『ロミオとジュリエット』、『ハムレット』、『マクベス』、『ヴェニスの商人』……シェイクスピアの作品には時代を越えて愛され続けているものが多くあります。
でも、シェイクスピアはどうして素晴らしい作品を生み出し続けることができたのでしょう?
実は、シェイクスピアの作品は1人の人間ではなく、複数の人間が力を合わせて書いていたのではないかという説があるのです。
そこで今回は、シェイクスピアの作品に隠された謎について探っていきましょう。
目次
シェイクスピアの作品は複数の人が書いたもの?
シェイクスピアの作品が複数の人によって書かれたものだという説を裏付ける根拠は2つあります。
まずひとつめは、シェイクスピアがあまりにも多くの知識を持っていたことです。
シェイクスピアの作品の中には、ラテン、ギリシアの古典語、フランスやイタリア、スペイン、オランダの近代語の知識が使われています。これらの言語に精通するためにはたくさんの本を読むか、実際にそれらの土地を旅行して言語の研究をするしかありません。
しかし17世紀頃のヨーロッパでは本は大変高価で、簡単に手に入る物ではありませんでした。しかもシェイクスピアの遺産の中には、蔵書は含まれていなかったとされます。つまり、彼の言語能力は読書を通して身についたものではなかったのです。
それでは、シェイクスピアはヨーロッパ中を旅行して各地の言語を習得したのでしょうか? ですが当時のヨーロッパでは、旅行をするには莫大な費用と時間が必要でしたので、この説も現実的とは言えません。
これらのことから考えると、シェイクスピアは本も読まず旅行にも行かずに多くの言語知識を身につけたことになります。一体どうやったらそんなことが可能になるのでしょう?
そこでシェイクスピア複数人説が登場するというわけです。
シェイクスピア複数人説を裏付ける根拠はもうひとつあります。それは彼の直筆原稿が見つかっていないということです。シェイクスピアの肉筆と確認されたものはすべて署名だけで、原稿そのものは見つかっていないのです。
これらの理由から、シェイクスピアの著作が実は複数の人間によって書かれていたということが推測できます。複数の人が集まって書いたのであれば、彼の作品にたくさんの知識が詰まっていたことも、彼の直筆原稿が残っていないことも説明がつくというわけです。
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シェイクスピアの正体はフランシス・ベーコン?
では、シェイクスピアとともに数々の名作を書き上げた人物は誰だったのでしょう?
ここではいくつかある説の中から、フランシス・ベーコンだったのではないかという説をご紹介しましょう。
フランシス・ベーコン卿は作家であり、有能な法廷弁護人でもあった人物です。彼は豊富な蔵書を持ち、若い時から多くの国を旅行してヨーロッパ各地の文化にも精通していました。また宮廷作法にも詳しく、シェイクスピアの劇中に度々登場する王宮作法も熟知していたとされます。
こうした理由から、シェイクスピアと共に、もしくはフランシス・ベーコン卿だけで数々の作品を生み出すことが可能だったと推測できるのです。
シェイクスピアの作品の中には、フランシス・ベーコン卿がこの作品に関わったとされる証拠が残されています。
たとえば『ヘンリー4世 第1部』の中には、フランシスという単語が33回も続けて登場します。この33と言う数字はフランシス・ベーコン卿が気に入っていた数字なのです。
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シェイクスピアの作品にみられる名言いろいろ
最後に、シェイクスピアの作品に登場する名言をいくつかご紹介しましょう。作品をご存知ない方でも、きっと聞いたことがあるのではないでしょうか。
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」
「弱き者よ、汝の名は女」
どちらも『ハムレット』に登場する台詞です。『ハムレット』はシェイクスピアの四大悲劇のひとつで、デンマークの王子ハムレットが叔父に復讐を挑む様子を描いた作品です。
「光るものすべて金ならず」
こちらは『ヴェニスの商人』に登場する台詞で、今やことわざとしても使われています。
『ヴェニスの商人』は、ユダヤ人の金貸しシャイロックがヴェニスの商人アントニオに金を貸したことがきっかけで始まる裁判と、若者の恋の行方を描いた喜劇です。
「名前とはいったい何? ほかのどんな名前で呼んでも、薔薇は甘い香りを放つでしょう」
この言葉は『ロミオとジュリエット』に登場します。同作品では、「ああロミオ、あなたはどうしてロミオなの?」という台詞も有名ですね。
シェイクスピアの作品を読んだことがない・読んでみたいという方は、こうした名言の中から惹かれる台詞の出てくる作品を選んでみるのもいいかもしれません。