前回までの武器での攻撃から、hpの意味とキャラクターの生死に続いて、戦闘中の呪文のルールを紹介していきます。呪文は戦闘用のものだけでなく、戦闘ではない場面でも様々な工夫を活かすことのできる呪文がいくつもありますが、マジック・ポイント的なものを「呪文スロット」と呼び、これを消費して使う点は共通です。
呪文は、「相当する呪文スロットを消費」して、必要な「発動時間」をかけて使うと宣言するだけです(ゲーム世界の中のPCは、材料を消費したり、手で印を結んだり、呪文を声に出して詠唱したりしています)。これはウィザード、クレリックをはじめ、PHBにあるウォーロック、ソーサラー、バードなどの呪文を使うクラスでも共通です。
「スターター・セット」のウィザードとクレリックは、キャラクター・シート中央の「攻撃&呪文」と「特徴」の欄に呪文について書かれています。「特徴」欄の「呪文発動能力値」に書かれていることは次回紹介します。今回は「攻撃&呪文」をみて下さい。
「攻撃&呪文」では、まず「初級呪文」の項目があります。ここに書かれている呪文は、呪文レベルをゼロとして扱い、そのPCは、準備(後述)をしておかなくても、かつ呪文スロットを消費しなくても、発動ができる"身についた"呪文です。
呪文の内容は、サプライ製品の『D&D呪文カード:秘術』『D&D呪文カード:クレリック』を用意したり、「スターター・セット・ルールブック」にある使う呪文の部分をコピーしたり、書き写したり、スマートフォンで撮影するなどして手元に控えておくとスムーズに遊べます。
まず、呪文をかける目標を決めます。攻撃ならモンスター、回復や強化なら自分や味方PCの誰か、物や場所を指定する呪文もあります。多くの呪文は、目標が見えている必要があります。離れていてどこまで届くか、あるいは目標に触っている必要があるかが、呪文の「射程」の項目に示されています。
呪文を詠唱したりして発動させるため必要な時間として「発動時間」が指定されています。戦闘中に使う呪文の多くは武器を使うのと同じ種類のアクションとして、「1アクション」のほか「1ボーナス・アクション」などが設定されています(*1)。呪文スロットを消費する必要がない初級呪文も、「発動時間」は説明に書いてあるアクションや時間をかけて発動します。
次に「呪文スロット」を考えます。両方のクラスとも「呪文スロット:君は1レベルの呪文スロットを2つ持っており、準備している呪文を発動するのに使用できる。」とあります。これは「レベル別のマジック・ポイント」と考えるとわかりやすいでしょう。1レベル呪文を一回発動するのには、1レベルの呪文スロットを1つ消費します。後々PCのレベルが上がって、2レベルの呪文スロットが得られれば、2レベルの呪文を発動することができます(*2)。呪文スロットは使うと消費してなくなり、「小休憩」「大休憩」といった機会に復活します。
その次の項目「準備呪文」(ウィザード)、「準備している呪文」(クレリック)とは、「すぐに発動できるようにしてある呪文」を意味します。書いてある数(両方とも4つ)だけ、呪文の効果を読んで使いたい呪文を選んでおきましょう。
呪文は、知っていたり呪文書に書き留めてあるだけではとっさの行動で発動することができません。そのために「知っている呪文」から「すぐ使う呪文」を選り抜いておくのです。準備している呪文の発動は、呪文スロットを消費するのみで、次のターンにさらに別に呪文スロットを消費することができれば、準備している中で同じ呪文を繰り返し発動することができます。準備して置ける呪文の数も、PCのレベルが上がると増えていきます。
このようなルールに則って、敵を目標にしたり、味方や物体にかけて効果を得たりする形で、呪文の効果が発揮されます。呪文の内容によって、命中したかどうか、目標が抵抗したかどうかといった判定があります。さらに「マジック・ミサイル」や「スリープ」の呪文は、独特の処理で効果を表します。
次回は、「呪文発動能力値」にあることを含め、これらの「効果が及んだかどうか」の判定ルールを紹介したのち、ウィザードとクレリックで異なる「知っている呪文」について説明します。
(*1) 呪文の効果・用途によって様々。「スターター・セット・ルールブック」に収録されている呪文では、他に「リアクション」「1分」「10分」がある。
(*2) 1レベル呪文を、2レベル呪文スロットで発動することもできます。呪文の中には、高いレベルの呪文スロットを消費すると効果が高まる呪文(マジック・ミサイルの本数や、スリープの効果など)もあります。逆はできず、高いレベルの呪文を、それよりも低いレベルの呪文スロットで発動することはできません。2レベル呪文は、1レベル呪文スロットでは発動しません。
次回は12月7日(土)に公開予定!
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