【夏のホラー企画!ディオダディ荘の怪奇談義】
これはエンジヒツジさんから寄せられた、お金を借りていた親友の話です。
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私が今よりだらしない生活をしていた頃の話です、携帯の料金とか家賃を滞納しちゃうようなだらしなさ。
当然お金がなくちゃ暮らせないってことで、当時の親友からもお金借りたりしてたんですね。
でも、ネットとかの連絡手段が断たれてると催促のメッセージがこちらに届かないもんで……案の定何回か受け取り損ねてましたね、督促メッセージ。
まあ走って5分ぐらいの距離にお互い住んでたのでね、連絡つかなくても心配いらないなんて油断しました。
親友、うっかり通り魔に殺されてしまったそうでね。夜道で。還らぬ人になってしまっていて。
私が借金を全額返そうとした矢先でした、家を訪ねると遺影とご家族がお出迎えですよ。
運良くというか運悪くというか家族葬だったらしくて、気持ちが落ち着くまで誰にも教えるつもりはなかったそうです。
なので私が貧乏なあまり訃報連絡を受け取り損ねたなんて悲劇もなく……現に親友の遺影の前で正座してるポケットの中でも携帯止められてましたからね。
気まずいままお線香上げて、情けなくも借りてたお金をご家族にお渡ししました。
それでそそくさ失礼して、未払いのアレコレを払って。
そしたら携帯に電波が入って、止まってた期間のメッセージが一気に届きましてね、ええ。
親友から来ていたSOSの言葉たちと無数の不在着信でした。
深夜に殺される助けてってSOSが何通も何十通も。
さすがの私もゾッとしまして、これに懲りて金払いだけはきっちりしないとなあと学んだ次第です。
ご家族はたぶんねえ、遺品の携帯の履歴から自分と連絡がついてたら親友が助かったかもしれないのにーとでも思ったんでしょうかね、ええ。
手を合わせてる間はずっと睨まれっぱなしでしたよ。
どちらにしろ悪いのは通り魔なので。ええ。でも金を返さなかったのも悪かったなと思って……とりあえず利子分は返したいなと。
親友を殺したのは誰か、ぐらいは突き止めてやろうかと思ってね。こうして敏腕記者のあなたをあいつの家の前までお連れしたわけです。