太陽神ラーといえば、古代エジプトの神話に登場する神として有名ですが、どんな神だったのか詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は太陽神ラーの神話や歴史を簡単にまとめてご紹介します。
目次
太陽神ラーってどんな神?
- 古代エジプトの神話で最も偉大な神。
- ハヤブサの頭をした人の姿で描かれることが多い。
- 太陽の化身であり、エジプトの支配者、神々の王、創造神。
- 古代エジプトのファラオたちは太陽神ラーなどの神々の子孫とされていた。
ラーは古代エジプトの神話で最も偉大な神であり、太陽の化身です。古代エジプトだけでなく、ヌビア(エジプト南部からスーダン北部までの地域)やエジプト国外までひろく信仰されていました。
ラーは一般的に、ハヤブサの頭を持つ人の姿で描かれます。太陽の化身として「光の主人」などの称号を持つ他、原初の神ヌンから誕生したという神話から、創造神としても信仰されていました。
ラーの神話と当時の死生観
太陽神ラーにはたくさんの神話が残されています。その中から、当時の人々の死生観がわかる物語をご紹介しましょう。
太陽神ラーは天の女神ヌトから生まれ、知恵の神トトや暴風神セトなどと一緒に、昼と夜の世界を旅します。道中では悪しき蛇アポピスと戦ったり、人々に恩恵を与えるなどしました。
旅が終わるとラーはヌトの体内へ帰ります。そうして時が来ると再びヌトから生まれ、旅に出て……というサイクルを永遠に繰り返すのです。
この神話は日の出と日没という太陽の運行サイクルを表しています。太陽神ラーが生と死を繰り返しながら永遠の時を旅するのと同じように、当時のエジプトの人々にとっても、死は新たなる旅立ちだと考えられていました。
ヘリオポリスのベンベン石
太陽神ラーは古代エジプト全土で信仰されていましたが、中でも重要な聖域とされたのが、下エジプト第13ノモスの州都ヘリオポリスです。
この町のラー神殿には、ベンベン石と呼ばれるピラミッド型の石が置かれていました。
ベンベン石はヘリオポリスのラー神殿で最も神聖なものとされ、神殿の中央、もしくは正面に安置されていました。ヘリオポリスの神話では、太陽神ラーは誕生の際にベンヌと呼ばれる鳥の姿でこのベンベン石の上に止まるのだといいます。
ベンベン石はピラミッドの最も古い原型だともいわれています。また、現在エジプト国内やローマ各地、パリのコンコルド広場、ニューヨークのセントラル・パークなどに置かれているオベリスクと呼ばれる記念碑も、このベンベン石から発展してできたものだという説があります。
太陽神ラーの歴史
最後に、太陽神ラーの歴史を簡単にご紹介しましょう。
- 元は下エジプトの宇宙の神?
- 先王朝時代(紀元前5500年~紀元前3100年)にはすでに信仰されていた。
- 第5王朝(紀元前2494年~紀元前2345年)には絶大な信仰を集めていた。
- しかし時が経つと無能な年老いた神として扱われるようになった。
太陽神ラーは元々、下エジプトに伝わる闇を起源とした宇宙の神だったと考えられています。しかし外国から持ち込まれた神だとする説もあり、はっきりしません。
先王朝時代にはすでに信仰されており、第5王朝の頃になると、ラーの神官たちは絶大な権力を持ち、ファラオを脅かす程になりました。
しかし後の時代になると、ラーは無能な年老いた神として軽んじられるようになります。神話によると、最後にはその地位を知恵と月の神トトに譲って地上から去ってしまったということです。
とはいえ、その後もラーは偉大な存在として、古代エジプト王朝滅亡まで信仰され続けました。
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