自ら手を下さなくても相手を呪殺し、財産まで奪うことができるとしたら――。
何とも物騒な話ですが、古代中国から日本へと伝わった「蠱毒法(こどくほう)」を使えば、それが可能になるかもしれません。
目次
権力者も恐れた邪術・蠱毒法とは?
【蠱毒法】
・古代中国で考案された邪術
・昆虫・爬虫類などの毒虫を使って標的となる人を呪殺し、財産を奪うことができる
・ただし、蠱毒を飼い続けることはとても難しい
・古代中国で考案された邪術
・昆虫・爬虫類などの毒虫を使って標的となる人を呪殺し、財産を奪うことができる
・ただし、蠱毒を飼い続けることはとても難しい
蠱毒法(こどくほう)は古代中国で編み出された邪術で、ヘビやガマ、トカゲ、クモ、カイコ、シラミ、ムカデといった昆虫や爬虫類などを使って標的となる人を呪殺し、その人の財産まで奪い取るというものです。
対象者の財産を奪うことができるため、蠱毒法を使う者の家はどんどん金持ちになります。しかし、後述する「金蚕蠱(きんさんこ)」の例のように、蠱毒を長期間飼い続けることは極めて難しいため、結果的に滅びてしまう家も多数あったといわれています。
このように強力な効果があったため、古代中国では、蠱毒を使った者・使おうとした者は死刑に処すという法令が定められていました。蠱毒法は権力者も恐れるほどの邪術だったのです。
蠱毒の作り方と使用法
それでは蠱毒はどのように作成されていたのでしょう?
蠱毒はいつの間にか家に住み着いていることもありますが、通常は次のように作ります。
【蠱毒の作り方】
①端午の日に、ヘビ、ガマ、トカゲ、クモ、カイコ、シラミ、ムカデなどの毒虫を甕(かめ)に閉じ込め、共食いさせる
②翌年、甕の蓋を開けた時に1匹だけ生き残っていたものが蠱毒となる
③②で手に入れた蠱毒を飼育し、年に数度祀ると蠱毒法が使えるようになる
①端午の日に、ヘビ、ガマ、トカゲ、クモ、カイコ、シラミ、ムカデなどの毒虫を甕(かめ)に閉じ込め、共食いさせる
②翌年、甕の蓋を開けた時に1匹だけ生き残っていたものが蠱毒となる
③②で手に入れた蠱毒を飼育し、年に数度祀ると蠱毒法が使えるようになる
蠱毒の作成には一般的に雑多な毒虫を用いますが、時には鶏や猫、犬、羊のような動物を使うこともあるようです。
いずれにせよ用意した虫や小動物を狭い場所に閉じ込め、共食いをさせて最後まで生き残ったものが蠱毒となります。
こうして手に入れた蠱毒は、次のような方法で使用します。
【蠱毒の使用法】
・標的となる人の食べ物に蠱毒を混ぜて食べさせる(蠱毒を焼いて粉末にしたものや、糞を食べさせる場合もある)
・標的となる人の家の下に蠱毒を埋める
・標的となる人の食べ物に蠱毒を混ぜて食べさせる(蠱毒を焼いて粉末にしたものや、糞を食べさせる場合もある)
・標的となる人の家の下に蠱毒を埋める
蠱毒は適切に飼育し、占いで日を選んで年に数度祀るようにします。その後、標的となる人に食べさせたり、その人の家の下に埋めたりして相手を呪うのです。
この邪術が成功すれば、相手の命を奪うことはもちろん、財産までも手に入れることができるといわれています。
金蚕蠱とは?
続いて、蠱毒法の中でも最もよく知られた「金蚕蠱(きんさんこ)」をご紹介しましょう。
【金蚕蠱(きんさんこ)とは?】
・「金蚕」とはカイコに似た「食錦虫(しょくきんちゅう)」という虫のこと
・食錦虫は金色をしており、カイコが桑の葉を食べるように、高価な錦の織物を食べて生きる
・「金蚕」とはカイコに似た「食錦虫(しょくきんちゅう)」という虫のこと
・食錦虫は金色をしており、カイコが桑の葉を食べるように、高価な錦の織物を食べて生きる
「金蚕」も「食錦虫」も聞きなれない名前ですが、どこで手に入るのでしょうか?
【金蚕を手に入れるには?】
・通常の蠱毒法と同じように作成する(多数の毒虫を最後の1匹になるまで共食いさせる)
・道端で拾う
・通常の蠱毒法と同じように作成する(多数の毒虫を最後の1匹になるまで共食いさせる)
・道端で拾う
金蚕を手に入れる方法は2つ。前述の蠱毒法と同じ方法で作成するか、道端で拾うかです。
こうして手に入れた金蚕の糞を食べ物に混ぜて食べさせれば、標的となった人を殺し財産を奪うことができるとされています。
金蚕の飼い方・別れ方
自ら手を下さなくても標的を殺害し、財産を奪うことすらできる金蚕蠱。
ただし、金蚕を飼う時には次の3点を必ず守らなければなりません。
【金蚕を飼う時の注意点】
・高価な錦の織物を食べさせる
・金蚕蠱を使い、毎年必ず1人を殺害する
・標的が見つからない時は自分の家族を殺す
・高価な錦の織物を食べさせる
・金蚕蠱を使い、毎年必ず1人を殺害する
・標的が見つからない時は自分の家族を殺す
金蚕蠱を使えば相手の財産を奪えるのですから、高価な錦の織物を金蚕に与え続けることは難しくありません。
しかし難しいのは残りのふたつです。金蚕を飼い続ける間、毎年必ず誰かを殺さなければならず、相手が見つからなければ自分の家族すら標的としなければならないのです。
もしこれらの注意点を守れないと、金蚕の持ち主自身が金蚕によって殺されてしまいます。
金蚕蠱はまさに命がけの邪法なのです。
金蚕に殺されるくらいなら、金蚕を殺してしまえばいいと考える方もいるでしょう。ところが金蚕は水に沈めても、火で焼いても、刃物で切っても殺すことができません。
どうしても金蚕を飼いきれない場合、次のような方法を取れば金蚕と別れることができます。
【金蚕との別れ方(嫁金蚕=かきんさん)】
①箱の中に金蚕と、金蚕で得た金銀財宝を入れ、道に捨てる
②この箱を誰かが拾い、家に持ち帰ったら成功!
①箱の中に金蚕と、金蚕で得た金銀財宝を入れ、道に捨てる
②この箱を誰かが拾い、家に持ち帰ったら成功!
金蚕と別れる方法を「嫁金蚕(かきんさん)」と呼びます。嫁入りの時の持参金のように、金蚕とともに金銀財宝を箱に入れて道に捨てるのです。
この箱を誰かが拾って家に持ち帰れば、金蚕もその家に移っていきます。もう金蚕に殺される心配をしなくてもよいのです。
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