2回にわたりお送りするシリーズ企画「軍服のヒミツ徹底解説」。
第1回:迷彩服に野戦服 軍服ってどんな服?
軍人が着用する服のヒミツに迫った前回に続き、今回は帽子や手袋、ブーツのヒミツを徹底解説します!
目次
軍人はどんな帽子を被っているの?
軍人が被る帽子といえば、式典の時などに制服と共に着用する正式な帽子「正帽」や、戦闘用の「ヘルメット」などがありますが、実は他にもたくさんの種類の帽子が存在しています。
【軍人が被る帽子の種類】
①ブッシュハット
・カウボーイハットのような形をした”つば広帽”。
・雨や日射しから頭や視界を保護できる。
・別名「ブーニーハット(ジャングルハット)」「アドベンチャーハット」「コンバットハット」。
・雨や日射しから頭や視界を保護できる。
・別名「ブーニーハット(ジャングルハット)」「アドベンチャーハット」「コンバットハット」。
「ブッシュハット」はベトナム戦争の時にアメリカ軍が着用していた帽子です。もとは兵士たちが自腹で用意していましたが、後に軍の装備として支給されるようになりました。
②野戦帽
・ヘルメット未着用時に野戦服とセットで被る。
・野戦服と同じか、よく似た素材でできている。
・野戦服と同じか、よく似た素材でできている。
「野戦帽」は野戦服(戦場に赴く時の服)とセットで使用する帽子です。自衛隊などでは「作業帽」と呼ばれています。
③略帽
・主に基地にいる時に被る帽子。別名「ギャリソンキャップ」。
・正式な「正帽」に対し、軍に制式採用されていない帽子をまとめて「略帽」と呼ぶこともある。
・正式な「正帽」に対し、軍に制式採用されていない帽子をまとめて「略帽」と呼ぶこともある。
「略帽」は主に基地内で使われます。軍隊には、戦闘をしていない時でも兵士は帽子を被って容貌に気を遣うべきだという考えがあるのです。
④識別帽
・野球帽のような形をした、柔らかい”つば付き帽”。
・基地や駐屯地の中のみで使用する。
・各部隊のオリジナルデザインで、自腹で購入する。
・基地や駐屯地の中のみで使用する。
・各部隊のオリジナルデザインで、自腹で購入する。
「識別帽」は野球帽のような形をしていて、基地や駐屯地の中でのみ使用されます。
支給品ではなく、各部隊オリジナルのマークなどがデザインされており、各自自腹で購入しています。皆で同じ帽子を被ることで、部隊の団結や士気を高めることができるのです。
どっちが好き? ベレー帽の被り方
テレビや映画などで、ベレー帽を被った特殊部隊の兵士を見たことはありませんか? 軍隊の中には、ベレー帽を採用しているところも多くあります。
ベレー帽の被り方には、イギリス式とフランス式の2種類があります。
①イギリス式……ベレーのベロ(布地の余分な部分)を右側に垂らし、左側を立てて記章をつける。
②フランス式……イギリス式の逆。ベロを左側に垂らし、右側を立てる。
イギリス式の被り方でベレー帽を被るのは、イギリス軍だけではありません。ヨーロッパ各国でも採用されていますし、フランス軍の中にも、「コマンド・マリーン(海兵隊のコマンド部隊)」のように、イギリス式の被り方を採用している部隊もあります。
自腹で買うことも多い手袋
軍の兵士たちはどんな手袋をしているのでしょう?
多くの軍隊では、軍用手袋(いわゆる「軍手」)が支給されています。
【軍手の利点と欠点】
◎軍手の利点
・穴掘りや荷物運びなどの作業に便利!
・値段が安いので、大量に使い捨てできる。
・左右兼用なので、片手がダメになっても使い回せる。
×軍手の欠点
・細かい作業には向いていない。
・滑りやすい。
・戦闘用として使うのは不安……。
軍手は戦闘用というより、穴掘りなどの作業時によく使われています。
戦闘用に使われるのはもう少ししっかりとした手袋で、兵士たちは軍の売店(PX)に行き、自腹で戦闘用の手袋を購入しています。
【自腹でも購入したい! 戦闘用の手袋】
・ゴムの滑り止め付き手袋
・フライトジャケットと同じ素材でできた、燃えにくい手袋
・レザー製の上等な手袋
・迷彩柄の手袋 などなど
ナイフでも切れない! スペクトラグラブ
一部の特殊部隊などでは、「スペクトラグラブ」という特殊な手袋を採用しています。「スペクトラ繊維」という特殊な高強度ポリエチレンでできた手袋です。
【スペクトラグラブのここがスゴイ!】
- ナイフの刃で切りつけられてもなかなか切れない! (ただし、突き刺す力には弱い)
- 特殊部隊などがラベリング(ロープを使った降下)を行う時、火傷や切り傷から手を保護できる。
こうした特徴から、スペクトラ繊維は手袋だけでなく、防弾チョッキや防刃シャツなど様々な製品に活用されています。
コンバットブーツに大切なこと
最後に、兵士たちの履くコンバットブーツ(戦闘用ブーツ)についてご紹介しましょう。
【戦闘用ブーツに大切な3つのポイント】
①高い「クッション性」
・靴底が厚い。
→尖った岩やガラスの破片などから足を守る。
・靴底には衝撃吸収素材を使用。
→兵士が激しく動き回っても地面から足に伝わる衝撃を和らげる。
②高い「安定性」
・爪先やカカト部分が頑丈で、溝の形状も工夫されている。
→足を踏ん張った時に体が安定しやすい。長時間の行軍でも疲れにくい。
③高い「快適性」
・ソフトレザー(合皮革)やコーデュラ・ナイロンなどの素材でできている。
→足にフィットし、汗蒸れや靴擦れになりにくい。
戦闘用ブーツは、足首よりも少し上の部分まで覆える構造になっているものがほとんどです。
これには、行軍や戦闘の際、靴の隙間から小石や虫などが入り込んでしまうのを防ぐためと、足首を固定することでねん挫を防ぐためという目的があります。
軍人たちは、一般の人が履くようなランニングシューズやトレッキングシューズよりも、戦闘に適した靴を履いているのです。
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