映画やドラマ、ゲームなどで見かける軍服。キッチリしたデザインの軍服をビシッと着こなす軍人の姿にあこがれる方も多いのではないでしょうか。
そこで2回にわたり、軍服のヒミツを徹底解説してまいります!
第1回目のテーマは「そもそも軍服とは?」です。
目次
軍服ってどんな服?
でも、なぜ軍人は軍服を着るのでしょう? その理由は大きくふたつに分けられます。
【軍服を着る理由①敵との区別】
- 同士討ちを避け、敵を識別しやすくなる。
- 仲間意識や連帯感が生まれ、集団としての能力が向上する。
軍服は国や軍隊によってデザインが異なるため、軍服を着ることで、どこの軍隊の兵士なのか所属がわかりやすくなります。
そのため、敵味方が入り乱れて戦う戦場でも、同士討ちを避け、敵を簡単に見分けることができるのです。
また全員が同じ格好をすることで、仲間意識や連帯感が生まれますし、敵を威圧する効果ものぞめます。
【軍服を着る理由②民間人との区別】
- 「軍人」であることがひと目でわかる。
- 民間人に対する威圧効果。
- 軍人としての行動を自制させる。
実は国際法では、兵士は「軍服」を着用して戦うことが定められています。もしこの決まりを守らないと、テロリストや犯罪者扱いされてしまうこともあるのです。
軍服を着ることで、その人が軍人であることがひと目でわかるようになります。
そのため民間人を威圧することができますし、また逆に軍人側も、民間人から「見られている」と意識することで、行動を自制しやすくなるのです。
軍服は自腹で買うの?
軍服には大きく分けてふたつの種類があります。
①「制服」……軍人が普段着ている、背広のような服。
②「戦闘服」……戦場に赴く時に着る服。緑色や茶色の「野戦服」や、まだら模様の「迷彩服」などがある。
制服・戦闘服のどちらも、かつては兵士たちが自腹で購入していました。
しかし火砲が発達し、国民軍が創設されるなど軍隊の規模が大きくなった現代では、下っ端兵士(軍曹や二等兵など、実際に戦場で戦う下士官や兵)にはレンタルという形で支給されています。
迷彩服にも種類があるの?
軍人の服装といえば、迷彩服を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
実は迷彩服の模様(パターン)には多くの種類があります。戦場の地形や植生に合わせた模様を採用することで、カモフラージュ効果を高めることができるのです。
有名な模様をふたつご紹介しましょう。
①ウッドランド迷彩
・ヨーロッパの植生に対応。
・アメリカ軍の「BDU」やイギリス軍の「DPM」といった迷彩服に使われている。
②ドットパターン
・ドイツ連邦軍や日本の自衛隊が採用。
・ドイツでは茶・黒・グレー・黄など、日本では緑・茶・黒・カーキが使われている。
・ヨーロッパの植生に対応。
・アメリカ軍の「BDU」やイギリス軍の「DPM」といった迷彩服に使われている。
②ドットパターン
・ドイツ連邦軍や日本の自衛隊が採用。
・ドイツでは茶・黒・グレー・黄など、日本では緑・茶・黒・カーキが使われている。
こうした迷彩の模様は長い時間をかけて改良され続けており、最近ではコンピュータを使って開発されることもあります。
最新の「ピクセル迷彩」ってどんな迷彩?
数ある迷彩柄の中で、今いちばん注目されているのは「ピクセル迷彩」や「デジタル迷彩」です。
どちらもコンピュータで作成されたパターンで、見る角度によって緑っぽい色や茶色っぽい色に見えるなど、色調が変化したり、背景に溶け込んで見えるよう工夫されています。
階級と階級章
軍隊やそれに準ずる組織では、階級(誰が偉いかという順列)がハッキリ定められています。
【軍隊の階級って?】
- 位の高い順に「将→佐→尉→曹→兵」。それぞれの中にさらに「大・中・小」や「一等・二等・三等」などの格付けがある。 例)大佐、中尉、二等兵
- 「曹」だけは特殊で、「曹長・軍曹・伍長」といった格付けの中に「上級」「特務」「先任」などの冠がつく場合も。
こうした階級をひと目でわかりやすくするため、軍服には「階級章」が取り付けられています。
時代や国によりますが、階級が上になると階級章のラインや星の数が増えたり、色が変化したりするのです。
階級章はどこに付けるの?
階級章は軍服の目につきやすい場所に取り付けられ、つける場所によって「襟章(衿章)」や「袖章」、「肩章」などと呼ばれます。
普段着用する「制服」と、戦場で着用する「野戦服」とでは、階級章のサイズやデザイン、材質などを変えているケースも多々あります。
階級章はバッジやワッペンのような形をしていて、マジックテープ(ベルクロ)で簡単に取り外せるようになっています。
特に戦闘中は、階級章をつけていると敵兵に狙撃されやすくなることもあるため(狙撃兵は階級の高い者を好んで狙います)、階級章は取り外されることも多いのです。
軍服の肩からぶら下がっている紐は何?
第2次世界大戦頃までが舞台の映画などで、軍服の肩から紐のようなものが何本もぶら下がっているのを見たことはないでしょうか?
あの紐のようなものは「飾緒(しょくちょ)」といって、主に副官など、一定以上の地位のある軍人が身につける紐飾りです。
【3行でわかる! 飾緒とは?】
- 主に副官が着用していた紐飾り。
- 金色や白色、緑色、銀色など、色やデザインは様々。
- 組紐状の構造になっていて、取り外しができる。
「副官」とは、リーダーの作戦指揮や作戦立案を補佐する立場の軍人で、秘書や付き人のような役割を果たしていました。
第2次世界大戦中の日本軍では副官のことを「参謀」と呼んでおり、参謀が身に付ける飾緒も「参謀飾緒」「参謀肩章」などと呼びならわしています。
今ではただの飾りですが、ナポレオンの時代には、飾緒の先にペンを吊るして使っていたといわれています。
さらに時代をさかのぼると、飾緒は元々「指揮官の馬を引くための手綱」だったという説もあるようです。
いかがでしたでしょうか? 軍服の役割を知っておくことで、創作にはもちろん作品鑑賞もより深く楽しめそうですね。
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