「女神転生」シリーズなど様々なゲームに登場するクリシュナ。クリシュナは元々、ヒンドゥー教に登場し、インドの人々からひろく愛される英雄でした。
今回はそんなクリシュナにまつわる数々の伝説をご紹介しましょう。
目次
3行でわかる! クリシュナとは?
- ヴィシュヌ神の化身で、大叙事詩『マハーバーラタ』の主人公アルジュナたち五王子軍の参謀役。
- 黒い肌の美男子で、怪力を持ついたずら者。妻はなんと1万6千人!
- 宿命の敵・カンサ王を斃し、町に平和をもたらした。
神の化身で、妻が1万6千人もおり、宿敵を斃したとは一体どういうことでしょう?
それぞれの詳細について、次項からご紹介します。
ヴィシュヌ神の化身・クリシュナ
クリシュナは大叙事詩『マハーバーラタ』や『バカヴァッド・ギーター』に登場するヴィシュヌ神の化身ですが、元々は実在の英雄だったという説もあります。
伝説の中のクリシュナは、遊牧民ヤーダヴァ族の長ヴァースデーヴァの息子として、中部インドの都市マトゥラーに生まれました。
この町を治めるカンサ王はたびたび悪事をはたらき、人々を困らせていました。
ある時、カンサ王に「ヴァースデーヴァとその妻の8番目の息子によって、王は殺されるだろう」という予言が下ります。
予言を恐れたカンサ王は、ヴァースデーヴァの子どもたちを次々と殺してしまいました。
8番目の息子も殺されることを恐れた父は、生まれたばかりのクリシュナを7番目の息子バララーマ(実はアナンタ龍の化身)と一緒に町から連れ出し、牛飼いナンダに預けます。
こうしてクリシュナとバララーマの兄弟は、牛飼いナンダのもとで暮らすこととなりました。
美男子でいたずら者 クリシュナの仰天エピソード
クリシュナという名前は「黒い者」という意味で、夜中に真っ黒な身体で生まれたことが由来です。絵画や彫像などでは青色の肌で描かれることも多々あります。
牛飼いナンダのもとに預けられたクリシュナは、幼い頃から怪力で知られていました。
【クリシュナの怪力エピソード】
・魔女プータナーがクリシュナに自分の乳(猛毒)を飲ませようとしたが、クリシュナにものすごい力で毒乳もろとも生命力まで吸い出されてしまった。
・悪魔トリナーヴァルタがクリシュナをさらったが、悪魔の背中でクリシュナが徐々に体重を増していったため、悪魔はクリシュナの重みに耐えられず墜落してしまった。
・ヤムナー河に住む悪龍カーリヤの頭上に飛び乗ったクリシュナは、その体重で龍を押しつぶし、苦しめて退治した。
やがて美しい青年に成長したクリシュナは、多くの牛飼い女たちから愛されるようになります。
【モテる男・クリシュナの伝説】
・満月の夜にクリシュナが横笛を吹くと、女たちは彼と踊りたくなってベッドを抜け出しクリシュナのもとに集まった。クリシュナはひとりひとりに自分の分身を添わせて踊りの相手をした。
・水遊びをする女たちの衣服を奪ういたずらをした。
クリシュナは生涯で1万6千人もの妻を持ったといわれています。中でも最も愛した相手は、牛飼いの妻ラーダーでした。
クリシュナVS悪の宿敵・カンサ王
さて、クリシュナが予言にあった8番目の息子であることを知ったカンサ王は、彼に次々と追っ手を差し向けますが、全て返り討ちにされてしまいます。
そこでカンサ王はレスリング大会を開催し、牛飼い代表として出場したクリシュナとバララーマの兄弟が巨人と闘うよう仕向けました。
ところがクリシュナ兄弟はあっという間に巨人を倒してしまいます。
慌てたカンサ王は兵士や悪魔を差し向けますが、ことごとく撃破され、最後はクリシュナに踏み殺されてしまいました。
こうして予言は的中し、町に平和が訪れます。
その後も活躍を続けた英雄クリシュナですが、その最後はあっけないものでした。
森の中で瞑想していた時、クリシュナを鹿と間違えた猟師によって、唯一の弱点であるかかとを撃ち抜かれ斃されてしまったのです。
クリシュナはヴィシュヌ神の姿に戻り、天に昇っていったといわれています。兄のバララーマもアナンタ龍の姿に戻り、同じく天に帰ったということです。
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