この冬、待望の日本語版が登場したD&Dコミック「DUNGEONS&DRAGONS 影の疫病」、「DUNGEONS&DRAGONS ダークエルフ物語外伝 ネヴァーウィンター物語」、「DUNGEONS&DRAGONS バルダーズゲートの伝説」3作品をより楽しめる、各々の冒険舞台について紹介します。
DUNGEONS&DRAGONS 影の疫病(KADOKAWA) |
「DUNGEONS&DRAGONS 影の疫病」の舞台となるフォールクレスト(「滝の頂」の意)とその周辺は、『ダンジョンズ&ドラゴンズ ダンジョンマスターズガイド 第4版』(原題:“Dungeons & Dragons Dungeon Master's Guide” WotC 2008、ホビージャパン 2008)で一章を占めて紹介されたPCのベース・タウンです。ネンティア谷の中央に位置するこの地方最大の都市で、人口や地形、政治体制、宿屋、酒場や商店、寺院といったPC向けの設定に、魔法使いの門、カムロス邸、セプタークの塔、王の門、地下墓地などといった、「いわれのある施設」も設定されています。
ネンティア谷は、谷とはいいながら東西に200マイル弱(300キロ強)あり、谷底として広がる平野も南北に100マイル(160キロ)ほどある盆地というべきかもしれない、広い谷です。公式アトベンチャー・シナリオで舞台となった冬越村、シャドウフェル城、雷鳴山など多数の冒険の舞台が設けられています。
実は「ネンティア谷」は、第4版で新たに設定された公式世界です。それまでに設定が増えた巨大な世界を学ばずとも十分な「箱庭」として遊べるD&Dの世界として創られました。その方針から設定公開は公式アトベンチャーで舞台となる地域が紹介される形にとどまっていました。
ネンティア谷を含む世界全体は、D&Dボードゲーム「CONQUEST OF NERATH Board Game」(2011 WotC 未訳)で見ることができます。ネラスとは、この世界のほとんどを一度は治めた古代帝国です。帝国が瓦解して群雄割拠のなか、CONQUEST(征服)のタイトル通り、軍隊を率い世界の覇を競うボードゲームです。シミュレーション・ゲーム風で、ユニットには、ヒーローとして Fighter や Wizard 、飛行ユニットに Storm Elemental や Dragon も存在したりする、剣と魔法の世界の征服ゲームとなっています。
ダークエルフ物語外伝 ネヴァーウィンター物語(KADOKAWA) |
「DUNGEONS&DRAGONS ダークエルフ物語外伝 ネヴァーウィンター物語」、「DUNGEONS&DRAGONS バルダーズゲートの伝説」は、そのタイトルにフォーゴトン・レルムの有名な都市の名前を冠しています。
ネヴァーウィンター、バルダーズ・ゲートとも、フォーゴン・レルムのソード・コースト地方の大都市で、テーブルトークRPGにとどまらず、小説、電子ゲーム、コミックと多くの冒険譚が紡がれ、無数のキャラクターが冒険を繰り広げる場所です。
D&D第5版ではどちらも『ソード・コースト冒険者ガイド』(以後"SCAG" 原題:"Sword Coast Adventurer's Guide" WotC 2015、ホビージャパン 2018)で、市街地図つきで紹介されている特別な場所です。
デイル暦1,479年のネヴァーウィンターを「現在」として紹介する、D&D第4版『ネヴァーウィンター・キャンペーン・セッティング』(原題:"Neverwinter Campaign Setting" WotC, 2011、ホビージャパン 2013)には、ドリッズト・ドゥアーデン、ブルーノー・バトルハンマー、ジャーラックスルによる探索について触れられていて、ネヴァーウィンターの滅びを防ぐ物語があります(原題:"Neverwinter Saga" WotC 2010 - 2013 未訳)。ドリッズトとジャーラックスルが2人で、ネヴァーウィンターの西端に廃墟を晒すネヴァー城の中庭に野営をし、現在はそこをジャーラックスルが組織的なドラウの拠点にしていることになっています。アンダーダークから脱出する「ダークエルフ物語」と、地上に出てからの「アイスウィンド・サーガ」の物語の先にて、ドリッズトは"北方の至宝"と称えられる都市と深い縁を結んでいるのです。
DUNGEONS&DRAGONS バルダーズゲートの伝説(KADOKAWA) |
バルダーズ・ゲートは、海賊の隠れ港から長い時間をかけて成立した都市です。その由来もあり住人の間の貧富の差は激しく、暴力、陰謀、悪徳もはびこり、悪神である“殺戮の王”ベハルとの縁も濃い、ダークで乱暴・乱雑な雰囲気の大都市です。アドバンスドD&D第2版をベースに制作されたパソコン・ゲーム『バルダーズゲート』で、ベハルに絡む冒険が描かれました。「バルダーズゲートの伝説」で登場するミンスクとブーこそ、この『バルダーズゲート』で登場する仲間です。PCゲームの「バルダーズゲート」シリーズは、2019年に"Baldur's Gate 3"の開発も公表されています。
さらに、D&D第4版/NEXT対応アドベンチャー『殺戮のバルダーズ・ゲート』(原題:“MURDER IN BALDUR'S GATE SUNDERING ADVENTURE I” WotC 2013、ホビージャパン 2014)でも、ベハルの深い陰謀が影を落としています。D&D第5版では『バルダーズ・ゲート:地獄の戦場アヴェルヌス』(原題:Baldur's Gate: Descent Into Avernus WotC, 2019 ホビージャパン 2020予定)としてシティ設定とアドベンチャーを収録したサプリメントが発売されています。第5版での物語は中盤から九層地獄の第一階層に舞台を移しますが、アドベンチャーの後ろには、バルダーズ・ゲートのシティ・ガイドが掲載されていて、『殺戮のバルダーズ・ゲート』を踏まえたNPCや、組織、出来事などが設定されています。
コミックで剣と魔法の冒険譚のビジュアルがたっぷり楽しめるのに加え、繰り広げられる冒険の舞台についての設定を知っていれば、コミックの面白さが増すこと間違いありません。
〉D&Dのはじめかた一覧
ダンジョンズ&ドラゴンズ 日本公式サイト
http://hobbyjapan.co.jp/dd/
著者 ジョン・ロジャーズ
作画 アンドレア・ディ・ヴィート
訳者 府川 由美恵
〉公式サイト
共著 R.A.サルバトーレ
共著 ゲーノ・サルバトーレ
作画 アグスティン・パディリャ
訳者 府川 由美恵
〉公式サイト
著者 ジム・ザブ
作画 マックス・ダンバー
訳者 府川 由美恵
〉公式サイト