小説や漫画などを創作する際、主人公をはじめとするキャラクターに銃を持たせたり、敵キャラクターとの銃撃戦を描きたいと思うことはありませんか? でもいざ描こうとしても、まずどのような銃を選べばいいのかわからないという場合もあると思います。
そこで今回は『図解 ガンファイト』(大波篤司 著)を参考に、創作における銃の選び方の基本についてお話してまいります。
目次
銃の選び方①性格にあった銃のモデルを選ぶ
キャラクターに持たせる銃の種類を決める方法のひとつに、その登場人物の特徴と銃の持つ特徴を合わせるという方法があります。たとえば何でも最新式のものを好むタイプのキャラクターでしたら、きっとまだ誰も持っていないような新しいモデルの銃を使用するでしょう(逆に、銃だけは旧式のものにこだわるという特徴を持たせることで、そのキャラクターの個性を引き立たせることもできます)。また登場人物だけでなく、銃にも「性格」のようなものがあります。たとえば旧ソ連製の軍用銃はとても堅牢なつくりをしていたり、日本製の銃は高性能だが高価で少しピントがずれているといったように、開発された国やメーカーによって様々な傾向がみられるのです。こうした銃の「性格」とキャラクターの性格を合わせることができれば、キャラクターがその銃を扱う理由づけにもなり得ます。
では具体的に、キャラクターと銃の「性格」を合わせるセオリーにはどのようなものがあるのでしょうか。本書を参考にいくつかの例をご紹介しましょう。
堅実なタイプのキャラクターに合うのは、同じく堅実なタイプの銃です。故障が少なく、弾薬や予備部品を調達しやすい銃であることが重要で、旧式モデルであっても戦闘証明済みであること(長い年月をかけて信頼性が証明されていること)が重視されます。こうした特徴にあてはまる銃として、たとえば旧ソ連製の軍用銃などが挙げられます。
猪突猛進なタイプのキャラクターには、引き金を引き続けることで次々に弾丸を発射できるフルオートや、1回引き金を引けば自動で2、3発発射可能なバースト射撃のできる銃が似合います。多くの弾を装填できるモデルであることも重視されるでしょう。
享楽的な性格のキャラクターに合うのは、最新型モデルや金銀メッキなどを施した限定モデルの銃などです。また、一般的には知られていないような試作銃も好む傾向にあるといえます。たとえば独創的なアイデアで知られるドイツの銃器メーカー、H&K(ヘッケラー&コッホ)社製の銃などが似合うのではないでしょうか。
銃の選び方②場所や目的に合わせて持たせる銃を変える
キャラクターに持たせる銃の選び方をもうひとつご紹介しましょう。それは、キャラクターのいる場所や目的と、持たせる銃を合わせるという方法です。たとえば砂漠や寒冷地、密林などでは、銃の作動不良などの不測の事態が発生する確率が高くなるため、それぞれの環境に対応したモデルの銃を選ぶことが重要になります。
また、戦闘シーンを描く場合でも、閉所での戦闘なら拳銃や短機関銃、至近距離で確実に敵を仕留めたいならショットガンというように、戦いが行われる場所や目的によって適した銃の種類も異なります。
プロの中には、オールラウンドな性能で自分に合った銃を1丁(あるいは2、3丁)決め、それだけを使い続ける者もいますし、逆に任務に合わせて銃を巧みに使い分ける者もいます。どちらが正しいということはありませんので、自分の描くキャラクターの性格や作品の内容に合わせて決めることが重要です。
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銃の選び方③有名な銃をモデルに使う
キャラクターの性格や目的、場所に合わせて銃を選ぶことはもちろん大切ですが、世界にはたくさんの種類の銃がありますので、どれをモデルにすればよいのかよくわからないという方もいらっしゃると思います。そんな方のために、現実世界でよく知られている有名な銃をいくつかご紹介します。【拳銃】
・グロックシリーズ
オーストリアの銃器メーカー、グロック社が開発した自動拳銃で、デザインも操作性もシンプルなことが特徴です。数多くの映画やアニメに登場しています。
・コルトM1911(ガバメント)
アメリカのコルト社が開発した軍用自動拳銃で、1911年~1985年までアメリカ軍の制式拳銃として採用されていました。『ターミネーター』シリーズなど、こちらも数多くの映画やアニメに登場しています。
【アサルトライフル】
・AK-47
カラシニコフが設計し、1949年に旧ソ連軍が制式採用した自動小銃で、安価で手入れがしやすいことなどから、現在でも紛争地帯などで使用されています。世界的に知名度が高く、量産されている銃でもあります。
・M16
アメリカ軍が採用している小口径自動小銃で、日本では『ゴルゴ13』シリーズに登場することでも知られています。
今回ご紹介したような有名な銃をモデルに使うことの利点は、資料収集がしやすいということです。モデルガンや写真、関連本などを手に入れやすいため、銃が登場するシーンも描きやすくなります。その反面、珍しい銃ではないため、ミリタリー方面に詳しい読者を唸らせることは難しいかもしれません。
銃の選び方には、このように様々な切り口があります。作品や自分に合った方法で、ぜひぴったりの1丁を見つけてみてください。
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