前回までで「剣と魔法の世界における物語のゲーム」とか、「魔法と怪物の横行する地、勇敢な戦士と驚くべき冒険の待つ地であり、多くは中世ヨーロッパ風ファンタジーの世界を土台としており、その上で個々の世界は特有のクリーチャー、土地、魔法によって独特のものとなっている。」という文を読んでいただいているかと思います。
それらのビジュアルとしては、映画「ロード・オブ・ザ・リング」やドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」、アニメ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」のオラリオ、「ソードアートオンライン」のアルヴヘイム、コミック「ダンジョン飯」などが挙げられます。
小説であれば、D&Dの世界そのものを舞台とした物語を電子書籍で読むことができます。「ダークエルフ物語」、「クレリック・サーガ」の両シリーズは、D&D公式の世界設定「フォーゴトン・レルム」での物語です。
いずれかを鑑賞していれば、「スターター・セット」の「ファンデルヴァーの失われた鉱山」をより臨場感たっぷりに遊ぶための助けになることでしょう。同4ページにある「フォーゴトン・レルムについて」に、このアドベンチャーに足りるだけの紹介があります。この部分は、冒険の内容には触れないので、誰かが読み上げて遊ぶみんなで理解しておくと良いでしょう。
プレイヤー・キャラクター(以降"PC")がどのような人物で、どのような職業、つまり"クラス"であるかは、各キャラクター・シート表裏に記載されています。
表にはキャラクター個人を表す数値データ、身に着けている物品、人物としての性格や関係性、種族とクラスでそれぞれ用意された特殊な能力やルールといったものが記載されています。
裏には、そのキャラクターの種族とクラスに、そのキャラがどのような経験をしてきたか、という情報と、冒険が進んでレベルアップする時の手続きや情報について、5レベルまで必要なことが書かれています。
ただここでは、全部を読むということではなく、とりあえずD&Dをプレイするのに必要なところを順番に解説していきますので、「全部読んで覚える」心配はしないでください。
D&Dで繰り広げられる冒険の中で、上手くいくかどうか挑戦する行動をとり、それが成功するか、失敗するかを決めるのが「判定」です。これにはサイコロを使います。
まず、「スターター・セット」には6個のサイコロが入っています。沢山ありますが、行動の成否を決めるのに使うのは、20面のサイコロだけです。
英語に準じてサイコロのことは「ダイス」と呼びます。4面、6面、8面、10面、12面、20面ダイスはそれぞれ、d4、d6、d8、d10(0~9の目があり、0は"10"扱い)、d12、d20と表記します。"2d6"と書いてあると「6面ダイスを2個振る」事を、"5d8"とあれば「8面ダイスを5個振る」ことを示し、同じダイスを複数同時に振ることもあります。
行動の成否を決めるには大抵の場合、d20を1個振り、出目にひとつの数値を足し算(か、引き算)するだけです。場面や行動により「能力値判定」、「攻撃ロール」、「セーヴィング・スロー」の3つがありますが、方法は同じです(「スターター・セット・ルールブック」P.4~5「d20~ルールの基本~」)。
ほかのダイスは主に、戦闘で敵への攻撃が成功した時に与えるダメージや、魔法の効果がどれだけ発揮されるのか、といった数値の幅を算出するのに使います。こちらの使い方は、戦闘や呪文の説明をする回でご紹介します。
これを踏まえて、「スターター・セット・ルールブック」P.4「ゲームプレイのしくみ」を読むと、大まかにD&Dを遊んでいる様子が思い浮かぶと思います。引用しましょう。
1.DMが状況を説明する。
2.プレイヤーが、自分は何がしたいかを述べる。
3.DMは冒険者の行動の結果として何が起きたかを語る。
1.の「状況」は、敵と戦う場面であったり、地下迷宮を探検で進んでいることもあれば、街でNPCと話をしたり交渉したり、PCたちを取り巻く状況が説明されるわけです。
そして2.の中で、行動の成否を決めることをDMから求められることがあります。NPCと交渉したり、部屋の中で何かを探したり、かかっている鍵をなんとかしたり、戦闘では目標に攻撃を当てたり呪文を命中させたり、といった行動の成否をd20の出目に、ひとつ値を足し引きした値で決めるのです。
これを繰り返してD&Dをプレイし進めていくことを「セッション」と言います。物語の区切りがついたところでプレイも区切ることが多く、それを「1回のセッション」と考えます。
さて次回は、この「判定」で足し引きする値である「修正値」と、キャラクターの能力値・技能との関係を、キャラクター・シートの表を参照しながら説明します。
〉D&Dのはじめかた一覧
次回は8月31日(土)に公開予定!
ダンジョンズ&ドラゴンズ 日本公式サイト
http://hobbyjapan.co.jp/dd/
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