ドワーフってどんな種族？ 小柄な鍛冶屋のルーツと特徴、不思議な道具

『白雪姫と七人の小人』などの童話にも登場し、『指輪物語』などのファンタジーやTRPGの世界にも欠かせない種族、ドワーフ。今回はドワーフの特徴をご紹介しましょう。

ドワーフってどんな種族？

よく知られているドワーフのイメージは、『指輪物語』シリーズの作者J.R.R.トールキンによって確立されたと考えられています。


ドワーフは身長1m前後の小柄な種族で、頑強な身体を持ち、男性は地面につくほど長いあごひげをたくわえています。

性格は陽気で、酒を飲むとますます明るくなり、時には歌を口ずさむこともありました。また仲間同士の絆が強く、そのために他の種族を排斥することもあるほどです。

ドワーフは暗がりでも夜目が利くため、普段は地面に穴を掘り地下都市を建設して暮らしています。鍛冶屋や細工師、建築家などものづくりに関する仕事が上手で、道具に魔術をこめて不思議な力を持たせることも得意です。


ドワーフはまた、優れた戦士でもあります。戦場では戦斧や戦槌を巧みに操り、古くからの敵であるドラゴンやオークなどに果敢に立ち向かいました。

◎関連記事
エルフやニンフの踊り子って？ 踊るファンタジー系種族とは

北欧神話のドワーフとは

「ドワーフ」という呼び名は、北欧の「ドヴェルグ(小人)」が英語化したものだといわれています。彼らは元々、北欧神話に登場する小人でしたが、その姿は現在私たちがイメージするものとは少々異なっていたようです。




北欧神話のドワーフ(ドヴェルグ)は、原初の巨人ユミルの死骸からうじ虫としてわきでたとされています。その後、神々によって知性を与えられ、地下にあるスヴァルトアールヴァヘイム(黒き妖精の国)に住むようになりました。日光を浴びると石になり死んでしまうとされています。

北欧神話のドワーフは男性のみの種族で、子孫は粘土をこねて作られます。

彼らは醜く、頭でっかちな姿をしており、長い腕と長いあごひげが特徴です。坑夫のような服装をしており、鍛冶屋や細工師として不思議な装身具や武器をつくることに長けていました。

◎関連記事
世界のはじまりに生まれた原初の巨人「ユミル」

ドワーフ作った不思議な道具たち

北欧神話の中から、ドワーフたちが作った不思議な道具を３つご紹介しましょう。


①スットゥングの蜂蜜酒
・作者：フィヤラル、ガラル(兄弟)
・特徴：飲んだ者に知恵を授け、詩人や学者にしてしまう

スットゥングの蜂蜜酒は、フィヤラルとガラルというドワーフの兄弟が、賢者クヴァシルの血と蜂蜜を混ぜて醸したお酒です。
巨人スットゥングのものとなった後、この蜂蜜酒は主神オーディンの策略によって盗み出されてしまいました。


②魔槍グングニル
・作者：イーヴァルディの息子たち
・特徴：投げると決して狙いを外さず命中する

グングニルは、幻術の神ロキがイーヴァルディの息子たちに命じて作らせた財宝のひとつです。投げると必ず命中するという特徴があり、主神オーディンの持ち物となりました。


③鉄槌ミョッルニル
・作者：ブロック、エイトリ(兄弟)
・特徴：決して壊れない、投げれば必中する、使わない時は小さくできる

鉄槌ミョッルニルもまたロキの命令で作られた財宝で、巨人殺しで知られる神トールの持ち物となりました。
投げれば必ず命中し、しかも必ずトールの手の中に戻っていきます。決して壊れることはなく、使わない時は小さくして服の中に隠すこともできました。


北欧神話のドワーフたちが作り出した魔法の道具の数々は、ファンタジーなど創作物を考える時にも参考にできそうです。今回ご紹介したもの以外にも、アンドヴァリの指輪や魔剣ティルヴィングなど数多くの品々がありますので、興味があればぜひ調べてみてください。


◎関連記事
あらすじで読む「北欧神話の世界創造」
北欧神話の主神オーディンとはどういう神なのか
北欧神話のトリックスター　悪神ロキの素顔に迫る！