます。
「この靴がぴったり合う足の女が俺の嫁!」
うーん。
うーんこの……。
勇み足感!!
一応、シンデレラはめちゃくちゃ足が小さくて、他にそんな足の女性はいないだろうと思われていたようです。
とはいえ、あまりにも足が小さいとバランスが取りづらそうですし、本当にそこまで小さかったのでしょうか。かつての中国に纏足という文化がありましたが、纏足の小さな足で走り回るのは難しかったようですし……。
王子から走って逃げきれる程度の小ささ、というと、やはり国中さがせば他にも該当者がいたかもしれない(いる可能性も考えられた)サイズだったのでは? と疑問がわいてきます。
そもそも、ただの嫁選びじゃなくて未来の王妃選びなわけですよね。そのチェック項目が足オンリーってなにそれ大丈夫?
っていうか、顔は??
髪の色とか目の色とか身長とかは??
3日連続、至近距離でめっちゃ踊ってたのに???
……もしかすると、舞踏会のシンデレラが全体的に盛りまくってたせいで、個人の特徴なんて無きに等しい状態だったのかもしれません。
罠も回避され、シンデレラのすっぴんが全く想像できなくて途方に暮れた王子。
唯一残された「なんか靴ちっせぇな」だけを手掛かりに、人生最大のバクチに打って出たとしたら。
一国の王子として、相当ヤバいのではないでしょうか……。
アナ雪の元ネタ!多数の関連作品を生んだ童話『雪の女王』
③裸の王様:本当は見せたい皇帝陛下
最後は、裸の王様です。
アンデルセン童話の中でも代表的なお話で、教訓もありますが、ツッコミどころも多め。見栄を張って素っ裸で歩き回っていた一国の王が、そのへんのキッズに「裸じゃん」と指摘されてしまう衝撃のラストが有名ですね。
元ネタは、スペインの寓話集に収録されていた「ある王といかさま機織り師たちに起こったこと」という物語。それをアンデルセンが翻案・発表したのが「裸の王様」で、原題を直訳すると「皇帝の新しい服」になります。
アンデルセンが最初に発表して以降、現代にいたるまでストーリーの大枠に変化はないようですが、主人公が“王様”ではなく“皇帝”だった、という点で、若干ヤバさが増すような気がしますね。
とはいえ、言うべきことは1つだけです。
皇帝陛下、
本当は、見せたかったんでしょ?
詐欺師たちが持ってきたのは、「自分の地位にふさわしくない者や、手に負えないぐらいのバカ」には見えない布地でした。嘘ですけどね。
大臣も他の家来も見えるって言うし、俺が見えないなんて言えないしな……とかいう葛藤があったのはわかりますが、素直にそれ着る必要なくない?
お城の中ならね、わかります。
まあ優秀な人材が揃ってる前提で考えたいでしょうし、服が見えない人は99%いないと思っててもいいでしょう。万が一“手に負えないバカ”が居てすっぽんぽんを見られても、自宅では裸族な人もいるから恥ずかしくありません。たぶん。
しかし、皇帝は何を思ったのか太陽の下に出て、パレードまでやってしまいました。
……いるよ?
「自分の地位にふさわしくない者や、手に負えないぐらいのバカ」
たぶん、いるよ?
むしろ、国中さがして「自分の地位にふさわしくない者や、手に負えないぐらいのバカ」がゼロだったら凄いなって思いませんか?
割合はともかく、服が見えない層も一定数いるんじゃないか? と考えるのが普通です。
一部の人にはすっぽんぽんを見せちゃう覚悟がない限り、パレードやろうなんて思い切ったことはできません。
……もう、見せちゃおうかな。
葛藤とともに、皇帝の心の中にイケナイ気持ちが芽生えたのではないでしょうか?
やっちゃいけないことをやるって、興奮しますよね。ストレス溜まってるときとか特に。
ちなみに、現代までの裸の王様の挿絵をみると、多くのものでパンツぐらい履いています。
これは児童へのビジュアル的な配慮なのかもしれませんが、仮に「パンツは普通のやつでOK」という条件だったなら、もっとのびのびウォーキングできそうですね!
さいごに
グリム童話やアンデルセン童話など、有名な童話集に収録されているお話には、元ネタが存在するものも多くあります。
元ネタではストーリーが大きく異なる場合もありますし、童話集として発表されてからも版を重ねるごとに表現が削られたり、元に戻ったり、変化したりして、現代の私たちが知る童話の形になっていきました。
最近では、桃太郎が鬼とケンカせずに話し合いで解決したり、赤ずきんちゃんの狼が腹をパッカーンされずに終わったり、かなりマイルドな展開の絵本も増えてきたようです。
常識人しかいない童話の世界を楽しむもの良いですが、たまには、昔ながらのヤバめの登場人物たちに暴れてほしいものです。
鬼VS人間! 日本の有名な鬼が討伐される物語3選