イラスト:緒方裕梨(@colornix) |
子どもにも簡単に作ることができる「てるてる坊主」ですが、その正体は水神や農業神に由来を持つ、れっきとした神様です。照り乞いの神という別称もあります。またてるてる坊主という名前も、地域により別の名を持つこともあります。江戸時代の文献によれば、「てり雛」、「てれてれ法師」などとも呼ばれたようです。
昔から、人形は心霊の「形代」と考えられ、人間の身代わりとして汚れを払い浄化するために呪術で使われてきました。災いを代わりに受けてくれる人形として、ひな人形や天児などがよく知られていますが、「てるてる坊主」もそうしたまじないに由来する人形だと考えられます。
形代とは、神が降臨するための媒介物、つまり依り代です。
日本の神は目に見えない存在であり、その意思を人間が知ることは難しいとされていました。そこで、人間は神の意思を知るために依り代を作り、神を呼び寄せようと考えました。
神や心霊が依り憑く対象は、樹木や岩・石などの自然物と、棒や柱、御幣などに代表される 人工物の両方があります。人間はこうした依り代を神聖視して神祭りや信仰の対象とし、神の力を借りるための手段としたのです。
手近なものに心霊を呼び寄せるため 、陰陽師が土器や頭髪、あるいは切り紙を式神の依り代として用いていたのはご存知の通りです。
人形や依り代の歴史的な背景からも、祈りの対象として用いる「てるてる坊主」が、単なるお飾りではないことがお分かりいただけるでしょう。てるてる坊主は、人形に神様を憑依させて晴天を願うという呪術的な由来をもっていたのです。
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人形か神様か妖怪か、てるてる坊主の由来はどこに?
次回の1コマ漫画は6月24日に
「古代エジプトの食」の1コマをご紹介します♪
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