イラスト:緒方裕梨(@colornix) |
現代ではあまり見ることのない笠ですが、古くは古代の埴輪にも見られており、万葉時代に雨具として一般化しました。平安時代になると農耕祭祀の呪具の役割ももつようになり、以来、一般庶民のファッションアイテムとして愛用され、様々な種類の笠が作られています。
時代劇でよく目にする笠は、三度笠・道中笠などと呼ばれ、管笠の一種です。
来訪神は笠を被ってくる?
昔から、異界から訪れるマレビトは笠(と蓑)をかぶった姿をしていると信じられてきました。笠をかぶる姿によって、神は目に見える形で人の前に現れると信じられてきたのです。
反対に、笠をかぶることで神になるパターンもあり、祭礼や盆踊りなどの装束として笠が用いられるのはそのためです。姿を消す=神隠しであり、異界の存在に変身することを意味していました。
その他にも、笠を身に着けることで動植物の声を聞き分けることができたり(聴耳型の昔話)、蓑笠を逆につけることで神の目で未来を見通し、家事や災難を防ぐことができる(新潟県北蒲原郡の伝承)とされるなど、笠には様々な力があると信じられてきたのです。
次回は6月3日に
「オジギソウの神話」の1コマをご紹介します♪
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