今回は、前回の続きで戦闘遭遇の進行について解説していきます。
PC、モンスターを含め、イニシアチブの値が大きい方からターンが来て、行動を解決していきます。戦闘に用いる武器などはキャラクター・シート(図1)の「攻撃&呪文」に書いてある通りですが、ウィザードとクレリックの呪文は、事前に選択しておく必要があります。はじめてプレイするのであれば、注(*1)の呪文を準備しているとして読み進めてください。
(図1)クリックで拡大できます |
敵を倒すために攻撃を命中(ヒット)させ、ダメージを与えてhpを減少させる必要があります。では攻撃に使えるものは何でしょうか。武器にしろ呪文にしろ、目標になるものとの間の距離によりますので、位置関係を確認しましょう。
戦闘が始まる時に、DMがPCの位置を確認しました。モンスターについては戦闘遭遇の手順の箇条書きに書いてありますので、DMは合わせて敵の位置を確認します。ここでは3つのエリアが想定できます。
(1)PCたちの馬車:馬車の近くにいるPCたち
(2)矢で死んだ馬:馬を調べようと近づいたPCたち
(3)敵の隠れ場所:敵モンスターが<隠密>で隠れているつもりの場所
(1)と(2)は、読み上げ文で「50フィート(つまり15m)」とされています。(2)と(3)は、箇条書きのDM用情報に、「パーティから30フィートの距離からの遠隔攻撃を仕掛ける」とあります。
これを戦場として、
(1)PCたちの馬車:(2)(3)へは遠隔の攻撃が必要。PCが備えている遠隔武器(PC:ジャヴェリン、ハンドアックス、ショートボウ、ロングボウ。距離については「攻撃&呪文」の欄に記載がある)と、距離が届く呪文。移動で50フィート前進すれば(2)に入れる
(2)矢で死んだ馬:ここにいるクリーチャーは互いに近接の攻撃ができる(PC:グレートアックス、ウォーハンマー、ショートソード、グレートソード、敵:シミター)。(1)(3)へは遠隔の攻撃が必要。
(3)敵の隠れ場所:(2)(1)へは遠隔の攻撃が必要(敵:ショートボウ)。30フィート移動すると(2)に入れる
とします。
自PCのターンがきたプレイヤーは、自分のPCがどこにいるかによって移動とアクションをどのように行うか選択します。
PCが(2)にいて、敵も(2)にいるなら、敵モンスターを近接攻撃することができます。
もし(1)にいるとなると、ヒューマン(移動速度30フィート)もドワーフ(移動速度25フィート)も1度の「移動」では(2)に到達できません。そのためアクションで「早足」を選び(2)に進む必要があります(*2)。この場合、移動とアクションを使ってしまうのでターンが終わるため、攻撃できるのは次のターンになります。
敵モンスターは移動速度30フィートをもつので、DMは敵モンスターのターンが来たら書いてある通り(2)へ移動して近接攻撃をする者と、(3)にいてショートボウで遠隔攻撃をする者をプレイします。
なお、「不意打ち」の確認で、不意打ちを喰らってしまったPCは、第1ラウンドのターンになっても行動がないことを忘れないでください。
戦闘においても、行いが成功するかどうかの判定は20面ダイス(d20)を使って行われます。他の面数のダイスは、効果の幅を決めることに使われます。
攻撃は届く攻撃方法を選択し、d20の出目と「攻撃ボーナス」を計算します。
その値が目標のAC以上なら命中で、ダメージを計算し、目標はダメージだけhpを減少させます。AC未満ならハズレで何も起きません。
たとえば、(2)にいるファイター(貴族)が同じ(2)にいる敵を攻撃するなら近接攻撃が可能で、グレートアックスを使うでしょう。攻撃のためにd20を振り、今回は11が出たとします。このファイターのグレートアックスでの攻撃ボーナス「+5」を計算し、今回は「16」になります。
これが当たるかどうかは、攻撃を受けた敵クリーチャーの「アーマー・クラス」(AC)によります。DMは攻撃の目標のクリーチャーのデータ・ブロックを見て、「AC:15(レザー・アーマー、シールド)」と確認します。
攻撃の値がAC以上なら、攻撃が命中(ヒット)します(*3)。もし11ではなくて出目が9と悪く、この攻撃が「14」までになってしまったなら、目標のACより低いので攻撃はハズレます。DMは、ヒットしたかどうかプレイヤーたちに言って明らかにしましょう。
ヒットしたらダメージを出します。ここで初めて、20面ダイス以外のサイコロを使います。
ファイター(貴族)のプレイヤーは、グレートアックスの「攻撃ボーナス」の右にある「ダメージ/種別」の式にしたがい、ダメージのダイスを振ってプラス数値を加算し、ダメージ点数を確定します。読み方は「[ダイスの個数]d[ダイスの面数]」です。
このファイターのグレートアックスは「1d12+3」ですから12面ダイス1つを振って、出目に+3します。その結果の値だけ、目標になった敵クリーチャーはhpが減少します。
目標のACに届かなかった場合は、攻撃は外れて何も起きません(*4)。
攻撃のためのd20を振った出目が最小の1だったら、「自動的失敗」で必ずハズレです。目標のACや状態も関係なく、どんな名人であっても出目が1だったら失敗です。(*5)
逆に最大の20が出たら「クリティカル」となり、「ダメージ/種別」で用いるダイスの個数が倍になります。このグレートアックスでの攻撃がクリティカルしたら、ダメージの計算はダイスの数が倍になり「2d12+3」となります。
この手順は、近接武器攻撃、遠隔武器攻撃とも同じです。敵クリーチャー側も同じで、シミターで近接武器攻撃か、ショートボウで遠隔武器攻撃をする場合にも、データ・ブロックのアクションの項目に書いてあるデータで武器攻撃を行い、PCたちのhpをゼロにしようとします。
近接攻撃と遠隔攻撃の距離以外の違いのひとつに、hpがゼロになった瞬間、手加減ができるかできないかという点があります。飛び道具や攻撃魔法のダメージでhpがゼロになつたモンスターは即、死にます。モンスターを尋問して情報を得よう、と考える場合は残りのhpが減っている敵を近接攻撃で倒し、「手加減します」とDMに伝えましょう。(*6)
呪文の使いかたと、hpがゼロになった場合の生死の判定について、次回へ続きます。
(*1)クレリックの準備済み呪文:キュア・ウーンズ、ブレス。ウィザードの準備済み呪文:
(*2)アクションを「早足」ではなく、遠隔武器での「攻撃」も可能です。この場合、(1)のエリアの中で、ヒューマンは30フィート、ドワーフは25フィート前進したことを記録しておく必要があります。次のターンでは、(2)へ移動してから、アクションを行うことができるからです。
(*3)「以上」なので同値の場合もヒットになります。D&D第5版では、基本的に挑戦する側の値が届けば成功します。これはACへの攻撃の値だけでなく、能力値判定、技能判定も難易度に届けば成功です。
(*4)PCのレベルが上がり、できることが増えると、攻撃を外しても連携して何かできたり、ボーナス・アクションを使ったり、何かしらの特徴でダイスを振り直したり、なにか加算したりといったことができることもあります。
(*5)これは遭遇の中での、攻撃ロールに関してのルールです。能力値判定、技能判定では、1も20も出目の数字であるだけで自動失敗もクリティカルもありません。
(*6)PCや、DMが必要と考えたNPCでない限り、モンスターはhpがゼロの時点で死んだものとして扱います。次回以降で説明する「死亡セーヴ」や「安定化」のルールは、モンスターには基本的には適用しません。
〉D&Dのはじめかた一覧
次回は11月9日(土)に公開予定!
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