1月は初詣などで神社を訪れる方も多いと思いますが、正しい参拝の方法は皆さまご存知でしょうか? 子供の頃から何度も参拝しているという方でも、案外手順は知らないこともあるようです。
『図解 巫女』(朱鷺田祐介 著)では、巫女の仕事内容から神道の儀式まで、巫女や神社にまつわる基礎知識をまとめて解説しています。今回はその中から、神社での参拝の手順についてお話します。
目次
参拝の作法①神社を参拝する前に
神社への参拝とは、祈りの場で遠い神に呼び掛けるのではなく、神界より来られ現世の客人となった神様にお会いすることである。神社は神が現実の世界に現れるための場所なのだ。 『図解 巫女』p.80神社に参拝するということは、神界から客人として来られた神にお会いするということです。したがって、普段大切なお客様と会う際には礼儀正しくお迎えすると思いますが、神社を参拝する時もそれと同じようにマナーが重要となります。
参拝の際、本来は正装することが適切です。しかしそれが難しい時は、最低限の清潔感のある服装を心がければ大丈夫だといわれています。神社によっては格衣(かくえ)という上着を貸してもらえることもあります。こうした服装は神社の鳥居をくぐる前に整えておきましょう。
鳥居は人間の住む俗界(世俗の世界)と神域とを区切る門であり、一種の結界のような役割を果たしています。鳥居をくぐる前にはお宮の方に向かって一礼すると丁寧です。
神社では、参道の中央は神が通る場所(正中=せいちゅう)とされています。そこで、参道を歩く時は中央を避け、参道の端を歩くようにします。
参拝の作法②手水舎での手や口の清め方
鳥居をくぐってすぐの場所には手水舎があり、参拝者はここで身を清めてから神との対面に臨みます。このことを「手水をとる」といいます。では、正しい手水舎の作法はどのようなものでしょうか? 実は手や口を清める順番は決められているのです。
まず右手で柄杓を取り水をくみ上げ、左手にかけて清めます。続いて柄杓を左手に持ち替え、右手に水をかけて清めます。
その後、再び柄杓を右手に持ち替えたら、左手の手のひらに水を注ぎ、その水で口をすすぎます。時々、柄杓を直接口に付けて口をすすぐ方がいますが、本来は間違いです。
口をすすぎ終わったら再び左手に水を掛けて清めます。最後に、新しい水の入った柄杓を立てて柄杓の柄に水を流し、奇麗にした上で水盤へと戻します。
これで手水舎で身を清めることができましたので、いよいよ参拝へと移りましょう。
ちなみに例大祭の時などには、手水舎では巫女さんが手水の奉仕をしてくれることもあります。
その際には柄杓は使わず、水を両手で受けて手を清め、もう一度水を受けて口をすすいだら、最後に再び両手で水を受け手を再度清めればよいとされています。その後、拭い紙(手水紙)をもらったらまず口を拭き、それから手を拭きます。使い終わった拭い紙は指定の場所に捨てましょう。
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参拝の作法③基本は「2礼2拍手1礼」
拝殿の前まで来たら軽く一礼をし、神鈴を鳴らして神にこれから礼拝することを知らせます。賽銭箱にお賽銭を投じたら、直立不動の姿勢で腰を90度まで深く折って2回お辞儀をします。次に胸の前で両手を合わせ、右手を少しだけ下にずらして2回拍手をしましょう。その後、指先をきちんと合わせてお祈りをします。 お祈りが終わったら最後にもう一度深くお辞儀をして参拝は終わりです。退出する際に神にお尻を向けると失礼になりますので、一旦、横にずれて後ずさりするように退くとよいでしょう。この一連の動作を、その回数から「2礼2拍手1礼」あるいは「再拝2拍手1拝」などと呼ぶことがあります。一般的な神社ではこの作法で参拝することとされていますが、中には出雲大社のように「2礼4拍手1礼」が正式とされているケースなど、作法が異なる場合もあります。
帰りの参道も行きと同じように中央は避け、端に寄って歩きましょう。鳥居をくぐり境内から出る時も、社殿の方に向き直って礼をすると丁寧です。
神社を参拝する時は、このような参拝の手順を守って行動するとスマートです。ですが何より大切なのは、神様への気持ちをこめて参拝することではないでしょうか。細かな動作を間違えてしまっても、気持ちがこもっていればきっと神様は笑って許してくれることでしょう。
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