いよいよ年の瀬が迫ってきました。この時期の行事といえば、やはりクリスマス。日本では恋人や友人と楽しく過ごすイベントですが、本来キリスト教の宗教行事であることは皆さんご存知でしょう。
キリスト教圏では、クリスマスに特別なミサ(礼拝)が行われます。今回は、そんなクリスマスのミサについて解説しましょう。
目次
基礎知識を確認! クリスマスのミサってどんなもの?
まず、クリスマスのミサとはいったいどんなものなのか、基本を確認しておきましょう。
ミサとは最後の晩餐に由来を持つ、カトリック教会で最も重要な典礼。なお、ミサという言葉はカトリックのもので、プロテスタント教会では礼拝と呼びます。
一般的なミサは、以下のような手順で行われます。
①開祭:司祭の入堂、聖歌、祈祷
②言葉の典礼:聖書朗読、司祭による説教
③感謝の典礼:聖歌、祈祷
④交わりの典礼:主の祈り、聖歌、聖体拝領
⑤閉祭:祝福、聖歌、司祭の退堂
②言葉の典礼:聖書朗読、司祭による説教
③感謝の典礼:聖歌、祈祷
④交わりの典礼:主の祈り、聖歌、聖体拝領
⑤閉祭:祝福、聖歌、司祭の退堂
合間にミサの目的に合わせた聖歌や祈祷などが入りますが、おおむねこのような流れです。聖歌は聖歌隊が歌うこともあれば、会衆で斉唱することもあります。また聖体拝領は洗礼を受けた信者のみに許される儀式で、一般の参加者は聖体のかわりに、司祭から「祝福」を受けることになります。
クリスマスのミサも、基本的な流れは通常のミサと同じ。聖書の語句がキリストの生誕に関するものになったり、歌われる聖歌がクリスマスにちなんだものになったりします。クリスマスの聖歌はポピュラーアレンジされて広まった曲も多いので、信者でなくても知っている曲があるかもしれません。
加えてクリスマスのミサでは、付随してミニコンサートが開かれたり、キリスト生誕の再現劇を上演したり、会衆にキャンドルが配られて儀式中に炎を受け渡すキャンドルサービスが行われるなど、特別な行事が実施されることがあります。
またクリスマスの時期はクリスマスツリーやリースなどで飾りつけをする教会も多いので、見ているだけでも楽しめますよ。
「きよしこの夜」発祥の地でクリスマスのミサを体験!
クリスマスのミサを体験するなら、やはりキリスト教圏の教会に行ってみたいもの。ですが、どこの教会に行ったらいいのか、そもそも信者でなくても入れるの? など、疑問が多々あるのではないでしょうか。
そこでここからは、クリスマスのミサに気軽に参加できる教会をご紹介します。
特におすすめなのが、オーストリアのオーベンドルフ。この街で行われるクリスマスのミサは、世界中から観光客が集まる人気の行事となっています。というのも、ここが有名なクリスマスの聖歌「きよしこの夜」発祥の地だから。
「きよしこの夜(Stillen Nacht)」の初演は1818年。ナポレオン戦争がヨーロッパ全土を席捲した時代に、オーベンドルフの聖ニクラウス教会で司祭を務めていたヨーゼフ・モールが作詞し、オルガン奏者のフランツ・クサーヴァ・グルーバーの作曲によって作られました。その後「きよしこの夜」は旅芸人を通じて広く受け入れられ、作曲者のグルーバーは後年に「きよしこの夜」の誕生秘話も書いています。
聖ニクラウス教会はのちに取り壊されましたが、跡地に建った「きよしこの夜礼拝堂」で現在でもクリスマスのミサが開かれています。「きよしこの夜博物館」やクリスマスマーケットも併設されており、今ではクリスマスシーズンに大勢の観光客が訪れる観光地となりました。
「きよしこの夜礼拝堂」は、気軽にミサに参加しやすい教会の筆頭といえるでしょう。
>2019年12月24日限定「きよしこの夜」礼拝堂ミサ参加ツアー<ザルツブルク発>
https://www.veltra.com/jp/europe/austria/salzburg/a/12493
総本山ヴァチカンのクリスマスミサは大人気イベント!
カトリックの総本山といえば、ご存知ヴァチカン。ヴァチカンのクリスマスミサは、ローマ教皇が直々に司式します。そう聞くと一般人には無縁の典礼のように思えますが、実はヴァチカンのクリスマスのミサも、誰でも参加できるのです。
ヴァチカンのクリスマスのミサは、クリスマス・イブの夜にサン・ピエトロ大聖堂で行われます。入場券はヴァチカンの公式サイトから事前に申し込みができますが、当日は入場券を持たない人たちが外のサン・ピエトロ広場に詰めかけ、生中継も行われて、大変な盛り上がりを見せます。
カトリックの総本山で行われるクリスマスのミサは、やはり格別。もし参加できたら、忘れられない記憶となることでしょう。
ちなみにクリスマスはヨーロッパにおける元日のようなものなので、クリスマス当日付近には店が閉まって閑散としてしまう都市も多いのですが、ローマはヴァチカンを訪れる人が多いこともあって比較的賑わっています。そういう意味でも、ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂はクリスマスのミサに参加しやすい教会といえるかもしれません。
催し満載! ウェストミンスター寺院のクリスマスミサ
一方、カトリックから16世紀に分離したイギリスの英国国教会でも、クリスマスのミサが開催されます。
イギリス国王の戴冠式をはじめ王室の儀式が行われるロンドンのウェストミンスター寺院では、クリスマス・イブから当日にかけて何度もミサが行われ、信者だけでなく観光客も大勢訪れます。
ヴァチカンと同じく入場には事前予約の入場券が必要。しかし、当日券を狙って列に並びに来る人も多いようです。
またクリスマス当日だけでなく、ウェストミンスター寺院ではこの時期にクリスマスコンサートやキャンドルサービスなどが頻繁に行われますので、それらのイベントに参加してみるのもいいでしょう。有名なバラ窓など、世界遺産に登録された建物の美しさももちろん楽しめますよ。
ただしロンドンのクリスマスは店がことごとく閉まり、交通機関も早い時間に終了してしまうことで知られていますので、帰りの交通手段の確保はお忘れなく。
非信者歓迎!? クリスマスのミサに参加してみよう
そうはいっても海外まで出かけるのは大変という人は、近くの教会のクリスマスのミサに参加してみましょう。日本国内にもキリスト教会はたくさんあります。
もともとキリスト教会は、信者でない人の訪問を歓迎するもの。特にクリスマスは非信者が多く訪れます。式次第はたいてい入口で配布されますし、聖歌や祈祷のタイミングも司式の司祭が案内してくれますので、浮いてしまうのではといった心配は無用です。
国内外を問わず教会は宗教施設ですから、典礼中の私語や撮影を慎むなどの配慮が必要ですが、あまり構える必要はありません。
それでも敷居が高く感じる人は、上智大学に隣接する聖イグナチオ教会など、学校や教育施設に関係の深い教会を狙うのもおすすめ。
今年のクリスマスは教会のミサに参加して、一味違った厳かな時間を過ごしてみるのはいかがでしょうか。
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