春は出会いの季節。学校や会社などでの素敵な出会いの予感に胸を躍らせる方も多いのではないでしょうか。でもその一方で、新しい環境に適応できず疲れてしまう、いわゆる「五月病」になってしまう人がいるのも事実です。
そこで今回は『図解 悪魔学』(草野巧 著)を参考に、「五月病」と悪魔の意外な関係性について考察します。
目次
そもそも五月病とは? なりやすいのはどんな人?
まずそもそも、「五月病」とはどんな状態のことをいうのかおさらいしておきましょう。
五月病とは新しい生活や環境に適応できず疲れてしまい、身体や心に不調をきたしてしまう状態のことをいいます。日本ではゴールデンウィーク明けの5月頃を中心にこのような状態に陥る人が多いことから、「五月病」の名がつきました。
五月病になりやすいのは新入生や新入社員だけとは限りません。クラス替えがあった人や新しい部署に異動になった人など、環境に大きな変化があった人も五月病になる可能性が高いといいます。
では、五月病になると具体的にどのような心身の変化が起こるのでしょうか。よく言われている変化には、次のようなものがあります。
・何となく気分がめいる
・やる気が続かない
・人と会うのが億劫になる
・感情が不安定になる
・体がだるい
・寝つきが悪い、もしくは熟睡できない
もし、最近環境に大きな変化があったという方の中で、このような心身の変化がみられる方は、五月病の可能性があるかもしれません。
中世ヨーロッパでは、五月病は悪魔の所業だった?!
ところではるか昔の13世紀ヨーロッパにも、やる気が続かなくなってしまった修道院長がいました。
13世紀に、あるシトー会修道院の院長だったリカルモスという人物にいたっては、その著書の中で、自分に降りかかった不都合をみな悪魔のせいにしている。リカルモスはかつて塀を作るために石を集めたことがあるが、そのときすぐそばで悪魔が『なんて退屈な仕事だ!』と叫んだ。そのために根気が続かなくなってしまったという。 『図解 悪魔学』p.102彼は、仕事の根気が続かなくなってしまったのを悪魔のせいにしたというのです。
実は中世ヨーロッパでは、咳やくしゃみ、居眠り、仕事中に退屈になるなど、人の身に起こる不都合なものは全て悪魔の仕業の結果だと考えられていました。
つまり前述のような五月病も、中世ヨーロッパなら悪魔の所業だと思われていたということになります。
ちなみに、咳やくしゃみ、居眠り、退屈になるといった事象は、悪魔の中でも下級悪魔の仕事とされていました。悪魔は風邪のように人から人へとうつるもので、他にも雑音を立てて人の気を散らせたり、いびきをかかせることもありました。
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悪魔の好き嫌いを把握して五月病に対処しよう
それでは中世ヨーロッパの人々のように、五月病が悪魔の仕業だと考えた場合、私たちはどのように対処すればよいでしょう?悪魔はどこにでもいるとされていましたが、色や方角、場所など好みのものが決まっているといわれていました。そこで中世の一般民衆は、悪魔が何を好み何を好まないかを細かく把握し、注意して暮らすことで、悪魔から何とか逃れようとしています。
悪魔が好むものとして、次のものが挙げられます。
まず方角では、闇と寒さ、刑罰の地、地獄があるといわれる北側を好みます。左右では左側を好むとされました。
夕暮れや真夜中の時刻が好きで、夜明けに雄鶏が鳴くと悪魔は逃げ出しました。他に真昼も悪魔が好む時間帯とされています。
悪魔は荒涼とした場所が好きで、異教の神々や民間伝承に登場する精霊や妖精が棲む場所も好みます。つまり、荒野や異教の神殿、山、森林、川、井戸、古い廃墟やストーンサークルなどがこれにあてはまりました。
色は黒色や赤色、緑色が好きだとされています。
では反対に、悪魔が嫌うものには何があるでしょう?
まず、キリスト教に関するものが挙げられます。ロザリオの祈りや聖書の言葉、十字架、聖水、イエスの名、教会の鐘などです。
また、悪魔と関連のあるものも悪魔除けに効果があるとされました。火や鉄、にんにく、玉ねぎ、塩、香や薪の煙といったものです。この他、豚も悪魔を追い払える動物とされていました。
手軽にできることでは、悪魔に向かって「しーっ」と言ったり、唾をかけたりすることも有効です。
勉強や仕事中に退屈になってしまったり、居眠りをしてしまったり、やる気が出なくなってしまった時は、中世の人たちのように悪魔が嫌うものを試してみるのはいかがでしょう。方角や場所に気をつけたり、いい匂いのする香を焚いてみるのもいいかもしれませんね。
もし五月病になってしまった時は、ぜひこうした対処法も思い出してみてください。
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ライターからひとこと
「頑張らなくてはいけない時なのに、どうしてもやる気が出ない」という状況は、勉強や仕事などできっと多くの方が経験したことがあるのではないかと思います。そんな時は中世ヨーロッパの人々のように悪魔の所業だから仕方ないのだと思えば、ちょっと心が軽くなりますね。自分なりの対処法を見つけて、うまくやる気をコントロールしたいものです。