作者:東雲佑
ペンネーム『笑うヤカン』さん
週三回くらい更新でいいと思います。なろうとか毎日更新が基本なんだし
週三回くらい更新でいいと思います。なろうとか毎日更新が基本なんだし
「ほらほら、ヤカン先生もこう仰ってますし」
「無理無理無理無理無理! ヤカンさん俺が筆遅いの知ってんだろ! だいたいこれ記事書くのに毎回調べ物とかもしなきゃいけないんだぞ!」
ペンネーム『トクメイ』さん
東雲先生をもっと大事にこき使ってください!!!
東雲先生をもっと大事にこき使ってください!!!
ペンネーム『なにがし』さん
東雲先生が楽しそうで何よりです。体調を崩さない範囲でたくさん書いて下さい!
東雲先生が楽しそうで何よりです。体調を崩さない範囲でたくさん書いて下さい!
「ほらほら、ほらほらほらほら」
「無理無理、無理無理無理無理! なにが『ほら』なんだよ! 大事にって言ってんじゃん! 体調を崩さない範囲でって言ってんじゃん!」
いや、『大事にこき使う』が大事にしてんのかは議論の余地があるが……。
とにかくそういうことなので、『もっと読みたい!』って言ってもらえるのはすごく嬉しいんですが、いまはこれが精一杯です!
ごめんね! そして、ご要望ありがとうございます! 皆さま、これからもよろしくね!
「今回も読者メッセージからはじめさせていただきました。皆さまこんにちは、新紀元社の重岡です」
「よう小市民ども、達者でやってっか」
「……」
「……作家の東雲佑です」
「……久しぶりの読者だよりなんですから、しっかりやってくださいよ」
ごめんなさい、ゴールデンウィークに寅さん映画とか見たもんだからつい……。
「でもほんとに久しぶりだね、読者だより」
「ですね。途中に取材記とかも挟みましたし、もしかして一カ月ぶりくらいじゃないですか?」
もうそんなに経つのか。そりゃ桜も咲いて散るはずである。
あらためまして、読者の皆さま、お久しぶりです。
「さて、そんなこんなで前回と間隔があいてしまったので、読者からのメッセージも溜まっています!」
「読者投稿、いっぱい、たくさん、かなり来てましたね!」
「ですです!」
ああ、なんとありがたいことか!
読者の皆さま、たくさんのメッセージ、本当にありがとうございます!
「というわけで、今回もチャキチャキコーナー進行しましょう!」
「オッケー、チャキチャキ! さ、では」
「はい!」
「学ぼう!」
「学びましょう!」
そういうことになった。
∞~~~∞~~~∞~~~∞~~~∞~~~∞
ペンネーム『虎伯』さん
人間が主人公ではなく非人間、いわゆる「異類」が主人公の異類婚姻譚というのも興味深い。私が印象に残っているのは室町時代の御伽草子『木幡狐』ですが、他のパターンも色々見てみたいですね。
人間が主人公ではなく非人間、いわゆる「異類」が主人公の異類婚姻譚というのも興味深い。私が印象に残っているのは室町時代の御伽草子『木幡狐』ですが、他のパターンも色々見てみたいですね。
ペンネーム『とくだ』さん
人間以外と人間以外の異類婚姻譚はあるんでしょうか?
人間以外と人間以外の異類婚姻譚はあるんでしょうか?
「さて、今回も2つの共通性の高い投稿を並べて取り上げます」
「はい。一つ目のお題が大きな括りで、二つ目のお題はその内のさらに一ジャンルって感じですね」
「あー、こうして並べると確かにそう見えるけど、実はもっと単純な話だよこれ」
とにかく、まずは一つ目、ペンネーム『虎伯』さんのお題から切り込んでみよう。
「ちなみにメッセージ内で挙げられていた『木幡狐』、僕は今回はじめて知りました。木幡狐と書いてこわたぎつね、あるいはこはたぎつね。そのあらすじはこんな感じです」
木幡の里に住んでいた狐の姫が美しい貴族の青年に恋をする。姫と貴族の青年は結ばれやがて子供も生まれるが、しかしその子が三歳になった頃、青年の乳母だった女が珍しく美しい犬を献上する。本性が狐である姫は嘆き『別れても またも逢ふ瀬のあるならば 涙の淵に身をば沈めじ』という句を残して姿を消してしまう。
「あれ、東雲先生、このお話って」
「ああ、御察しの通りだぜよ」
助手的な台詞の重岡女史に博士的な台詞で応じる僕。実に予定調和な流れである。
さて、いつも『作家と学ぶ異類婚姻譚』を読んでくれてる皆さまはもうお気づきだろうけど、この木幡狐、たびたび名前を挙げている『信太妻』(安倍晴明の母親の葛の葉狐の話だよ)や前回取材記を書いた『女化ぎつね』と明らかに原型が同じなのだ(そういえばどのお話も去り際に句を残してるね)。
それに犬が破局の引き金になっているのは、これもまたたびたび取り上げている『狐を妻として子を生ましめし縁』と共通している。
はじめて知った物語なのに、なんだかすごく親しみを感じてしまう。
「それはさておき話をお題のほうに戻すけど、要するに今回のお題って、この木幡狐のお話みたいに『異類が主人公で相手が人間の場合』と『異類が主人公で相手も人間じゃない場合』に二分されるんだよ」
「あ、ほんとですね! 難しく考えなくても最初からその2パターンしかない!」
「そうそう」
「すごい! いつになくジーニアスです先生!」
こんなんでそこまで感心されるって貴様の中の俺はどんだけ愚者ってんだよ。
そう問い詰めたくなる気持ちをグッと胸の中の戸棚にしまいこむ、ジーニアスな僕であった。
「『異類が主人公で相手が人間の場合』の話なら、一寸法師や人魚姫、それに本編第2回で希先生が教えてくれた海神別荘もそうみたい」
「はいはい」
「あと現代の創作物で最初に思い出したのが、アニメ鬼太郎5作目に登場するろくろ首のろくちゃん(※1)の恋。そういや重岡さん、いまやってる鬼太郎6作目は見てる?」
「あ、はい……」
「……見てないの?」
「いえ、あの……録画はしてるんですけど、最近プレステ4で日本語版が配信されたフォートナイトってゲームが忙しくて……」
まじかよ……新紀元社の社員の癖に……。
「ま、まあいいや! さあ、お次は『異類が主人公で相手も人間じゃない場合』について!」
「……ほんとに面白いんですよ、フォートナイト」
お、おう。
「さて、今回のお題について、またも『最果てのパラディン』の柳野かなた先生がご意見くださいました」
「わー! もはや常連さんですね! 柳野先生、いつもありがとうございます!」
「ありがとうございます! で、柳野先生曰く『ぱっと思いつくところですと、やはり神話でしょうか。神さまが主人公になって嫁取りor婿取り、というのは枚挙に暇がありません』と」
「あー!」
確かに、ギリシャ神話のゼウスを筆頭に神々の恋愛話は実にたくさんある。ただ、人間の姿で描かれ人間と同じように感情を持つ神という存在を、僕は今ひとつ人間と区別して考えることができていない。
そこをいくと、神や神話に人一倍親しみながら、しかし神と人間との間に一本はっきりと線を引いている柳野先生の神話観・宗教観は流石としか言いようがない。話していていつも「こいつすげえな」と思わせられる凄みのようなものがそこにはある。
そんな柳野先生が「これは、厳密には異類婚姻譚ではないですが」と断りながらも特に好きなエピソードとして挙げてくれたのが、北欧神話における主神オーディンの愛馬、スレイプニル誕生にまつわる物語だ。
神々が暮らす土地に、ある日ひとりの石工がやってきた。この石工は実のところ巨人が化けた存在で、彼は次のように申し出た。
「この土地の新たな守りとして強く高い壁を建築してやろう。代償は月と太陽、そして女神フレイヤと結婚させてくれればいい」
石工の要求に神々は激怒したが、狡知の神ロキの提案で 「石工が誰の助けも借りず、冬至から夏至の間の約半年を期限に壁を完成させられたら報酬を支払う。しかし助けを借りたり期限を守れなければ報酬は支払わない」と、このような条件付きでなら石工の申し出を受け入れることにした。
これに対し巨人の石工は、彼の愛馬スヴァジルファリを使っても良いならばとさらに条件を出した。神々はこれを飲んだ。こうして壁の建築ははじまった。
このスヴァジルファリという馬の活躍は主人である石工を凌いで凄まじく、約束の期限の数日前にはすでに壁は完成間近だった。
神々は条件を提案したロキに責任を取れと命じた。
するとロキは雌馬に化けてスヴァジルファリを誘惑し作業を投げ出させた。建設作業は遅延し、このままでは期限に間に合わないと知った石工は巨人の姿を現したが、雷神トールのミョルニル(なんかすごいハンマー)によって倒される。
一方、スヴァジルファリと雌馬に化けたロキとの間には仔馬が生まれ、これが後にオーディンの愛馬となるスレイプニルである。
「この土地の新たな守りとして強く高い壁を建築してやろう。代償は月と太陽、そして女神フレイヤと結婚させてくれればいい」
石工の要求に神々は激怒したが、狡知の神ロキの提案で 「石工が誰の助けも借りず、冬至から夏至の間の約半年を期限に壁を完成させられたら報酬を支払う。しかし助けを借りたり期限を守れなければ報酬は支払わない」と、このような条件付きでなら石工の申し出を受け入れることにした。
これに対し巨人の石工は、彼の愛馬スヴァジルファリを使っても良いならばとさらに条件を出した。神々はこれを飲んだ。こうして壁の建築ははじまった。
このスヴァジルファリという馬の活躍は主人である石工を凌いで凄まじく、約束の期限の数日前にはすでに壁は完成間近だった。
神々は条件を提案したロキに責任を取れと命じた。
するとロキは雌馬に化けてスヴァジルファリを誘惑し作業を投げ出させた。建設作業は遅延し、このままでは期限に間に合わないと知った石工は巨人の姿を現したが、雷神トールのミョルニル(なんかすごいハンマー)によって倒される。
一方、スヴァジルファリと雌馬に化けたロキとの間には仔馬が生まれ、これが後にオーディンの愛馬となるスレイプニルである。
「……ロキって獣姦経験者の上に男神のくせに経産婦なんだね」
「……面白いですけどぶっとんでますね」
ロキどんな気持ちで牝馬に掘られたんだろう……。
そういえば、僕はロキのことを北欧神話のラスボスで神々の敵みたいに思っていたので、この話の中で彼が神々のために行動するのを見て、ちょっと驚いた。
僕がそんな感想を伝えると、柳野先生は「ロキは厄介ごともたくさん持ち込むけど、北欧の神々のためにかなり働いてもいるんですよ」と教えてくれた。ロキに好感を抱くと同時に、北欧神話にも興味が湧いてきた。
「またこれとは別に、柳野先生は西アフリカのドゴン族に伝わるユルグっていう銀狐のことも教えてくれました。これは至高神が自ら作り出した女体の大地と交わった際に生まれたとか」
「……なんだか極まった腐女子のカップリングみたいですね」
「僕は谷川俊太郎のある詩を思い出したよ……(※2)」
ともかく、柳野先生ありがとうございました! 修羅場中に時間取らせてごめんね!
「最後に、今回のお題への回答になりそうな投稿が一つあったので、こちらも紹介させていただきます」
ペンネーム『こやつめハハハ』さん
グレープ君のエピソードで連想するのはオスカーワイルドの『幸福な王子』です。
王子とツバメも異類婚姻譚にあたるのでしょうか。
グレープ君のエピソードで連想するのはオスカーワイルドの『幸福な王子』です。
王子とツバメも異類婚姻譚にあたるのでしょうか。
「王子の銅像が仲良くなったツバメに頼んで、自分の身体を覆う金箔や目玉の宝石を貧しい人たちに届ける。だけど、そうしているうちに銅像の王子はみすぼらしく成り果て、最後には廃棄されてしまう。また、渡り鳥なのに王子に付き合って越冬しそびれたツバメも、息絶えてしまう。最後の力を振り絞って、王子の足にキスをして」
「悲しいです。自己犠牲です。美しいです」
「だねー。さて重岡さん的に、この話は異類婚姻譚で……」
「いいと思います!」
「僕もそう思います!」
ということでペンネーム『こやつめハハハ』さん(すげえペンネームだなあんた)、これは異類婚姻譚判定です!
お話の最後、王子とツバメは神さまによって天の楽園に引き上げられて、いつまでも一緒に幸せに暮らしたそうです。
ハッピーエンド(※重岡注)の異類婚姻譚、やっぱいいよね。
「さあ、ここからはいわゆるふつおたのコーナーです!」
「新紀元社の珍獣がいよいよラジオDJ気取りかよ。ああ、そういやユーチューバーデビューおめでとうござ……(※3)」
「わー! わー! そ、そういえばゴールデンウィークも半分過ぎましたね(※4)! 東雲先生はもうどこか行きました!? これからどこか行きますか!?」
いや、そんなに必死で隠そうとせんでも。
「僕は4月の末に父の希望で茨城の陶芸の即売会に行ったよ。あとはこどもの日にコミティアに出掛ける予定。重岡さんは?」
「フォートナイト三昧です!」
「……ゴールデンウィーク中ずっと?」
「コンビニとかにはいきますよ?」
ああ、これ絶対ずっとだ……。
ペンネーム『エデ』さん
異種婚と言えば、真っ先に思い出すのが『美女と野獣』ですが、先頃『シェイプ・オブ・ウォーター』の某監督が「ボクは嫌いなんだ。外見より中味なら、何故ヒロインは美しい処女で、王子はイケメンなんだ?」との事ですが、いかにも男の意見だと反感を持ちました!誰が好き好んで枯れた女とリアル怪物のエグイラブストーリーを見たいですか?
気丈な乙女が野獣を飼い慣らす過程でお互いを認め合うのがファンタジーなんですよ!リアル描写いらないから!
その点で是非お勧めしたいのが米TVドラマ『ワンス・アポン・ア・タイム』です。お馴染みDキャラが現代に住み着いてアベンジャーズする様なお話ですが、ベルの相手役は王子様ではなくて、何故か諸悪の元凶・黒魔法使いのルンペルシュティルツキン(おとぎ話の小人だけではなく、闇の王と呼ばれる黒魔術の頂点でもあり、ピーターパンのチクタクワニとしてフック船長のライバルでもあり、野獣役でもある)初老で子持ちバツイチの悪役で、しかも不老不死とかどれだけチートなスキルなんだか、ですが定番を覆すドラマで結構人外好きには美味しいです。
異種婚と言えば、真っ先に思い出すのが『美女と野獣』ですが、先頃『シェイプ・オブ・ウォーター』の某監督が「ボクは嫌いなんだ。外見より中味なら、何故ヒロインは美しい処女で、王子はイケメンなんだ?」との事ですが、いかにも男の意見だと反感を持ちました!誰が好き好んで枯れた女とリアル怪物のエグイラブストーリーを見たいですか?
気丈な乙女が野獣を飼い慣らす過程でお互いを認め合うのがファンタジーなんですよ!リアル描写いらないから!
その点で是非お勧めしたいのが米TVドラマ『ワンス・アポン・ア・タイム』です。お馴染みDキャラが現代に住み着いてアベンジャーズする様なお話ですが、ベルの相手役は王子様ではなくて、何故か諸悪の元凶・黒魔法使いのルンペルシュティルツキン(おとぎ話の小人だけではなく、闇の王と呼ばれる黒魔術の頂点でもあり、ピーターパンのチクタクワニとしてフック船長のライバルでもあり、野獣役でもある)初老で子持ちバツイチの悪役で、しかも不老不死とかどれだけチートなスキルなんだか、ですが定番を覆すドラマで結構人外好きには美味しいです。
ペンネーム『カイネ』さん
いつも楽しく読ませていただいております。
私は恋愛小説やファンタジー小説が大好きなのですが、中でも「異類婚姻譚」が大好物です。
ですので、『作家と学ぶ異類婚姻譚』では色んな方の「異類婚姻譚」に関するをお話し拝見できてとても嬉しいです。
個人的には普通恋愛物も楽しいですけど、「異類婚姻譚」には人間同士の恋愛にはない刺激的な要素を入れやすいので、より面白く感じるのかなと思っています。
自分(読者)の知らない物語の世界で、主人公が人ではない生き物と出会い、交流し、婚姻する。
文章にすると単純かもしれませんが相手が人ではないので、読み手としては「未知」の部分が多く、先を楽しみに読めますし、どの部分に力を入れて書いているかなど、作者の個性が光るお話しが多いので読んでいて面白いのかなと思っております。
などと言っておきながら『シェイプ・オブ・ウォーター』はまだ見ていないので、今度見てみようと思います。
ご紹介いただきありがとうございました。
次回も楽しみにしております。
いつも楽しく読ませていただいております。
私は恋愛小説やファンタジー小説が大好きなのですが、中でも「異類婚姻譚」が大好物です。
ですので、『作家と学ぶ異類婚姻譚』では色んな方の「異類婚姻譚」に関するをお話し拝見できてとても嬉しいです。
個人的には普通恋愛物も楽しいですけど、「異類婚姻譚」には人間同士の恋愛にはない刺激的な要素を入れやすいので、より面白く感じるのかなと思っています。
自分(読者)の知らない物語の世界で、主人公が人ではない生き物と出会い、交流し、婚姻する。
文章にすると単純かもしれませんが相手が人ではないので、読み手としては「未知」の部分が多く、先を楽しみに読めますし、どの部分に力を入れて書いているかなど、作者の個性が光るお話しが多いので読んでいて面白いのかなと思っております。
などと言っておきながら『シェイプ・オブ・ウォーター』はまだ見ていないので、今度見てみようと思います。
ご紹介いただきありがとうございました。
次回も楽しみにしております。
「まずはシェイプオブウォーターに言及したメッセージから」
そういえば最後の読者だよりは『シェイプ・オブ・ウォーター』特集だったっけ。あれが4月7日だったからほんとに一ヶ月ぶりなんだなあ。ご無沙汰しておりました。
「ペンネーム『エデ』さんが紹介してくれてるワンスアポンアタイム、ディズニー版アベンジャーズってコンセプトからすでに面白そうだね。それからペンネーム『カイネ』さんはこの連載がきっかけでシェイプオブウォーターを観たいと思ってくれたみたいだし、まったく冥利に尽きるとはこのこと……」
「意義アリ! いかにも男の意見、というのは個人的に反対です!」
……来たか。
「だってですよ、美女と野獣が出会ったときのファーストインプレッションを考えてみてください! きっと野獣は美女に対して『なんて美しい娘だ。しかしこんな姿の俺を好きになってくれるはずがない』と思うに違いありません。昨年公開し たエマ・ワトソンちゃん主演の『美女と野獣』でもそんな描写がありましたね?」
「え、あ、うん……そうだったかな……」
読者投稿を選ぶ時にうすうすこうなる気はしていたけど、案の定また重岡スイッチを入れてしまった。
ちなみに僕も『美女と野獣』はちゃんと観てる。けど印象に残ってるのは悪役の友達がやたらいいヤツだったことくらいだ。よく憶えてんなあ。
「それに対して、美女は怖くて目を合わせられないほどなのに、なぜか野獣を受け入れてくれる女神のような存在なのです!」
「めがみ、ごっです」
「美しくもないし傲慢でめんどくさい自分を全面的に受け入れてもらいながらも、相手は容姿も心も美しい完ぺきな女性って設定おかしくないですか!?」
「……あの、重岡さん? 大変聞き応えのある意見陳述なのですが、聞き応えありすぎてまたお時間が……(つまり文字数が。おなじみの便宜的表現)」
「これは野獣が最終的にイケメンになることよりもはるかに問題だと思うのです。男性であるデルトロ監督が、ヒロインが美しい処女であることの問題性について言及してくれたことは大変意義があると感じます!」
「はーい! このままだとキリがないので次のメッセージにいきまーす!」
*****
ペンネーム『エデ』さん
狸との婚礼話ではありませんが、やはり「タヌキ」「化ける」「騙す」のキーワードは「カチカチ山」を連想します。
薪を背負って焼かれたり、ドロ船で沈んだりの後半が印象に残りますが、前半も凄い。
タヌキは悪さをして、お爺さんに捕まります。そしてあわやタヌキ汁にされる所を、人の良いお婆さんを騙し、殴り殺してしまうのです! この後の展開が異種婚に通じるのですが、タヌキはお婆さんに化けて、そ知らぬ顔でババア汁(!)を作り、お爺さんに飲ませてしまうのです。お婆さんを取り込むお爺さん=カニバリズムですが、知らずにとは言え、愛する物を食べてしまう……それをそそのかすタヌキもお婆さんの姿です。何と言う悪女ぷり! この辺が、狐女房とは一味違う所ですね。
狸との婚礼話ではありませんが、やはり「タヌキ」「化ける」「騙す」のキーワードは「カチカチ山」を連想します。
薪を背負って焼かれたり、ドロ船で沈んだりの後半が印象に残りますが、前半も凄い。
タヌキは悪さをして、お爺さんに捕まります。そしてあわやタヌキ汁にされる所を、人の良いお婆さんを騙し、殴り殺してしまうのです! この後の展開が異種婚に通じるのですが、タヌキはお婆さんに化けて、そ知らぬ顔でババア汁(!)を作り、お爺さんに飲ませてしまうのです。お婆さんを取り込むお爺さん=カニバリズムですが、知らずにとは言え、愛する物を食べてしまう……それをそそのかすタヌキもお婆さんの姿です。何と言う悪女ぷり! この辺が、狐女房とは一味違う所ですね。
ペンネーム『いちま』さん
たぬきというと、分福茶釜のようにいたずらして懲らしめられる愛嬌ある立ち位置にいるといったイメージが強いですね。
ちょっと山に行けば、民家の庭にたぬきが出るのが普通と思っていたので、きつねよりたぬきが珍しいとは気づきませんでした。むしろ、野生のキツネは見たことないです。一番見かけるのは鹿ですね。
たぬきの異類婚姻譚、地域の昔話にあるか郷土資料を探しに図書館に行ってみます。
『シェイプ・オブ・ウォーター』のような、異形、かつ異種族、さらに言葉が通じない異類婚姻譚は見つかりませんでした。
異形、異種族だと妖怪とかあるかもと、サラッとみてみましたが、妖怪は退治されてしまうので、婚姻とはいかず……もしかしたら何かあるかもなので、もうちょっと調べてみようと思います。
たぬきというと、分福茶釜のようにいたずらして懲らしめられる愛嬌ある立ち位置にいるといったイメージが強いですね。
ちょっと山に行けば、民家の庭にたぬきが出るのが普通と思っていたので、きつねよりたぬきが珍しいとは気づきませんでした。むしろ、野生のキツネは見たことないです。一番見かけるのは鹿ですね。
たぬきの異類婚姻譚、地域の昔話にあるか郷土資料を探しに図書館に行ってみます。
『シェイプ・オブ・ウォーター』のような、異形、かつ異種族、さらに言葉が通じない異類婚姻譚は見つかりませんでした。
異形、異種族だと妖怪とかあるかもと、サラッとみてみましたが、妖怪は退治されてしまうので、婚姻とはいかず……もしかしたら何かあるかもなので、もうちょっと調べてみようと思います。
ペンネーム『momo』さん
鹿児島県の昔話に、お坊さんと狸が(急に)夫婦になる「坊さまと狸」というお話があるようです。
鹿児島県の昔話に、お坊さんと狸が(急に)夫婦になる「坊さまと狸」というお話があるようです。
ペンネーム『みてい』さん
物語とは違うんですが、私の祖母は晴れた日に雪が降ることを狸の嫁入りと言っていました。関西の方ではそう呼ぶこともあるそうですね。
物語とは違うんですが、私の祖母は晴れた日に雪が降ることを狸の嫁入りと言っていました。関西の方ではそう呼ぶこともあるそうですね。
ペンネーム『名瀬口にぼし』さん
有名な作品なので既出かもしれませんが、『幽☆遊☆白書』の初期のタヌキとおじいさんのエピソードはタヌキの異類婚姻譚なんじゃないかと思います。
タヌキが化けるのは少年ですが、間違いなく愛のお話です。
有名な作品なので既出かもしれませんが、『幽☆遊☆白書』の初期のタヌキとおじいさんのエピソードはタヌキの異類婚姻譚なんじゃないかと思います。
タヌキが化けるのは少年ですが、間違いなく愛のお話です。
ペンネーム『ヨミヨル』さん
『有頂天家族』ってアニメが2期まで作られてて、京都の観光大使にもなっていたので全国的に有名やと思い込んでおりました。
調べてみたら異類婚姻譚とはちょっと違ったのですが……。
知名度なかったんやな、とちょっとしょんぼりしつつ、こんなタヌキいっぱいのもありますよ、でご報告をw
『有頂天家族』は森見登美彦の小説をアニメ化した作品で、人間に化けた狸や天狗が、京都市内の様々な名所を舞台に活躍します。
『狸谷山不動院』
宮本武蔵の「一乗下り松」の戦いで有名な地に、『タヌキ谷のお不動さん』の愛称で親しまれるお不動様があります。
これは「タヌキ~他抜き~他を抜く」ということから、商売繁盛や芸事上達の祈願に、芸能人やスポーツ選手も多く参拝に来られます。
『金長神社』
四国の狸信仰のある神社。
恩に厚い金長狸がまつられています。
津田浦の六右衛門と戦った「阿波の狸合戦」は民話伝説として名高いです。
だそうです。
阿波の狸合戦、お嫁さんもらってはるんですが、取り憑いた人間でもらったのか狸のままの時でもらったのかちょっとよくわかりませんでした。
お役に立てずスイマセン><
『有頂天家族』ってアニメが2期まで作られてて、京都の観光大使にもなっていたので全国的に有名やと思い込んでおりました。
調べてみたら異類婚姻譚とはちょっと違ったのですが……。
知名度なかったんやな、とちょっとしょんぼりしつつ、こんなタヌキいっぱいのもありますよ、でご報告をw
『有頂天家族』は森見登美彦の小説をアニメ化した作品で、人間に化けた狸や天狗が、京都市内の様々な名所を舞台に活躍します。
『狸谷山不動院』
宮本武蔵の「一乗下り松」の戦いで有名な地に、『タヌキ谷のお不動さん』の愛称で親しまれるお不動様があります。
これは「タヌキ~他抜き~他を抜く」ということから、商売繁盛や芸事上達の祈願に、芸能人やスポーツ選手も多く参拝に来られます。
『金長神社』
四国の狸信仰のある神社。
恩に厚い金長狸がまつられています。
津田浦の六右衛門と戦った「阿波の狸合戦」は民話伝説として名高いです。
だそうです。
阿波の狸合戦、お嫁さんもらってはるんですが、取り憑いた人間でもらったのか狸のままの時でもらったのかちょっとよくわかりませんでした。
お役に立てずスイマセン><
「さてご覧の通り、お次はタヌキ絡みのメッセージです」
「ごっそり来てましたね」
「うん、だからこっちもごっそり取り上げてみた」
いただいたメッセージ、全部は無理だけ出来るだけ一通でも多く紹介したいと思っています。そして紹介しきれない分も含め、すべてのメッセージに目を通しています。
読者の皆さま、いつもたくさんの投稿ありがとうございます!
「しかし、集合知っていうのはやっぱりすごいなあ。ペンネーム『momo』さんはストレートに狸の異類婚姻譚を教えてくれてるし、ペンネーム『みてい』さんのお婆ちゃんのお話もすごく面白い」
「天気雨を狐の嫁入りっていうのは知ってましたけど、狸の嫁入りは初耳です」
「うんうん」
集合知、それはすでにこの連載のテーマの一つになっている。こんな風にやれるなんて、最初は期待どころか想像すらしていなかった。というか当初は読者だよりのコーナー自体想定されていなかった。
だけどこれは、間違いなく『作家と学ぶ』を地でいっている。こんなに嬉しいことはない。
それに。
「前に東雲先生にもオススメしましたけど、私森見登美彦さんの作品大好きなんですよ! もちろん有頂天家族も!」
「幽遊白書懐かしいなあ。バトル物に路線変更する前に確かにそんな話あったよ」
「カチカチ山のタヌキは確かに残酷ですけど、でも私はウサギのほうがエゲツないと思います! だいたいタヌキの悪行はお爺さんに捕まった腹いせですけど、ウサギにはあそこまでタヌキをいじめる理由なんかないじゃないですか!」
学ぶだけでなく、自由な発想や連想に彩られたメッセージは、すごく楽しい。読んでいるうちに僕と重岡女史まで、ついつい作家と編集の仕事を忘れて盛り上がってしまう。
読者の皆さま、本当にありがとうございます。
「えー、そうこうしているうちに時間が(便宜的なんとか)かなりやばいことになってます。身も蓋もなく具体的な数字を出してしまうと、一万文字超えそうです」
「進行管理がなってませんねー」
こ、このアマ、スイッチ入った貴様の暴走パートでどんだけ……!
「え、えーそういうわけで、かなりぶつ切りな感じになっちゃいますが、今回はここで終わりです!
しかしメッセージはまだまだかなり溜まってるので、次回も引き続き読者だよりをお送りしたいと思います!」
「はーい! それでは今回も、学んだー!」
「学んだー!」
∞~~~∞~~~∞~~~∞~~~∞~~~∞
※1
アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第5作に登場する美人のろくろ首。ろく子という名前で人間界で働いており、同じく人間界でバイトをしている猫娘と仲が良い。彼女が妖怪だと知った上で受け入れてくれている、鷲尾さんという人間の恋人がいる。
※2
この詩だが、現在の僕の勇気レベルではとてもじゃないが紹介できないタイトルと内容なので、紹介しません。
※重岡注
モーニングスター先輩には、「これってハッピーエンドなのでしょうか?」と聞かれましたけど、二人が幸せならハッピーエンドだと私は思います!
ちなみに、テレビアニメ『クレヨンしんちゃん』の「幸せの王子とツバメのしんちゃんだゾ」では、風間くんが王子を、しんちゃんがツバメを演じていますよ。
※3
したのだ、ユーチューバーデビュー、社長命令で。パンタポルタチャンネル、よかったらみんなも見てあげてね。声がむちゃくちゃ硬くて笑えるよ。
※4
この記事が公開されるのはゴールデンウィーク明けだが、僕と重岡さんが話している今は5月1日、連休の中休みの平日である。
*作者紹介*
東雲佑(しののめ たすく)。幻想小説を得意としている。第3回なろうコンの拾いあげ作品『図書館ドラゴンは火を吹かない』が宝島社より発売中。
第2回モーニングスター大賞では『雑種の少女の物語』が最終選考まで残り、社長賞を受賞。ちなみに、第1話の作中に登場する「先日のエッセイ」とは『名前の中のストーリー』のこと。
東雲佑(しののめ たすく)。幻想小説を得意としている。第3回なろうコンの拾いあげ作品『図書館ドラゴンは火を吹かない』が宝島社より発売中。
第2回モーニングスター大賞では『雑種の少女の物語』が最終選考まで残り、社長賞を受賞。ちなみに、第1話の作中に登場する「先日のエッセイ」とは『名前の中のストーリー』のこと。
『作家と学ぶ異類婚姻譚』
第1話
読者だより①
第2話
読者だより②
『シェイプ・オブ・ウォーター』特集
第3話
作家と学ぶ異類婚姻譚 ~東雲佑の取材記 〈女化紀行 前編〉~
作家と学ぶ異類婚姻譚 ~東雲佑の取材記 〈女化紀行 後編〉~