日本神話に登場する男神イザナギと女神イザナミのように、クトゥルフ神話にも夫婦関係の神が存在します。女性神格に位置付けられているシュブ=ニグラスと、彼女の夫として魔術書に記録されているハスターです。
今回は、『図解 クトゥルフ神話』(森瀬繚 著)を参考に、クトゥルフ神話では数少ない女性の神「シュブ=ニグラス」をご紹介します。
目次
シュブ=ニグラスの母の姿、神の姿
シュブ=ニグラスは、クトゥルフ神話では珍しい女性神格です。アザトースやヨグ=ソトースと同じく「外なる神」であり、「ネクロノミコン」をはじめとする禁断の魔術書には、ハスターの妻として記録されています。ハスターに関しては、「名状しがたきもの」という異名を聞けばピンとくる方もいるのではないでしょうか。ただ、彼は別種族である旧支配者(グレート・オールド・ワン)というのもあり、シュブ=ニグラスとハスターの関係は疑わしきものでもあります。
しかし、彼女が子を孕み母として存在したことは確かで、シュブ=ニグラスを信仰している土地では、巨樹の幹を思わせる節くれだった体躯、巨大な蹄のついた足、太いロープを何本も束ねたような触腕を備えた黒々とした怪物が時々目撃されています。
この怪物こそが、シュブ=ニグラスの落とし仔「黒き仔山羊」です。
シュブ=ニグラスが孕み、産み落とした仔は、「黒き仔山羊」を含め千匹いたといわれています。
シュブ=ニグラスが人前にその姿を現したという記録はどの文献にも存在せず、その容姿について知る術はありません。姿を見せないシュブ=ニグラスに代わって、捧げられた生贄を受け取る役目は、上述した彼女の子供たち「黒き仔山羊」が行っていました。
シュブ=ニグラスを知るほかの記録として、断片的な記述や言い伝えからうかがえる崇拝様式は、ギリシア神話のデメーテルに代表される豊穣の神々の様式を滑稽なまでに誇張したものであるといわれています。
実際、遥か古代に地球に存在していた「ムー大陸」においては、豊かな実りをもたらす大地母神としてシュブ=ニグラスが信仰されていました。
シュブ=ニグラスは、その信仰心に応え、人間を石化させる邪神ガタノトーアの禍がムー大陸を襲った際、神殿に仕える神官たちに、霊感の形でこれに対抗する呪文を伝えるなど、崇拝者たちに対して、直接的に恩恵を与えたことも少なくはなかったようです。
仔を産んだことだけではなく、崇拝者達の声に応え恩恵を与えた行いも、シュブ=ニグラスが母であり女性神格であることを、崇拝者たちや魔術師達に強く印象付けたのかもしれません。
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