「13日の金曜日には不吉なことが起こる」……そんな噂を聞いたことはありますか?
有名なホラー映画にも、『13日の金曜日』が使われていますよね。
13という数字と金曜日、そのどちらもが不吉ないわくを持っており、ふたつが組み合わさった「13日の金曜日」はとりわけ不吉であると考えられています。
しかし、何故「13」と「金曜日」が不吉なものとされているのでしょうか。今回は、13日の金曜日にまつわる迷信の背景を繙いてみましょう。
目次
13日の金曜日の謎①-「13」という数字が不吉な理由
13が不吉とされているのには、幾つかの理由があります。なかでも有名なのは、レオナルド・ダ・ヴィンチも描いた最後の晩餐にまつわる話でしょう。
イエスは逮捕・処刑される前に、自分の弟子たちを集めて夕食会を開きました。イエスにとって最後の晩餐となるこの日に参加した弟子の数は12人、イエスを含めると13人になります。
当時、1年が12カ月であるように、12は完全な数と考えられていました。そのため、12より1多い13は不安定な数として忌まれていたのです。最後の晩餐の席に着いた13人という数は、イエスの不吉な未来を暗示していたのかもしれません。
それだけでなく、13番目に席に着いたのがイエスを裏切ったユダであることも、不吉さに拍車を掛けています。
これと似たような話は、北欧神話にも見られます。
オーディンの宮殿ヴァルハラで夕食会を開催した時のことです。招待した12人の客以外に、招かれざる13人目の客としてロキが姿を現したのです。ロキはこの夕食会で盲目の神ヘズをだまし、美しき喜びの神バルドルを殺害させました。これが後の最終戦争ラグナロクへと繋がっていきます。
ギリシア神話の中でも、12の数字を見つけることができます。
オリュンポス山の山頂には、主神ゼウスを含めた12の神が住むとされています。また、ゼウスの子供であり、ギリシア神話の中で最も偉大な英雄ともいわれるヘラクレスは、12の難業を成し遂げています。
このように、古くから12は特別な数字だと考えられていました。
13が不吉という迷信は、今でもさまざまな場所で目にすることができます。建物の13階やホテルの13号室が存在していなかったり、12+1や12+aのように計算式で表示していたりと、13を使わないよう工夫されています。
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13日の金曜日の謎②-金曜日は「悪魔信仰の日」?
金曜日が不吉とされる伝承もまた、イエスと結びつきがあります。イエスが処刑されたのが金曜日であり、そのことからキリスト教会において金曜日は「悪魔信仰の日」と定められているのです。
このためキリスト教圏の地域では、出産や結婚などの祝い事をはじめ、爪を切る、お見舞いに行く、航海に出るなどの行為は金曜日にやらない方がいいといわれています。
金曜日にまつわる話として、北欧神話に登場する女神フレイアとの関連が取り沙汰されることがあります。
こちらの記事でも紹介しているように、金曜日(Friday)という単語は北欧神話の女神フリッグ(frigg)が由来となっています。ところがドイツでは、結婚の女神であるフリッグと多産の女神フレイアが同一視されたのです。
北欧神話でのフレイアは愛・出産・多産・豊穣を司り、地母神として広く親しまれていますが、キリスト教徒からは、サバトの一種であるワルプルギスの夜にデーモンを集めて踊っているといわれ、魔女とみなされていたのです。
つまり、金曜日は魔女の日であり、悪魔と関係があると考えらました。
これらの伝承から、「13日の金曜日には不吉なことが起こる」という迷信がうまれたのです。少ない年では1回しかやってこない13日の金曜日。不吉なことに巻き込まれないよう、注意して過ごしてくださいね。
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ライターからひとこと
現代でも13にまつわる事件、事故は多数見られます。有人月面飛行を目標としたアポロ13号は、ミッションの途中で失敗に終わりました。驚くことに、このアポロ13号の打ち上げは13時13分に行われています。13日の金曜日は飛行機事故が多いという迷信もあり、航空券が安くなる場合もあるようです。迷信を気にしない人にとっては、朗報かもしれませんね。
☆この記事の参考ページを読む
【タダ読み】13日の金曜日はどうして不吉なの?-『図解 悪魔学』