自称ガンマニアのソーサーちゃんと天然メイドのカップちゃんによる、ドタバタ・ガンファイト4コマ漫画!
解説では『図解 ガンファイト』を参考に、いつ巻き込まれるともしれない「銃撃戦」で生き延びるための知識をお届けします。正しいルールを知って、ガンアクション描写のウソ・ホントを見抜けるようになりましょう!
第10回目は、「ショットガンの弾丸」について考えていきます。
漫画・文:ケメジホ(@kmjhknj)
いろいろ撃てるショットガン
ショットガン(散弾銃)といえば短射程で、撃つと広く拡散する、あとガシャコンガシャコンとポンプアクションがカッコいい。一般的な認識はそれくらいのものではないでしょうか。
ショットガンは鳥や鹿を撃つ狩猟として、クレー射撃などの競技として、悪漢から家や身を守る自衛として、建物へ侵入する際にドアや錠前を破壊するのにも用いられ、マスターキーとも呼ばれたりと用途の広い銃です。
目的に応じて弾薬(ショットガンの弾は装弾と呼びます)を変えるだけで様々な役割を果たせますから、まさに一家に一本!アメリカならホームセンターで手に入る!ゾンビ相手も安心!
今回はそんなショットガンが撃てるいろんな弾について紹介します。
一般的に使われる装弾
狩猟など殺傷を目的とした装弾。直径数ミリの鉛粒がみっしりと詰まったもので、対象に応じて粒の大きさの異なるものを用います。
・バードショット(Birdshot)
小粒の鉛玉を詰め込んだ装弾。その名の通り鳥を撃つためのもので、クレー射撃に使うのもこれです。
・バックショット(Buckshot)
大粒の鉛玉を詰めた装弾。鹿(Buck)や対人を相手にする場合に用いられます。
・スラッグショット(Slugshot)
上記の二つとは違って一粒の大きな弾を発射する装弾。熊やイノシシなどバックショットでも威力が足りない相手や、より長距離を狙う必要があるときに用います。
ゲームでよく登場するのはバックショットとスラッグショット(スラグ弾)。
一般的なバックショットには8mm前後の鉛玉が9個程度入っているそうで、みっしりと弾が拡散するイメージと反して意外と少ないですね。一方でスラッグショットが拡散しないのはそもそも一発しか詰まってないから。仕組みを知ると納得できますね。
相手を無効化するためのスタン弾
・ゴム弾(スタン弾)
前述した一般的な装弾は鉛粒が詰め込まれていますが、スタン弾の目的は殺傷ではなく相手の無効化。気絶や昏倒(スタン)を狙うための装弾で、ゴムボールやプラスチック粒を詰め込んでいます。
・ビーンバッグ弾(bean bag round)
小さいお手玉袋のような袋に鉛粒やプラスチック粒を詰めたものを撃ち出すスタン弾。袋に砂を詰めて殴るのをイメージすればわかりやすいでしょう。
拡散するようなものではないので、スラグ弾の非殺傷版のようなものですね。(スラグ弾と違って射程は期待できません)
・岩塩弾(Rock salt shell)
漫画でも取り扱った、岩塩を詰め込んだ装弾。
はじめて聞いたときには「おふざけ用かな?」と思ったものですが、至近距離では結構な威力。目玉焼きを消し飛ばすのはもちろん、殺傷能力は十分にあります。
ただししょせんは塩ですから、5~10メートルも離れるとほぼほぼ傷つける威力はなくなるようです。そのほか、ゴム弾やプラスチック粒よりは自然を汚さないなど、自宅での自衛手段(ホームディフェンス)として用いるならちょうどよさそうな装弾。食卓塩が切れたときとかにさっと取り出したい。
日本では厄介な客を追い返すときに「塩撒いときな!」なんて古い表現がありますが、これが銃社会だとショットガンで塩を撃ち出すんだから豪快ですね。
創作として岩塩弾とショットガンを用いる悪魔祓いの神父…なんてのも面白そうですが、塩に「清め」のイメージを持つのはアジア圏だけかも?銀の弾丸よりかは珍しくて目を引きそうです。
スタン弾といっても銃は銃、武器は武器。
気絶を目的とした弾とはいえ、銃は銃です。近距離では相当な威力を持ちますし、当たりどころが悪ければ後遺症が残ったりなどの深刻なダメージを与えます。
実際に暴徒鎮圧として使用され、当たりどころが悪く死者を出したケースも多数ありますから、「これはスタン弾だから、非致死性武器だから大丈夫」なんてことはありません。
日本風でいうと「安心せい、峰打ちじゃ」ですが、刃がついてないほうとはいえ鉄の棒でぶっ叩けばただじゃ済まないのと同じことですね。聞いてるか剣心。
その他の特殊弾
・ガス弾
催涙ガスなどを封入した装弾。直接体に撃ち込むわけではありませんが、暴徒鎮圧などの際に用いる弾です。
・フレシェット弾
複数本のダーツを撃ち出す弾。小さい矢がびっしり刺さる絵面がおぞましい装弾。
・XREP
テーザー銃という、電極を飛ばして離れた場所から対象を感電させる遠距離版スタンガンがありますが、こちらはそれを発展させたもの。
いわばスタンガン自体を射出するようなもので、命中した相手を感電させ無力化します。特に専用のショットガンを必要とするわけではなく、一般的なショットガンにも装填できます。
・ドラゴンブレス弾
中二病感あふれるネーミングがナイスな装弾。派手に火花を撒き散らす弾で、着弾地点を燃やす…いわゆる焼夷弾です。見た目もド派手でカッコいいのでぜひ動画を調べてください。
もはやファンタジーに片足突っ込んでるショットガン
こうしてまとめてみると雷属性と火属性と毒属性(ガス)、聖属性(塩)までカバーしてるショットガンって思ったよりファンタジー。ちなみに水泡弾とかいう、液体を封じた装弾もあるので水属性もいけます。
やろうと思えばどんなものでも装弾にできそうなので、しょうゆ弾やソース弾も作ろうと思えば作れるはずです。食卓にショットシェルを並べましょう。
◎ガンファイト・ガールズの記事
第1話「射撃に適した服装」第2話「銃の選び方」
第3話「車を撃つと爆発する?」
第4話「銃を撃ち落とせる?」
第5話「コック&ロックって何?」
第6話「排莢方向もいろいろ」
第7話「マガジンを抜いても撃てる?」
第8話「ライフルの構え方いろいろ」
第10話「いろいろ撃てるショットガン」
◎参考資料