異世界でのお悩みをすっきり解決!
敵国が大砲を担いで攻めてきた!
村の貧困を救うにはどうすればいいの?
天下を取りたい。
そんな、異世界での軍事や民政に関わるお悩みは『軍事強国』ほっとラインにご相談ください。
パンタポルタのマスコットキャラクター「ぽる太」が誠意を込めてアドバイスいたします。
『軍事強国』ほっとライン
TEL:〇〇-▽△-〇□◇
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>Case.1
『軍事強国』ほっとラインには、今日もありふれた悩みが寄せられている。
Case.2 国王との交渉を有利に進める方法
こんにちは。『軍事強国』ほっとラインにお電話いただき
――――ボクだよ、ボク。ほら前に一度話したことのある(Case1参照)。
ふむ。その手の詐欺が出てくるのは21世紀に入ってからのはず。さては、現代日本の知識をもった転生者じゃな?
――――オレ〇レ詐欺じゃないよ! じつは、王様がなかなか頑固な人で交渉がうまくいかないんだ。
相手と対等に交渉したいなら、君の弁論能力を示さねばなるまい。
――――弁論能力?
交渉ごとにも、チートといえる法則が存在するのじゃよ。
たとえば、『軍事強国チートマニュアル』を買うともれなくこんなサービスが受けられるとする。
たとえば、『軍事強国チートマニュアル』を買うともれなくこんなサービスが受けられるとする。
『軍事強国チートマニュアル』
著者:山北 篤
1.500円分の図書カードか、かっこいいぽる太の人形。
2.500円分の図書カードか、かっこいいぽる太の人形か、その色違い。
3.500円分の図書カードか、かっこいいぽる太の人形か、くたびれたぱん太の人形。
2.500円分の図書カードか、かっこいいぽる太の人形か、その色違い。
3.500円分の図書カードか、かっこいいぽる太の人形か、くたびれたぱん太の人形。
――――くたびれたぱん太の人形が欲しい!
待て待て、今から話そうと思ってたことの大前提が崩れちゃうから。冷静にいこう。
――――あ、そうなの? でもボクはぱん太の人形がいいな……。
まず1の場合じゃが
――――(スルーされた!)
これは五分五分じゃ。図書カードが欲しければ図書カードを取るし、ぽる太の人形がよければそっちを取る。ただし、わしの人形であれば人気の差でわずかに勝ってしまうかのう。
――――そっちこそ冷静になってよ。うーん……2の方は、ぽる太の人形の色違いが選べても嬉しくないし、かと言ってふつうのぽる太を選ぶと何だか損した気持ちになるし……図書カードがいいなあ。
そう、まさにその心理じゃ。よく似た価値の2つの品が並べられると、相手の関心は残りの1つに向きやすくなる。これを「妨害効果」と呼ぶぞ。
――――へええ。じゃあ、3はどうなるの? ボクとぽる太の人形じゃ価値が全然違うよ。
うむ。かっこいい人形のほうが、くたびれたの人形に比べて価値が高そうに見えるじゃろ。だから、かっこいいぽる太の人形が選ばれる確率が高くなる。これは「誘引効果」によるものじゃ。
――――つまり、本当は価値の低いぽる太の人形を買わせたいときに使えるんだね!
他にも、似たような価値の3つの選択肢があると、人間は無意識に真ん中を選んでしまう……なんて実験結果も出ているぞ。詳しくは『軍事強国チートマニュアル』を参照してほしい。
『軍事強国チートマニュアル』
著者:山北 篤
――――じゃあ、ボクは王様にこう言えばいいわけだ。「魔物を倒す代わりに、姫をよこすか、ボクを国政の重要なポストに就けるか、あなたの地位を譲るかだ」って。
やけに強気な態度じゃな……ちなみに言い忘れておったが、交渉で守るべきことのひとつに「相手を怒らせてはならない」という教訓が
(ツーツー)
やれやれ、どうなっても知らんぞ。
………………
こうして、『軍事強国』ほっとラインはまたひとつ異世界の問題を解決した。
しかし、転移する者がいる限り、電話は鳴り続けるだろう――
つづく?
>Case.1 君主制の国家で王になるにはどうしたらいい?