皆さんは、魔女と聞くとどのような姿をイメージするでしょうか。
箒にまたがって空を飛んでいたり、大きな釜で怪しげな薬を調合していたり……中には、何人かの魔女が集まって集会を開いている光景を思い浮かべた方もいるかもしれませんね。
そんな、魔女たちの集う宴を「サバト」といいます。サバトは少人数で行われることもあれば、一万人を超える規模で行われることもあったようです。
夜な夜な集まった魔女たちは、どんな宴を催していたのでしょうか。サバトの秘密を探っていきましょう。
目次
魔女の集会サバトは、どのようにして広まった?
実は、もともとサバトとは幻想上の夜宴のことでした。
実際に行われていたわけではなく、魔女が集まって悪魔に従っているというイメージが広まった結果、サバトが生まれたのです。
このように魔女と悪魔が関連付けられるようになった原因はキリスト教にあります。キリスト教が広まる前、ヨーロッパではディアナ女神やアルテミス女神といった大母神が信仰の対象となっていました。こうした大母神の祝祭では、性的乱交やオルギア(狂騒的酒宴)などサバトのイメージの原点となる宴が行われていたといいます。
しかし時代が下がりキリスト教が広まると、異教の神を悪魔とみなすようになり、異教の神の祝祭に参加する者は悪魔に従う魔女だと非難するようになりました。
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サバトではどんなことが行われていたの?
残念ながら、サバトは実際に開催されていたわけではないので、詳細な記録は残されていません。開催日、開催場所、参加人数などは証言者によってまちまちです。
とはいえ、魔女狩り時代のヨーロッパの人々が想像していたサバトには共通点がありました。
ここで、サバトの招待状を見てみましょう。
☆サバトのご案内☆
開催日時:土日を除く日の深夜
サバトへは、体に宙に浮くための軟膏を塗り、箒に乗って空を飛んできてください。
《プログラム》
悪魔礼拝 悪魔サタンへ敬意を表す臣従の礼を行います。
入会式 初めての参加者は悪魔サタンの角の間に蝋燭を立てていただきます。
宴会 犬・猫・蛙などの素晴らしい料理をご用意しています。
舞踏 田舎風音楽でダンシング。
乱交 近くにいる人(男女問わず)と性的な交わりを持ちます。
終了 夜明けを告げる雄鶏の鳴き声を合図に解散します。
17世紀の魔女狩り人ピエール・ド・ランクル(1553~1631年)はサバトについて、狂った数十万人もの魔女たちがあらゆる方角から波のように押し寄せ、さながら商人の市のようだと語っています。
ブロッケン山で行われる魔女のサバト |
ところで、皆さんはあることに気が付きませんでしたか?
そう、プログラムの中に2度も悪魔サタンが登場しています。実は、サタンこそサバトの主催者でした。
サタンは魔女と性交するために魅力的な姿になることもありましたが、多くの場合は巨大で真っ黒な牡山羊の姿をしていたといいます。
エリファス・レヴィの描いた「メンデスのバフォメット」 |
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