【夏のホラー企画!ディオダディ荘の怪奇談義】
これは英雄の原材料さんから寄せられた、お墓にまつわる話です。
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これはまだ、私が高校生だった頃の話。
私の通う学校へ行くには、必ず墓場の横を通らなければいけない場所がありました。
小学生に毛が生えた様な中学生の時ならば恐れて居たかもしれませんが、そんな事など一切気にせずに、毎日部活に勤しんでいました。
ある日、私は予定があり部活を早退していました。
いつもは仲のいい友人と一緒に帰ることが当たり前だったので、少々心細く感じながらいつもの道を歩いていました。
夕闇が近くなった時間帯で、私は輝く夕日を眺め童心を思い出し、木々の緑や錆びたフェンスの色までも美しく感じ、 人の目もないので、特に何の理由もなく子供の頃を思い出し、塀の上によじ登り、綱渡りを始めました。
歩いて行くと視界の右に、供養されているのか線香が焚かれ、花がお供えしてある様な、綺麗にしてある何時もの墓場が目に入りました。
いつもの光景に何も感じず、綱渡りのまま通り過ぎようとしました。
ですが、そんな私の動きは止められてしまいました。
リュックサックを背負った人なら分かるかもしれませんが、背後から引っ張られると体全体をぐっと止められた様な感覚がするのです。
私は正しくその感覚を、その瞬間感じました。
私の友人は少々破天荒で、私と一緒に帰るために早目に部活を切り上げ、帰れる様になったなどと戯言を言う様な奴で、きっと今回も一緒に帰る事になったと言うのだろうと思いながら、振り返りました。
しかし、そこには私の期待した笑顔どころか、人の影すらおらず、周りにもリュックサックを引っ掛けてしまう様な物など一切無かったのです。
背中に冷や汗が流れるのを感じ、動悸がしてきます。
私は恐ろしくなって急いで塀を降り、一目散に家に走り帰りました。
今思い返しても、不気味だと思っていますが、 もしかすると、あのまま塀を歩き続けるのは危険だよと教えてくれていたのかもしれない。
私は今、そう言うふうに考えてあの時の恐怖を紛らわせています。