イラスト:緒方裕梨(@colornix) |
牛にされたイーオー
ギリシア神話には、ちょっと可笑しなスミレの発生譚があります。
アルゴリス地方の王女イーオーは、ゼウスの妻ヘーラーに巫女として仕えていました。つぶらな瞳をした美しい娘のイーオーを、あのゼウスが放っておくわけはありません。
ゼウスは権利を行使して、さっそくイーオーと関係を持ちはじめました。
何度も浮気されてきた妻のヘーラーは、彼らが親密になったのを見逃しませんでした。ふたりが密会している現場を抑えようと、馬車を駆って天界から折りてきたのです。
慌てたゼウスは何とか浮気をごまかすため、イーオーを牝牛に変えました。しかしこのとき牧場には雑草しかなかったので、「イーオーに雑草を食べさせるのは忍びない」という理由で、香り高くやわらかなスミレを作りだしました。
このためギリシア語では、スミレをイオンと呼ぶのだそうです。
次回は4月15日に
「ヴィクトリア朝の厩舎」の1コマをご紹介します♪
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