ラノベ好きVtuberとして活躍する本山らのさんによる、ファンタジー小説おすすめコラム「本山らのとファンタジー小説を読みませんか？」
小さい頃から本が好きだという本山らのさんが、テーマに沿ったお気に入りのファンタジー小説を紹介してくれます。第４回のテーマは「吸血鬼」です。
書き手：本山らの
吸血鬼。人間の血を吸い、闇夜に紛れ蠢くミステリアスな存在。古来よりフィクションの題材としての人気も高く、古くはブラム・ストーカーの『吸血鬼』やレ・ファニュの『カーミラ』、児童文学では『ダレン・シャン』、ライトノベル作品においても様々な形で吸血鬼が描かれています。
ここ、パンタポルタにも吸血鬼にまつわる記事がいくつかありますよね。特に、『吸血鬼カーミラ』を読まずに内容を推測して語る読書会が開催された模様の記事は、ラノベ作家さんが想像を巡らせるさまがとても面白いので読んでみてください……！（「読んでいない名作についてラノベ作家と語る読書会！ ～ 『吸血鬼カーミラ』編 ～」）
存在からしてファンタジックな吸血鬼。今回は吸血鬼を描いたファンタジー小説のおすすめをご紹介したいと思います。どのような能力や弱点を持っているのか、戦闘力はあるのか否か、人間とどのように交流しているのか……などといった要素の描き方も、作家さんによって千差万別。そんな描き方の差も楽しめるような、面白かった作品を3作選出してまいりました。どれも、比較的近年に刊行されたライトノベル作品です。
『ヴァンパイア・サマータイム』
まずは、石川博品先生著『ヴァンパイア・サマータイム』。昼は人間が活動し、夜は吸血鬼が活動する、人間と吸血鬼が半々の世界。昼夜逆転気味の少年と吸血鬼の少女が出会い、惹かれあっていくヴァンパイア・ラブストーリーです。
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| ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫) |
人間が通う昼間部と吸血鬼が通う夜間部によって構成された学校が舞台。同じ場所にいるのに時間は重なり合うことがない、という制約のある人と吸血鬼の恋路にやきもき、どきどきします。吸血鬼である自分が主人公に抱いている感情は、果たして恋情なのか、それともただただ血を吸いたいという欲求なのか悩みながら触れ合っていくヒロインが魅力的です。夏の夜にぴったりな作品です。
『さびしがりやのロリフェラトゥ』
続いて、『さびしがりやのロリフェラトゥ』。吸血鬼はルーマニア語でノスフェラトゥ。ロンリーなノスフェラトゥを略してロリフェラトゥ。邪なこと考えないでくださいよね！ ……まあ、ロリなノスフェラトゥでもあるのですけれども。
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| さびしがりやのロリフェラトゥ (ガガガ文庫) |
学校に住み着いた小さくてひとりぼっちの吸血鬼と、スランプ中の女子高生作家が出会ってむにゃむにゃ……。あらすじや構成の素晴らしさをもっと語っても良いのですが……しかし、何も前提知識を入れずに読んだ方が面白いかも……？ 連載タイトルに反した発言で申し訳ないのですけれど、正直この作品はファンタジーというよりも青春ストーリーとして光る作品なのです。誰だって自己の認識と他者から見た人物像のギャップというものはありますよね。
群像劇小説の面白味・醍醐味をこれでもかと味わえる作品ですので、どうかこの構成の巧みさにハッとする体験をあなたにもしてほしい。さがら総先生のなめらかで心地よい文章も堪能できますよ。
『月とライカと吸血姫』
最後に、『月とライカと吸血姫』。世界で初めて宇宙へ行ったのは実は吸血鬼だった！？ という、宇宙開発×吸血鬼のコラボレーションが感動を生み出すコスモノーツグラフィティ。冷戦期の宇宙開発をモチーフとしつつ、吸血鬼というファンタジックな要素が加わり、ロマンティックなボーイ・ミーツ・ガールに仕上がっている作品です。
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| 月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫) |
人間に差別意識を持たれている吸血鬼達。しかし、力強く生き抜く彼女たちの姿に胸を打たれます。人間と吸血鬼が共に月を目指して歩んでいく、ロマンに溢れる吸血鬼物語です。（ちなみに、この作品をおすすめする動画は私が投稿しているのみならず、吸血鬼でありYoutuberである赤月ゆに様もこの作品についての動画を投稿なさっています。どうぞご覧あれ。⇒YouTube）
ここで詳しく取り上げた作品以外にも、浮遊する血液にスイカに吸血花といった個性的にも程がある吸血鬼らしくない吸血鬼の数々が登場し物語を織りなす、成田良悟先生の『ヴぁんぷ！』や、血を吸おうと襲った男が血の通っていないゾンビだった、というところから始まる吸血鬼とゾンビの奇妙なボーイ・ミーツ・ガール、『ヴぁんぷちゃんとゾンビくん』などなど、おすすめしたい吸血鬼作品は他にもたくさんあります。本当に多くの作品があり、とても網羅できないよ……！
☆☆☆
古今東西、国内外問わず愛されている「吸血鬼」というモチーフ。あなたにもお気に入りの作品があったり、好きな吸血鬼のキャラクターが居たりするでしょうか？ミステリアスで、恐ろしくもあって、それでいて弱点も多くて。そんな吸血鬼達と、ファンタジー小説を通して出会ってみませんか？
本山らの（@Motoyama_Rano）
「ライトノベルの魅力を発信」するべく活動しているバーチャルYouTuber。
おすすめの作品を紹介する動画の投稿や、作家をゲストに招いた生放送などの活動を行っている。
▶Youtubeチャンネル
◎本山らのとファンタジー小説を読みませんか？
第１回『本山らのと魔法学校へ思いを巡らせませんか？』
第２回「本山らのと、女性作家さんが綴るファンタジーを読みませんか？」
第３回「本山らのと、剣で戦うだけじゃない！ 個性派ファンタジーを読みませんか？」
