その外見の美しさから『詩のエッダ』では「神々の麗しの花嫁」とも称される巨人の娘スカディ(スカジ)。
しかし、その性格は酷薄であり敵対する者には容赦がないといいます。
父を殺された復讐に、アースガルズの地を訪れたスカディは神々に賠償を申し立てました。この記事では、スカディにまつわる数奇な物語をご紹介します。
スカディ、復讐のためアースガルズを訪れる
スカディはスキーの女神とも言われ、弓矢を持ち、スキー板を履いた姿で描かれます。
美しい外見とは裏腹に、かつて恋人関係にあった悪神ロキに対し、ヘビの毒を顔に滴らせる拷問を施したというエピソードも残されています。
ある時、父のシャツィが永遠の若さを手に入れようと画策した挙句、アースガルズの神々によって殺されてしまいました。
父の復讐を誓ったスカディは、兜鎧を身にまといたった一人でアースガルズに乗り込んだのです。
そんな彼女を哀れに思ったのか、神々は和解を申し出ました。
条件はこんな感じです。
・焼け残ったシャツィの目を天の星にする
・大量の財宝
・神との結婚。ただし、見ていいのは足だけ
・大量の財宝
・神との結婚。ただし、見ていいのは足だけ
この条件に加えて、スカディは「自分を笑わせること」も神々に要求します。
和解の条件が合意されると、さっそくスカディは神々の足を吟味し始めました。スカディの心の内では美青年のバルドルを婿に欲しいとの思いがあり、もっとも美しい足の者を選びます。
しかし、残念ながら選ばれたのはニョルズでした。
その後、スカディを笑わせるための見世物が始まります。
これはスカディの元恋人でもあるロキが陰嚢に結んだ紐を山羊と引っ張り合うという滑稽なものでした。ひとしきり笑って気が晴れたらしいスカディは、おとなしくニョルズとの結婚生活に入ったといいます。
ところが、どうしてもお互いの生活環境になじむことが出来なかった2人は、早々に別居することになりました。
スカディは父の館であるスリュムヘイムへと帰り、やがて主神オーディンと結ばれて、ノルウェー王族の始祖となるのです。
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