イラスト:琥珀(@kohakuksm)
PBWとは何なのか? そしてPBWマスターの仕事とは? 2020年4月サービス開始予定の新規PBW運営会社「アルパカコネクト」に解説していただきました。
執筆:狸穴 醒(アルパカコネクト)
PBWマスターというのは、物書きの仕事の中でも少し変わっている。
この一行だけで、読者の皆さんの頭にはクエスチョンマークが浮かんだだろう。ちなみに、PBWは「プレイ・バイ・ウェブ」と読む。
この記事を書いた目的は、物書きの間ですら知名度の低い「PBWマスター」の仕事について解説し、筆者なりに感じたその魅力を知ってもらうことである。皆さんの疑問は、この記事を読めば解決されるはずだ。しばしお付き合い願いたい。
筆者は中学時代にTRPGに出合って夢中になったが、その後は一緒に遊んでくれる友達に恵まれず、『GURPS(ガープス)』のサプリを自作してはキャラクターを作成して一人で楽しむという物悲しい青春を過ごした。
そんな筆者を救ったのが、動画サイトの広告で見つけたPBW『Catch the Sky~地球SOS~』(クラウドゲート株式会社/旧名:株式会社テラネッツ)だったのである。
筆者はまたたく間に熱中し、各社のPBWに次々と手を出し、やがてPBWマスターを始め、ついにはPBWの会社を作るに至った。
では、そんなPBWとは何なのか?
PBWは「TRPGのウェブ版」などと言われることもあり、TRPGに通ずる特徴を持っている。
ざっくり説明すると「ブラウザ等を介してシェアード・ワールド内にキャラクターをつくり、他のプレイヤーのキャラクターと一緒に冒険したり交流したりできる遊び」である。
それだけならMMORPGでも実現できるのでは? と思うかもしれない。しかしPBWならではの特徴は、無限に近い自由度だ。
キャラクターの行動は選択肢などに縛られず、プレイヤーが文章で自由に書くことができる。そしてキャラクターの冒険の記録は、「リプレイ」という小説形式で残る。自分のキャラクターだけの、オリジナルの物語ができあがるのだ。
最初に、事件や物語の冒頭部分のストーリーが短い小説形式で公開される。たとえば「とある村がゴブリンの群れに襲われて困っている」といったものだ。プレイヤーはこの冒頭を読み、シナリオへの参加を決める。
プレイヤーは、同じシナリオに参加した他のプレイヤーと、提示された問題をどのように解決するのかを相談する。それから相談した内容を踏まえ、自分のキャラクターに取らせたい行動を文章にして送る。たとえば「仲間がゴブリンをひきつけている隙に巣穴へ潜り込んで火をかける」などである。
すると一定期間が経過したあと、結果が小説形式のリプレイとなって戻ってくる。PBWのシナリオは、だいたいこのような流れだ。
もうお気づきかもしれない。シナリオの流れの中に登場したリプレイという小説形式のテキスト、これを書いているのがPBWマスター(以下、マスター)なのだ。
マスターの仕事は、大きく分けて3つある。
1つはシナリオの内容を考え、冒頭部分のテキストを作成することである。
もう1つは、プレイヤーが提出してきた行動予定とキャラクターのステータスなどを参照し、必要に応じてダイスを振り「判定」を行うことである。
そして最後の1つが、プレイヤーの考えた行動が成功だったのか失敗だったのか、どのように状況が変化して最終的にどうなったのか、それらをリプレイにまとめることである。
PBWマスターの仕事は物書きの仕事の中でも少し変わっている、と冒頭で述べた。それはこういうことだ。
マスターはシナリオを作る――舞台を考え、敵を配置し、さまざまな条件を設定する。しかし物語は冒頭部分を除き、まだ書かれていない。本編は、プレイヤーが参加して初めて完成するのだ。
ときにはプレイヤーがマスターの予想外の行動を取り、想定していた展開が大きく変わってしまうこともある。奇想天外な作戦をぶつけられて頭を抱えることもある。重要なギミックをいきなり見破られ、膝を抱えることもある(筆者のことである)。
それを物語としてうまくまとめるのが、マスターの腕の見せ所だ。それだけの努力をする価値がPBWにはあると、筆者は考えている。
マスターはキャラクターの行動の成否を判定し、リプレイでその行動や結果を書く。小説形式だからキャラクター同士で会話をさせることもある。プレイヤーの分身ともいえる大切なキャラクターを預かるわけで、責任重大だ。
しかしそれだけに、シナリオに参加したプレイヤーは、強い思い入れを持ってリプレイを読んでくれる。
作戦の成否に一喜一憂し、物語の行方をハラハラしながら追いかけてくれる。キャラクターの言動がプレイヤーのイメージ通りだったら喜んでくれるし、他のプレイヤーのキャラクターとの連携や掛け合いを描けば、プレイヤー同士の友情が生まれたりもする。
そして、熱い感想を送ってくれることもあるのだ。感想がどれほど物書きを幸福にするか、説明する必要はないだろう。
自分一人では完成し得ない物語を書く。これが、PBWマスターの醍醐味だ。
PBW自体もまだまだマイナーなので、この記事を通じてPBWを知ってもらえたら嬉しいし、興味を持ってもらえたらもっと嬉しい。
そして筆者が仲間と共に準備中のPBWサービス『アルパカコネクト』に登録してほしい――と言いたいところなのだが、こちらはまだ絶賛開発中。サービス開始は2020年4月、マスターの募集開始は2019年12月を予定しているので、チェックしていただけたら幸いである。
この一行だけで、読者の皆さんの頭にはクエスチョンマークが浮かんだだろう。ちなみに、PBWは「プレイ・バイ・ウェブ」と読む。
この記事を書いた目的は、物書きの間ですら知名度の低い「PBWマスター」の仕事について解説し、筆者なりに感じたその魅力を知ってもらうことである。皆さんの疑問は、この記事を読めば解決されるはずだ。しばしお付き合い願いたい。
TRPG仲間がいない! その悩みをPBWが解決
はじめに少し、筆者の話をする。筆者は中学時代にTRPGに出合って夢中になったが、その後は一緒に遊んでくれる友達に恵まれず、『GURPS(ガープス)』のサプリを自作してはキャラクターを作成して一人で楽しむという物悲しい青春を過ごした。
そんな筆者を救ったのが、動画サイトの広告で見つけたPBW『Catch the Sky~地球SOS~』(クラウドゲート株式会社/旧名:株式会社テラネッツ)だったのである。
筆者はまたたく間に熱中し、各社のPBWに次々と手を出し、やがてPBWマスターを始め、ついにはPBWの会社を作るに至った。
では、そんなPBWとは何なのか?
PBWは「TRPGのウェブ版」などと言われることもあり、TRPGに通ずる特徴を持っている。
ざっくり説明すると「ブラウザ等を介してシェアード・ワールド内にキャラクターをつくり、他のプレイヤーのキャラクターと一緒に冒険したり交流したりできる遊び」である。
それだけならMMORPGでも実現できるのでは? と思うかもしれない。しかしPBWならではの特徴は、無限に近い自由度だ。
キャラクターの行動は選択肢などに縛られず、プレイヤーが文章で自由に書くことができる。そしてキャラクターの冒険の記録は、「リプレイ」という小説形式で残る。自分のキャラクターだけの、オリジナルの物語ができあがるのだ。
掛け値なしの自由度! PBWのシナリオの流れ
PBWの核となる遊びは、多くの場合「シナリオ」である。PBWを特徴づけるこの要素について、少し詳しく説明しよう。最初に、事件や物語の冒頭部分のストーリーが短い小説形式で公開される。たとえば「とある村がゴブリンの群れに襲われて困っている」といったものだ。プレイヤーはこの冒頭を読み、シナリオへの参加を決める。
プレイヤーは、同じシナリオに参加した他のプレイヤーと、提示された問題をどのように解決するのかを相談する。それから相談した内容を踏まえ、自分のキャラクターに取らせたい行動を文章にして送る。たとえば「仲間がゴブリンをひきつけている隙に巣穴へ潜り込んで火をかける」などである。
すると一定期間が経過したあと、結果が小説形式のリプレイとなって戻ってくる。PBWのシナリオは、だいたいこのような流れだ。
一人では完成しない物語を書く PBWマスターの仕事
さて、今回のテーマは「PBWマスター」である。もうお気づきかもしれない。シナリオの流れの中に登場したリプレイという小説形式のテキスト、これを書いているのがPBWマスター(以下、マスター)なのだ。
マスターの仕事は、大きく分けて3つある。
1つはシナリオの内容を考え、冒頭部分のテキストを作成することである。
もう1つは、プレイヤーが提出してきた行動予定とキャラクターのステータスなどを参照し、必要に応じてダイスを振り「判定」を行うことである。
そして最後の1つが、プレイヤーの考えた行動が成功だったのか失敗だったのか、どのように状況が変化して最終的にどうなったのか、それらをリプレイにまとめることである。
PBWマスターの仕事は物書きの仕事の中でも少し変わっている、と冒頭で述べた。それはこういうことだ。
マスターはシナリオを作る――舞台を考え、敵を配置し、さまざまな条件を設定する。しかし物語は冒頭部分を除き、まだ書かれていない。本編は、プレイヤーが参加して初めて完成するのだ。
ときにはプレイヤーがマスターの予想外の行動を取り、想定していた展開が大きく変わってしまうこともある。奇想天外な作戦をぶつけられて頭を抱えることもある。重要なギミックをいきなり見破られ、膝を抱えることもある(筆者のことである)。
それを物語としてうまくまとめるのが、マスターの腕の見せ所だ。それだけの努力をする価値がPBWにはあると、筆者は考えている。
マスターはキャラクターの行動の成否を判定し、リプレイでその行動や結果を書く。小説形式だからキャラクター同士で会話をさせることもある。プレイヤーの分身ともいえる大切なキャラクターを預かるわけで、責任重大だ。
しかしそれだけに、シナリオに参加したプレイヤーは、強い思い入れを持ってリプレイを読んでくれる。
作戦の成否に一喜一憂し、物語の行方をハラハラしながら追いかけてくれる。キャラクターの言動がプレイヤーのイメージ通りだったら喜んでくれるし、他のプレイヤーのキャラクターとの連携や掛け合いを描けば、プレイヤー同士の友情が生まれたりもする。
そして、熱い感想を送ってくれることもあるのだ。感想がどれほど物書きを幸福にするか、説明する必要はないだろう。
自分一人では完成し得ない物語を書く。これが、PBWマスターの醍醐味だ。
PBWに興味を持ったら、まずはプレイヤーから
ここまで個人的体験を交えつつ綴ってきたが、PBWマスターという仕事を理解していただけただろうか。PBW自体もまだまだマイナーなので、この記事を通じてPBWを知ってもらえたら嬉しいし、興味を持ってもらえたらもっと嬉しい。
そして筆者が仲間と共に準備中のPBWサービス『アルパカコネクト』に登録してほしい――と言いたいところなのだが、こちらはまだ絶賛開発中。サービス開始は2020年4月、マスターの募集開始は2019年12月を予定しているので、チェックしていただけたら幸いである。
あなたがもしPBWに興味を持ったなら、まずは現在稼働しているPBWのいずれかにプレイヤーとして参加してみるのがいい。新しい仲間はどこでも歓迎されるし、創作が好きな人ならすぐ馴染むことができるだろう。もちろん、無料の範囲でPBWの世界を覗き、シナリオを眺めてみたり、他のキャラクターとの交流を楽しんだりするだけでも構わない。
その先には、きっと無数の出会いと喜びが待っているはずだ。
ようこそ、PBWの世界へ!
その先には、きっと無数の出会いと喜びが待っているはずだ。
ようこそ、PBWの世界へ!
「100年先もPBWしよう!」を理念として創立された新規PBW運営会社。2020年4月に汎用型PBWプラットフォーム「アルパカコネクト」をリリース予定。
だれもがPBWを気軽に、自由につくれる未来を目指し、汎用型PBWシステム「ルルムフ」開発用のクラウドファンディングも行っている。
▶クラウドファンディング Projectページ
だれもがPBWを気軽に、自由につくれる未来を目指し、汎用型PBWシステム「ルルムフ」開発用のクラウドファンディングも行っている。
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