やまねこ翻訳クラブのメールマガジン「月刊児童文学翻訳」で連載している「お菓子の旅」では、小説に登場する美味しそうなお菓子を再現したレシピを紹介しています。
そんな夢のようなお菓子を作っている赤塚きょう子さんのブログ「つくってみた。」の記事をパンタポルタでも一部お届けしちゃいます!
(記事はブログの内容を転載したものです。:http://tsukuttemita.jugem.jp/)
『瓶に入れた手紙』のピタ
やまねこ翻訳クラブのメールマガジン「月刊児童文学翻訳」2019年10月号のお菓子の旅でピタを紹介しました。ピタはお菓子ではないのでは? という突っ込みが聞こえるような気がしますが、これまでにもベーグルやチャパティを紹介しているので、許容範囲……のはずです。
数年前からイスラエルのお菓子を紹介したいと思っていて、イスラエルでどんなお菓子が食べられているのか調べつつ、イスラエルを舞台にした作品をかたっぱしから読み、何かお菓子が出てこないか探しました。でも、日本で紹介されている作品の絶対数が少ないこともあって、お菓子が出てくるような作品が見つかりません。範囲をユダヤに広げ、第二次大戦中のポーランドが舞台にした、ユダヤ人の男の子が主人公の作品もいろいろと読んでみましたが、お菓子が登場する作品は見当たりませんでした(これは当然といえば当然なのですが)。
で、最終的に『瓶に入れた手紙』(ヴァレリー・ゼナッティ作/伏見操訳/文研出版)を選びました。
『瓶に入れた手紙』(文研出版) |
日本から中東は遠くて、ガザ地区やテルアビブといった地名を聞いても、なかなかぴんとこないのではないでしょうか。この作品は冒頭にイスラエルの地図が掲載されているほか、訳者あとがきでも背景知識について詳しく説明されていて、現代のイスラエル・パレスチナが抱える問題についての資料的な側面もあります。書かれていることはフィクションですが、登場人物の気持ちに寄り添うことによって疑似体験できるのは、フィクションのよさではないでしょうか。
昨今、書店の棚にパン作りの本はたくさん並んでいますが、ピタの作り方が載っているような本は見かけませんでした。わたしが参考にした2冊、『エキゾチックなパン』(中道順子著/グラフ社)も『おうちで作る世界のパン』(パンシェルジュ検定運営委員会編集/実業之日本社)も現在は絶版です。この2冊とイスラエル料理 レシピ「手軽に作れるピタパン」 B.F.P. Japanというサイトを参考にしながら試作を重ね、最終的に自分で作り方を考えました。
混ぜたり、こねたり、発酵させたりは、力もいるので、ホームベーカリーに任せてもいいと思います。わたしは手でこねるのが好きなので、すべて手でやりました。『ロイスと歌うパン種』(ロビン・スローン作/島村浩子訳/東京創元社)を読んで以来、パンを作るときは(手でこねて作るときも、ホームベーカリーを使って焼くときも)音楽を流すことにしています。今回のBGMは昔、近所のホームセーターのワゴンセールで売っていた『イディッシュ・クラシック』というCD。「ハバ・ナギラ」や「マイムマイム」などが収録されていて、思わずフォークダンスが踊りたくなります。
『ロイスと歌うパン種』(東京創元社) |
★月刊児童文学翻訳2019年10月号の「お菓子の旅」(レシピはこちらに記載あり)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2019/10.htm#okashi