自称ガンマニアのソーサーちゃんと天然メイドのカップちゃんによる、ドタバタ・ガンファイト4コマ漫画!
解説では『図解 ガンファイト』を参考に、いつ巻き込まれるともしれない「銃撃戦」で生き延びるための知識をお届けします。正しいルールを知って、ガンアクション描写のウソ・ホントを見抜けるようになりましょう!
第9回目は、「花火の火薬で弾薬は作れる?」について考えていきます。
漫画:ケメジホ(@kmjhknj)
戦場で花火しか持っていないときは……
さて、戦場で花火しか持っていないときと反対の場面を想定してみましょう。
あなたは何者かに捕らえられ、閉じ込められてしまいました。懐には拳銃(なぜ武器を奪われなかったのかは考えないこと)、目の前には鉄格子……。
この危機を打破すべく、持っている拳銃から火薬をかき集めてダイナマイト代わりに独房を破壊、見事脱出を成し遂げる!!
……となればアクションスター気分ですが、実際には、銃弾に使われている火薬を手榴弾のように使うことはできません。それはいったい何故なのでしょうか。
弾薬の火薬と花火の火薬は同じではない
日常会話において、弾薬の「火薬」と花火の「火薬」を分けて使うことはないと思います。しかし専門的に言うと、弾薬に使われている火薬は「発射薬」と表現します。
発射薬は当然火薬の一種ですが、爆発させるというよりは「勢いよく、そして急激に燃える」性質を持っており、この現象を「爆燃」といいます。
それに対して、花火に用いられている火薬は「爆薬」の仲間です。
発射薬よりもずっと燃焼速度が速く、衝撃波を伴う「爆轟(デトネーション)」という現象を起こします。なんだか中二病心をくすぐられるネーミングですね。
ちょっと待って! じゃあ花火の火薬を薬莢に詰めたら、もっと速い弾を撃てるんじゃないの? と思う方もいるかもしれません。
ではカップちゃんの言うように、花火に使われてる火薬を弾に詰めなおしたらどうなるのでしょうか。次項ではそれを確かめましょう。
花火の火薬は爆薬
結論から言うと、花火の火薬を薬莢に詰めると、弾を撃ちだすどころか銃ごと爆発します。
そもそも銃の薬莢や薬室はデトネーションに耐えられるようには作っていないのです。
そんなところに花火の火薬を詰めたら、撃った途端に暴発するでしょう。
ただし! ここで注意が必要です。
自分はカップちゃんのように、花火を火薬に詰めたりしないから大丈夫。そう思っていませんか?
実は一般的な発射薬でも、気温の影響によって成分が変質してしまうことで、撃つと爆発する危険な火薬となる恐れがあるのです。
発射薬はニトロ系の爆薬をベースに膠化剤で練り固めて安定させているため、使用環境によっては膠化剤が変質してしまい、発射薬が粉々になって爆薬に近い性質になってしまいます。
銃を扱うときはもちろん、花火で遊ぶときも、正しい使用方法をきちんと守ることが大切ですね。
◎ガンファイト・ガールズの記事
第1話「射撃に適した服装」第2話「銃の選び方」
第3話「車を撃つと爆発する?」
第4話「銃を撃ち落とせる?」
第5話「コック&ロックって何?」
第6話「排莢方向もいろいろ」
第7話「マガジンを抜いても撃てる?」
第8話「ライフルの構え方いろいろ」
第9話「花火の火薬で弾薬は作れる?」
◎参考資料