イラスト:緒方裕梨(@colornix)
こうした不意に出会ってしまうと危険な神さまのことを、行き逢い神と呼びます。
行き逢い神に出会うと、突然疲労感に襲われて足腰がだるくなったり、体がしびれたりして歩けなくなってしまいます。そのまま休憩してひと眠りしたが最後、二度と起き上ることができなくなってしまう……なんてこともあります。
ひだる神の「ひだる」とは、「だるい」「ひだるい」という言葉からきたもの。普段疲れたときに使う言葉ですね。そのためひだる神がとり憑くのも、こうしただるそうにしている人間です。とくにお腹が空いているときは要注意。もし山に出かけるなら、その前にしっかり腹ごしらえしておくことが大事です。
つまりひだる神は、山や峠へ出かけるときはしっかり飯を食べ、体調を整えてから出かけないとどんな災難に会うか分かりませんよ……と警告する、よい神様だったのですね。
◇参考書籍
日本の神々
多彩な民俗神たち
著者:戸部 民夫
次回の1コマ漫画は8月19日に
「江戸時代の女性の髷」の1コマをご紹介します♪
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