アルセーヌ・ルパンはルパン三世の祖父という設定ですが、いったいどんな人物なのでしょう? オススメの作品とともにご紹介しましょう。
目次
アルセーヌ・ルパンってどんな怪盗?
アルセーヌ・ルパンはフランスの小説家モーリス・ルブラン作の推理・冒険小説「アルセーヌ・ルパン」シリーズの主人公です。ルパン三世と同じく女性に惚れやすい性格ですが、殺人を嫌うなどルパン三世とは異なる一面も特徴です。
これだけは押さえておきたい!「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」
- 怪盗であり紳士。殺人を嫌い、弱者の味方をする義賊のような一面を持つ。
- 変装の達人で、たくさんの偽名を使う。
- シリーズ第1作でいきなり逮捕されている。
- 惚れやすい性格で何度も結婚し、少なくとも3人の子どもがいる。
- 名探偵シャーロック・ホームズとも対決したことがある。
アルセーヌ・ルパンは1874年に生まれ、19歳の頃から「アルセーヌ・ルパン」と名乗りはじめます。大胆不敵な方法で宝物を盗み出し、逮捕されても脱獄して再び盗みを行うという正統派(?)の怪盗で、なんとシリーズ第1作からいきなり逮捕されています。
ルパン三世のライバルといえば銭形警部ですが、アルセーヌ・ルパンにもジュスタン・ガニマール警部というライバルがおり、何度も対決しています。
アルセーヌ・ルパンの特技は変装で、偽名を使いさまざまな国籍・地位の人物になりきっています。なんと警視庁に勤めたり、探偵社を開業していたこともありました。また愛国心が強く従軍経験もあり、モーリタニア帝国を征服してスルタン(皇帝)に即位したこともあります。ルパンというと「シルクハットに片眼鏡、夜会服」というイメージが定着していますが、実際には変装してさまざまな人物になりきり、各地を飛び回っていたのです。
ルパン三世の父親は誰?
ルパン三世はアルセーヌ・ルパンの孫という設定ですが、では二世は誰なのでしょう?
誰もが気になる疑問ですが、残念ながら答えははっきりしていません。
初代ルパン(アルセーヌ・ルパン)は惚れやすい性格でしたが、好きになった女性は一途に愛し続けるところもありました。しかし相手の女性が亡くなってしまったり、ルパンのもとを去ってしまったりしたため、結果的に何度も結婚を繰り返しています。
子どもは少なくとも3人おり、最初の結婚相手クラリスとの間には一男一女に恵まれましたが、女の子の方は誕生後すぐに亡くなってしまいます。その他、別の女性との間にも娘が生まれています。
このことから考えると、クラリスとの間に生まれた息子ジャンがルパン二世ということになりそうですが、惚れやすい性格のアルセーヌ・ルパンは他にも子どもをもうけている可能性が大いにあります。また『ルパン三世』シリーズでもはっきりとは描かれていないため、誰がルパン二世なのかは謎のままなのです。
独断と偏見で選ぶアルセーヌ・ルパンのオススメ作品
「アルセーヌ・ルパン」シリーズは複数の長編・短編で構成されており、1907年に最初の短編集が出版されて以降、今なお老若男女問わず幅広く愛読され続けています。
シリーズの中で、アルセーヌ・ルパンはかの有名な名探偵シャーロック・ホームズと対決したこともありました。その作品も含め、アルセーヌ・ルパンの活躍をぜひ読んでみたいという方のために、独断と偏見で特にオススメの作品をご紹介しましょう。
※出版社によって題名の邦訳が異なる場合があります。
最初に出版された短編集で、シリーズ第1作となる「ルパン逮捕される」や、ルパンが若い頃のエピソードなどが収録されています。
シリーズの中でも人気のある長編で、青空文庫でも読むことができます。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001121/card46187.html
探偵役はなんと高校生。作中にはライバルのガニマール警部やシャーロック・ホームズも登場し、推理対決や暗号解読など読み応えたっぷりです。絵画やフランスの歴史が好きな方にもオススメ。
「奇岩城」と並びこちらも評価の高い名作です。繰り返される殺人、明らかに怪しい登場人物、あっと驚くラストなど、推理小説好きにはたまらない魅力が散りばめられています。
あの名探偵シャーロック・ホームズと対決! 「金髪の美女」「ユダヤのランプ」の2話から構成されています。日本語訳では「シャーロック・ホームズ」の表記が一般的ですが、実はホームズの作者コナン・ドイルから怒られてしまったため、原文ではショーメス(またはショルメ)という名前で登場しているという逸話があります。
ルパンシリーズ最新作! なんと著者が亡くなった70年後の2012年に未発表原稿を孫娘が再発見し、刊行されました。ルパンファンならぜひ。
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「ルパン」シリーズを出している出版社・文庫には、偕成社、創元推理文庫、新潮文庫、ハヤカワ・ミステリ文庫などがあります。
もしお子様が読むなら、ポプラ社、岩波少年文庫、講談社青い鳥文庫、角川つばさ文庫などもオススメです。ただし出版社によっては子ども向けに多少リライトされていることもあるため、原文に忠実な訳が読みたい方は事前にご確認を。
アルセーヌ・ルパンは人気が高く、シリーズ作品以外にもルパンが登場する作品や、ルパンをモチーフとした作品が多数登場しています。「ルパン三世」シリーズの他、2018年から放映されていた特撮ドラマ「怪盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」などもそのひとつです。「ルパン三世」や「ルパパト」シリーズ好きの方も、ぜひ原作小説も読んでみてください。面白いですよ!
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